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沈む太陽と昇る月  作者: あいあむ
夜の斧
104/112

104

 二本と二本の剣が舞う。軽いソードの攻撃にレインは少したりとも遅れる事無く、全て受け止め弾きやる。レインは一層加速して、守勢から一転し攻勢をかけ出す。

 右から左へ、刃を返して左から右へ。続けざまに繰り広げられる連撃は素早くかつ、正確無比でソードの剣の同じ位置を何度も何度も打ち付ける。歯を強く喰いしばりながら、短剣そして片手剣を専ら防御に回しつつ、一振りするたび一歩また一歩と後退していく。

 雷とそして雷鳴に時折響く爆音が小さな揺れとなり広がるも、二人は全く気付かずにただひたすらに切り結ぶ。朝の陽ざしの光の下で誰にも邪魔される事無く、二人だけの時間が過ぎていく。

 二度の両手剣の薙ぎ払いを短剣で受け止めた時、ついに刃が折れ飛んだ。咄嗟に身体を後ろに逸らし何とか避けるも、長い剣の切っ先がソードの前髪を切り落とす。追撃を腕に付けたバックラーですぐ顔の横で受け止める。一撃ながらバックラーは砕け散り、鞘の中のナイフと共にソードの腕を叩き折った。

 両手剣を片方突き立て足払いから軸足を変えての上段回し蹴り、ソードの片手剣を遠くへ弾くと勢いのまま、両手剣を地面から抜いて斜めに振るう。かつて何度も見せつけられた流れるような連撃を傷付き、癒しながら距離を置く。

 飛ばされた二本の両手剣に腕を、そして足を切り裂いて飛ぶ。背に手を伸ばし両手剣を抜くソードを見てからレインは脇の下へと手を差しいれて、鈍く輝く銃を抜く。五度にも渡る銃声を辺りに響き渡らせると、弾丸すべてを全く同じ位置へと撃ちこみ刃を根元から折った。

 二人とも、短剣、そしてナイフを抜いて切りかかる。三度、三度の連撃の末、鍔迫り合いへと派生する。バイザーに刻まれた細いスリット越しにレインと視線が交差する。雷光が輝く一瞬間に、ソードは短剣を手放し赤い剣の抜剣術でレインの兜を弾き飛ばした。

 追撃を狙うソードの前に高圧の水が吹き上がる。雨のように降る水の中、レインはナイフを口に咥えて防具の胸元へと指を掛ける。プレートアーマーの五角形の小さなパーツを取り外した時、大量の蒸気がそこから湧き上がり、溶けゆく人工肌が露わとなった。

 熱により色白の人工肌が融解していく。今まで気づきもしなかった高周波の音が徐々に大きくなっている。人工肌が音に合わせて膨れ出し、やがて裂けて人体パーツが蒸気の中より現れた。

 数字の零と九が刻印された三重の輪の魔力ジェネレーターが内から順に回転し出す。赤い冷却液を常に蒸気へ変えながら緑の光を撒き散らし、激しく擦れる音を立てる。同時にレインの髪の毛先が白へと変わり、数秒間もの雷光を受けた彼女の瞳の輪郭が白みを帯びて輝いた。

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