プロローグ
洞窟探検者の記憶(少女編)を手に取ってくださりありがとうございます。同じ世界観の同じ時間軸で(少年編)も作る予定だけで、(少女編)を最初から読んで頂いて全く問題ありません。
第零章は、主人公ソフィーの過去の出来事を回想する章となっております。少女の夢と少女が夢を諦めかけてしまった理由が第零章の回想で述べられるので、ご期待下さい。少女の性格やバックボーン、伏線もございますので、是非最初から見て欲しいです。
第一章から、少女が夢を再び追いかける物語が展開していく予定なのでよろしくお願いします。
最後に、評価、コメント、ブックマーク登録してくださると、励みになるのでお待ちしております。
5/11 物語の切れ目を調整しました。
5/19 プロローグを再編集しました。
6/14 プロローグを再編集しました。
奥深くの未知まで続く自然洞窟がある。
そしてその自然洞窟の麓には〝リンケイブ〟と呼ばれる街があった。
この街は自然洞窟がある事により、独自の文化が発展した。
例えば職業。
洞窟内で資材を採り、それを売る職業。
洞窟内で働く人のために、洞窟内に水や食糧などを運ぶ職業。
洞窟の新たなルートを見つけ情報を提供する職業。
このようにこの街では洞窟内で働く職業が多く存在する。
そしてそんな洞窟で働く人を、〝洞窟探検者〟や〝ダイバー〟とこの街の人々は愛称で呼んでいた。
これはそんな一人の洞窟探検者の物語。
そしてその軌跡を覗いてみる事にしよう。
街の南側にはいつも多くの人で賑わっている野外市場がある。
そんな野外市場から東の方へ続く登り道をずっと進むと、いつしか雑木林が生い茂る山道に風景を変える。
そしてその山道をずっと登って奥へ進むと、石造りの一軒の家があった。
上空から見ると、ポツンと街から離れた林の中にあるその家は、赤い屋根で広い展望デッキがあった。
そして、そんな家には一人の少女が住んでいた。
長い茶髪に青い目で透き通るように白い肌の十二歳の少女。
彼女の名前はソフィー。
白いワンピースに麦わら帽子が似合いそうな彼女はその家の住人だった。
彼女はこの家で展望カフェを営業して暮らしていた。
そんな彼女には置いていってしまった夢があった。
それは洞窟探検者になる事。
しかし彼女はすでに諦めかけていた。
雲がまばらに散らばった空の下、彼女は窓の外を見た。
時間は昼過ぎ。
彼女は目を擦り、ゆっくりとベッドから体を起こした。
そして、そっと息を吐き出して、隣の部屋へ足を進めた。
重いドアが開き、埃が舞う。
彼女はその部屋に置いてあった古びた手紙を取り出した。
手に取った手紙。
それはまだ洞窟探検者になる夢を追いかけていた彼女の記憶を思い出させるものだった。
彼女は少し過去を思い返す事にした。