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宝石龍の生き残り計画  作者: おもち丸
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44話

手続きを終えたゼラード達と一緒に外に出る。



時間が経ち、来た時よりも賑やかになってきた通りを、浜辺の方へ向かいながら進む。



洞窟ダンジョンは浜辺の脇にあるそうなのだが、それらしき洞窟が見えてくるころには、周囲を歩いているのは同じようにダンジョンに向かうのであろう武装している冒険者や、釣竿を抱えた街人くらいとなっていた。



ギルドの周辺は港と市街地に近いため、宿や酒場や服、宝飾品などを扱う店がチラホラ見受けられたが、ダンジョンへ近づくにつれ冒険者や釣り人をターゲットにした道具屋などの店が増えるようだった。



ロゼッタさんはダンジョンに行く前にも市場調査をするつもりのようで、軽くお店に寄っては軒先の商品を眺めたり、店主と立ち話をしたりしている。



ゼラードは退屈そうだったが、せっかくの機会なので俺も少しばかり覗かせて貰うことにした。



水の魔物から採れる素材を使った武器防具は、水の力を武器に纏わせたり軽減させる効果があるそうで、特に防具はこれからダンジョンへ向かう冒険者に人気があるのか店先に沢山並んでいた。



この世界の魔力の属性は、相性による対立構造はあるものの絶対的なものとはなっておらず、力の強さに依る部分が大きいそうだ。



例えば火と水。



火に水をかければ、発火点が下がり火は消える。

地球で起こるこの現象は、火山で炎の敵を倒した時のようにこの世界でも適用されている。

ギルドも火山の調査を進めるために水魔石を集めていることからも、水は火に強いのは確かなようだ。



しかし火の力が強いと水をかけても発火点を下げきれず、火は燃え続ける。



火と風属性についても微妙な関係で、風が吹くと酸素が送られるため火は燃え上がる。

ロウソクならある程度の風で炎は消せるが、それくらいの風ではしっかりと火の着いた焚火を消すことは出来ない。可燃ガスや発火点を下げ切れないからだ。

風の力では中々火を消すことはできないが、風属性の力には雷の力もあり、雷によるダメージで火の魔物を倒すこともできる。



こんな感じで、水の力を持った魔物の素材で作られた防具は、他の属性に対する効果も期待するが、同じ水の力への対抗策として扱われているため、ダンジョンから採れた魔物の素材は余所へと売られることもあれば、その地で加工され、次に潜る誰かの力になることも多いようだ。



だから、ポルタの街では水に関する防具や装飾品が多い。

中でも水中呼吸に関するアイテムは、ポルタダンジョンを奥へ進むなら、水中で戦闘する場面だってあるかも知れないため必需品といっても良いくらいだそうで、それをダンジョン傍の需要がある場所で取り扱っているため中々繁盛しているようだ。



そうして商品を売り込む店主に、ロゼッタさんが話を聞きだした結果。



昨日からポルタギルドの依頼を受けて水魔石を集めにダンジョンへ潜る探索者が増えたこと、それに伴い防具の売れ行きが良いこと。

そして最近、洞窟から戻って来れない冒険者が増えていること。

風や土の力を込められる武器の需要が増えていること。



このような情報が得られた。



最後にロゼッタさんは店主達に、冒険者が戻ってこなくなる原因を知っているか尋ねると、【大海蛇(シーサーペント)】の亜種が現れてしまったのだそうだ。



【大海蛇】自体強力な魔物なのに、それが更に力を増しているため手に負えず、深層部の魔物の素材が手に入らなくなってきているそうだ。



亜種が現れてからまだ日が浅いため深刻な状況ではないらしいが、解決しなければならない問題だろう。



ゼラードはそれをギルドの依頼にあったため知っていたらしく、店から出てきたロゼッタさんに変異大海蛇の討伐依頼を受けてきたことを明かした。



軽い魔石集め気分で潜るつもりだったダンジョンの強敵の討伐依頼を勝手に受けてきたこと、また受けたにも関わらず大した準備をしていないことにロゼッタさんは面食らったようだったが、そういうヤツだったと過去の経験を思い出し、諦めたようだった。



(ギルドで会った猫の魔物が言っていたのは、このこと・・・ かな?)



ヤツは実力はあるし、マジックバッグもあるため大海蛇相手にも使えるような装備を、既に持っているのかも知れない。

ロゼッタさんだって強いて抗議したり慌てていないところを見ると、腕に自信があるようにも思える。


そうは思うものの心配が無くならない俺は、ゼラードの足を突つき、風魔石を強請ってみる。


ヤツは少し悩んだものの、俺の力が増えることは悪くないと、風の魔石を買ってくれた。



ロゼッタさんの反応から、かなり良い魔石だと思われる大きな石をくれたのであろうゼラードに、「ぴぎゃ、ぴっぎゃ!(良いの?! ありがとう!)」と礼を言って食べると、綿あめのような掴み所のないフワフワの食感に口の中で弾ける美味い炭酸と言った、なんともいえない不思議な味がした。



そうして食べた魔石はどうやら無事に俺の力となってくれたようで、翼の付け根辺りに緑色の石が生えてきた。



その様子を初めて見るロゼッタさんは、興味深そうに魔石が生えた部分を眺めていたが、ポルタに居られる時間は限られているため、とりあえずダンジョンへ潜ることにしたのだった。


※誤字報告、ありがとうございました!


数多の素晴らしい小説の中からこの話を見つけて下さり、また興味を持って下さりありがとうございます!

少しでも楽しんで頂ければ幸いです。


評価・ブックマークをして下さった方々へは重ねて御礼申し上げます。

本当にありがとうございます!

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