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沈む太陽と昇る月  作者: あいあむ
夜の風
94/112

94

 城壁に開いた穴を駆け抜ける。通りは逃げる人々が、泣き、叫びながら走り回っているが、彼らに目もくれずに馬を走らせていく。

 昇りかけた朝の日差しの中、不意に鳥の鳴き声が響き渡る。鋭くとがったその声は、どこか笛のようなであり、ソードにとっては何度も聞いた声だった。

 太陽の光を背に受けながら巨鳥の影が向かって来る。

 レナーム、第二の神。光と炎と太陽と、再生と復活、そして不滅の象徴だ。レナームの事は誰より自分が良く知っている。長いこと共に各地を巡り、共に力を振るってきた。こなした依頼は数知れず、数多の強敵たちを倒してきたのだから。

 重力さえも味方につけて極高速で飛来する。炎を纏う巨大な鳥は一直線に魔神へ向かい、鋭い爪を差し向ける。地上わずか数メートルで大きく羽を広げると、急制動し魔神目がけて掴みかかる。

 魔神は黒い炎となってレナームを躱し、鳥の形態へと変わる。二羽の巨鳥は威嚇しながら掴み合い。早朝の空に舞い上がる。わずかに距離を開けた後、同時に炎を撃ちだした。

 白い炎と黒い炎がぶつかり混ざり熱波をもたらす。互いの尾羽を追い回し、炎の魔法を撃ちあっている。隙をついて魔神が上を取った時、人の形に変化した。

 炎の刃を両手に持ってレナームへと切りかかる。黒炎の剣が巨鳥の首へと振り下ろされた時だった。

 白い光が空を、そして地上の全てを包み込む。そしてコンマ一秒未満の遅れの後に、爆音にも似た雷鳴が轟き響く。

 驚き暴れる馬を抑えつけ、光に眩んだ目を空へと向ける。暗順応する視界の中で、大きく身体に穴を開けた一羽の巨鳥がきりもみ状に落ちていく。

 落下する巨鳥を見下ろす鳥、そしてさらに遥か高みから自由落下する銀の髪を持つ少女、雷の勇者が自身を纏う光と共にレナームの背中に着地した。

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