表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沈む太陽と昇る月  作者: あいあむ
北の方角
71/112

71

 翌日、注文していた装備が届いた。

 ブーツにハードレザーの防具を付けて、両手には滑り止め付きのグローブを装着する。腰に付けた万能ベルトにポーチに水筒とカンテラを下げた。両手足にはそれぞれナイフを合計四つ固定して、利き手の腕にはバックラーを取り付ける。

 刃の欠けた短剣に、新たに買った短剣と片手剣、そして赤い片手剣の四つの剣を腰から下げる。上から重たい外套で身体を覆うと、両手剣を外套の上から斜めに下げて三点ベルトで固定する。

 メイスの方もソードと同様に両手足に四つのナイフを装着し腰から追加で二つ、合計三つのメイスを下げる。背中にはソードの両手剣の代わりにフレイル一つを引っ提げて、腕にはバックラーではなく一回り大きなラウンドシールドを装備する。

 最後に新たなミツキはと言えば、武器屋で装備を揃えたようだ。二丁の片手持ち軍用クロスボウに、矢のたっぷり詰まった矢筒を二つ剣の代わりに腰から下げる。あとは二人と同じように両手足にはそれぞれナイフを装着し、防具にポーチに外套を身に着けた。

「お前達、持っていけ。弁当だ」

 マスターから差し出された三つの包みを一人一つ受け取る。弁当はできたてらしくまだ暖かい。小さな声で礼を言うと、竜人なりの分かりにくいが笑顔を浮かべた。

「帝都なら馬を使えば一週間くらいだろう。道は、わかるな?」

 ソードは小さく頷く。三人の他に客は無い。次の勇者が立ち寄るまでは、もしかすると客は来ないのかもしれない。

「この辺りは夏でも冷え込むから、風邪にだけは気を付けるんだぞ」

「大丈夫。ひいても魔法で治せばいい」

「自分を大切にしろ、って意味だ」

 鼻を鳴らすソードを見て、マスターは声を上げて笑い出した。

「ありがとう。マスター」

「気にすんな。いつでも来い。待っている」

 三人の為に扉を開ける。目の覚めるような冷たい風が流れ込み、ソードの髪をかき上げていく。薄くて白い霞が空に被さって、降りているかのようだった。着替えの詰まったポーチを担ぐと、光の中へと踏み出した。

 ミツキ達は人通りのない街の中を歩いていく。足音の他に音も無く。静寂こそが立ち込めていた。辺りを包むは命の気配だ。姿も音も何もないが、今日も今日とて生きる者の空気があった。

 街を抜け、勇者証を出し門を出た。畏まった調子の兵士に目もくれず、三人分の馬を借りる。鞍を取り付けさせてから勢いを付けて飛び乗った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ