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 突き薙ぎ払い、右へ左へと打ちつける。打ちこむ度、下がるドレイクに苛立ちながらタクトは迫る。

 ドレイクの剣は大振りで、一撃は強く重たい。だがそれはドレイクの側に攻撃の意志がある時だけの場合であって、時空の勇者自身を守るにはあまりに重く、極めて不便な物だった。

「やめろ。お前と争うつもりは無い。武器を納めてくれればそれでいい」

 真上からの叩きつけ、蹴り上げ下から叩き上げる。剣で押さえたドレイクへ、ナイフを引き抜き投げつけた。鋭く輝く短い刃は、時空の勇者へ飛んでいく。咄嗟に避けた彼女の耳を少し切り、髪を散らせて飛び抜けた。

 杖を片手に剣を抜き、柄で突き飛ばして切りかかる。逃げ続けていたドレイクは一転して迫り、肩からタクトへぶつかった。

「タクト。なぜ攻撃するのだ。お前が剣を納めぬのなら、私も剣を抜くしかない。守るべき物の為にも、戦わなければならなくなる」

 タクトの剣は手から離れて回転しながら飛んでいく。片手を着きつつ体勢を立て直すと、今度はタクトが体当たりする。

「私も私の為に戦っている。邪魔しないで」

 大剣でバランスを取りながら、二本の脚で地に線を引く。間髪入れずに迫る杖を腕で受け止め掴み上げた。

「例え剣を向けようとも、お前は私の守るべきものだ。守るためのこの力を、守るべきものに向ける訳にはいかぬ」

「アンタの助けなんて必要ない。私は私だけでやれる」

「なにを愚かな事を。お前一人で生きているつもりか!」

「私に私がついている。私が私についている。それで文句あるか」

「文句しかないわ、馬鹿者」

 ドレイクは掴んだ杖を強く引き、タクトを寄せて頭突きを入れる。視界が一瞬だけ光輝き、武器を手放し額を抑えて大きくよろめく。ドレイクは奪った杖を手放し捨てる。杖は石畳の上へと落ちて何度か弾み、薄暗い街の中へと澄んだ音を響かせた。

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