7/10
第零章 私の記憶(回想) Ⅵ
話の区切りがついて、私はふとノアのリュックの方を見た。
探検者が持ちそうな茶色のリュックには、青いキーホルダーがついていた。
窓から入る日光をキーホルダーが反射させる。
キーホルダーの青色は一瞬だけ、虹の様に光を溢れ出した。
その幻想的な美しさに、私は思わず口を開いた。
「きれい。」
「ああ、これか。」
ノアはリュックからキーホルダーを外し、近くで見せてくれた。
「これは僕の宝物なんだ。」
ノアは私の手のひらにキーホルダーを置いた。
「こいつのお陰で僕は探検者になれた。そして止まっていた時間が再び動いた。その全てのきっかけを作ってくれたのが、このキーホルダーなんだ。」
ノアは窓の外を見て昔を思い出している様子だった。
「今から七年前に、僕はここに連れて来られた。原因は両親が死んでしまったから。それだけだった。」
ノアの声は普段より低く倉庫に響き、過去の事実の重みを表していた。
私は唐突の告白に少し驚きながらも、ノアがどんなきっかけで探検者になったのか興味があった。