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沈む太陽と昇る月  作者: あいあむ
夜の斧
103/112

103

 レインの槍斧を危うい所で回避して、片手剣で切りかかる。重く厚い巨盾を彼女は素早く動かし、ソードの剣戟を真正面か受け止める。剣の薄い刃の先が酷い音を立て欠けて飛ぶ。半歩分の距離を開け、盾での突きを避け切るとバックラーに刃を添えて一直線に突きを放った。

 剣の突きは盾のエッジで受け流される。レインはそのまま身体を捻り、軽々とした動きで槍斧を水平に振り払う。頭を下げて避けた時、金属ブーツの蹴りを見て取り咄嗟に後ろへ転がった。ソードが立つより少し早く、槍斧が風を切って飛翔する。両手で持つことを想定された槍斧はただでさえ重量があるにも関わらず、力のあるレインによって投擲されたその武器は、石畳を容易く破壊し空高くへと大量の土砂を高く巻き上げた。

 バックラーを腕に戻し、片手剣を口で持つ。左右の脚からナイフを抜いて立ち上がった。

 土や砂を切り裂いて、矢のように鋭く短剣が飛ぶ。それはソードのすぐ脇を飛び、背後の建物へと突き刺さる。砂の雨が止んだとき、ソードはレインへ駆けだしながら二本のナイフを続けざまに投げつけた。

 二本のナイフは雷光を受けて一瞬鋭い光を放つ。レインは武器を持っていない手を盾の下の更に脇の下へと差し入れると、銀に輝く銃を取り出し、銃口を飛来する二本のナイフに差し向けた。

 続けざまに二発の銃声が木霊して、回転式の弾倉が六分の一ずつ回転する。正確無比の弾丸は向かうナイフに命中し、どこか遠くへ追いやった。

 さらに二発の威嚇射撃で走るソードの足元から石の破片がはじけ飛ぶ。口から剣を受け取ったソードの勢いは衰えず、レインは静かに銃をソードに向けた。

 最後の弾丸が放たれる。ライフリングで回転しながら、弾丸は剣などよりも高速で走るソードに向かって飛ぶ。レインの弾は少し低めの軌跡を描き、ソードの膝を破壊し飛び抜けた。

 姿勢が大きく崩れるも、瞬時に癒して踏み止まった。勢いを衰えさせる事も無くソードは剣を振りかぶる。右足、そして左足へ重心を移動させつつ身体を捻る。精一杯の一撃をレインは盾で防ぎ止める。ソードは盾に向かって蹴りを入れたが盾は微動だにしなかった。

 蹴りの直後の大きな隙を突きレインはソードに盾を飛ばす。盾はまるで壁のようで、受け身も取れずに突き飛ばされた。

 擦り傷、打撲に骨折と受けた傷を魔法で治す。革の防具の損傷は軽いとも言えず、すぐに限界が来るだろう。

 レインは歩み寄りながら、銃をかなぐり捨てて両手を自分の背に回す。自分の身長をも超えそうな二本の両手剣を抜き、軽々振って左右に構える。

 彼女特有の馬鹿みたいなパワーと、レプリカントの正確さとを生かした戦い方はこれまで何度も何度も傍で見て来た。勝ち目なんてありはしない。戦う前から決まっていた。それが紫ランクの戦闘なのだ。

 片手剣を杖の代わりにやっとのことで立ち上がる。新たに短剣を抜くと、二本の剣を迫るレインへと向けた。

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