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宝石龍の生き残り計画  作者: おもち丸
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5話

遭遇した冒険者の男は何かを呟きながら【魔力】を集め、それを変化させていた。


まずはそれを参考にしてみる。


とりあえずゲームなどで馴染みがあり、先程の男も使っていたであろうことが推測できる火球(ファイアーボール)をイメージしながら唱えてみる。


『火球、火球、火球…』


ひたすらイメージしながら唱えて角に【魔力】を集めてみる。

しかしイメージしながら魔力を集めるだけでは魔法は起きなかった。

次に、起こしたい現象を口にしながら魔力を集めてみる。

やってみたが、口を動かしながら頭にイメージを思い浮かべ、更には角に力を集めるのは難しかった。

角に集中すれば口が動かなくなり、口に出すことを優先するとイメージと魔力集めがしにくい。


しかも


「ぴぎゃ、ぴぎゃ、ぴぎゃー…」


人間の言葉を口にすることができないので、なんだか残念な感じが凄い。

しかも、意味のある言葉を口にできているかも怪しい。


とりあえず続けてみたが、一向に魔法は使えない。

気分転換をしようと、手にしたままだった黄色い石を眺めてみる。

丸っこいその石はキラキラと中で光を反射する極小さな石がが渦を巻くように流れていて、それで輝いているように見えたようだ。


自分の集めるのと同じ魔力を帯びた石。

なんとなく触っていると、頭の中にイメージが湧いてくる。

《小さい石の礫を相手に飛ばす》というイメージだ。


抱えた石をじっと見つめ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


そうするのだと知っていたかのように、自然と身体が、魔力が動く。

そうして石から流れ出した魔力と自分の魔力、それと溢れてくるイメージとが混じり合い高まるのを感じた瞬間、ふと角から魔力が抜ける。


突然消えた力に思わず顔を上げると、目の前には拳ほどの大きさ石が5つ浮かんでいた。そしてそれらが勢い良く飛んでいく。


ドガァン!!!


と轟音と共に石がぶつかった部分の壁が吹き飛び、土煙が舞う。


『…ははは… ---今のって魔法、だよな…?』


どうやって魔法を使うのかわからず、試行錯誤した。

それが、石を抱えた瞬間イメージが流れ自然と使えたのだ。

目の前で起きた現象に実感がわかず、呆然とする。


とにかく今の感覚を覚えている内にもう一度繰り返してみる。

体内で魔力を練り上げ、頭で強くイメージし、イメージに魔力を載せ起こしたい現象を願う。すると、


ズガァァァァ… ン!!!


先程と同じように魔法が使えた。




魔法が、使えるようになったのだ。




『………イイヨッシャアアアアアアアァ!!』

「………ギャオォォオォア!!」




ゲームや漫画が好きなら一度は憧れるかも知れない、【魔法】というもの。自分はがっつり憧れていた。

その憧れが叶い、嬉しさが爆発する。

思わず小踊りをしながら喜んでいると、ふと抱えた石の異変に気付く。


石から()()()()()()()()()()()()()のだ。慌ててマジマジとよく見てみても、石の渦巻きすら消えてただの黄色い石と化している。


とりあえず石を足下に置いてもう一度魔法を使ってみる。

問題なく使えた。


ならば、石は何故輝きを失ったのか。

石の持つ魔力を使い切ったのか? そう考えて石に魔力を流そうとするが、魔力が通らない。

他の可能性も何かないかと考えるが、自分の持つ情報があまりにも少なくて思い浮かばない。



分かったことと言えば、ストーン・バレット(石礫を飛ばす魔法)の使い方と、力を失った魔石に魔力を補充することはできないということだ。



逆に分からないことも増えた。

【魔法】はイメージした現象を魔力で無理やり現実へ落とし込む術のことのようだ。

それならば、何故冒険者の男は呪文であろうなにかを呟いていたのか?

男が集めていた【魔力】と自分のかき集める【魔力】が違うもののように感じたのは何故か??



「………」




などと考えるのも疲れた。


何せ、今日は冒険者とニアミスしてしまったせいで本当に肝が冷えたからだ。今の姿のままでは、人間の前にはでれないだろう。


この広間へ来て少しは休めたが、疲れていることには変わらない。



お腹も空いたので、力を失った魔石はいつまでも抱えていても仕方なさそうなので食べてしまうことにする。



---魔石は、これまでに食べたことのない美味しさだった。

数多ある素晴らしいお話が溢れる中、このお話を読んで下ってありがとうございます!

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