3 ワイバーン肉の串焼き①
動物の肉は、基本的には雄より雌の方が美味い。臭みが少ない。ワイバーンもそうなのだろうか。影の中にしまった雌ワイバーンの肉の重みを身体に感じながら、そんなことに思いを馳せていた。しかし、雌一頭で許容量一杯になっちゃったな。仮に雄がいても、持ち帰ることは叶わなかったろう。ちょっと食べ比べてみたかったけど仕方ない。
今は昼下がり。乾燥した大地を、私たち討伐隊は一人と欠けることなく帰途についている。私自身が浮かれていたためにそう見えたかも分からないが、討伐隊の面々は多少浮ついているふうに見えた。それを裏付けるように、往路に於いて、ツァラハトの迫力に敬遠されていた私たち冒険者の紅一点も、何かにつけて話しかけられる事が増えている。王都に戻ったらどうすると喜色を滲ませて聞いてきたり、帰ったらみんなでぱーっと遊ぼうとか誘われたり。多くは討伐成功の喜びを分かち合うものであり、どうにも本心から喜んでいるようだったので、適当にあしらって水を差すのも憚られる。あとは、先程披露してしまった収納魔術について聞かれたりもした。
「カンロちゃん、あんまり不用意に男の人と仲良くしちゃいけないよ」
「う、うん」
遠征初日に、私が男たちに囲まれて酒盛りしているのを咎めて以来、タットゥはだいたい常に私の側にいる。私が冒険者と話をするとあまりいい顔をしない。冒険者が男所帯なのは私でも知っている。男に何か嫌な思い出でもあるのかもしれない。聞く勇気はないが……。代わりに、気になっていたことを尋ねる。
「ところで、私たちは今どこに向かってるの? 来た道じゃないよね」
「……カンロちゃん、聞いてなかったの?」
「ごめん」
「エピスの村だ。ワイバーンの被害に遭っていて、私たちを呼んだ」
やっぱり浮かれていたようだ。肉の味に思いを馳せて、騎士団の説明を聞いていなかったらしい……。エピスの村は、往路では訪れなかった地だが、私たちは真っ直ぐ王都へ戻らずに一旦そこへ寄って、ワイバーンを除いたことを報告しつつ補給を行っていくらしい。補給。いい言葉だ。蠱惑的だ。だが、今の私はそれよりも、やっぱりワイバーン肉が気になる。早くそのお味を確かめたい。そのためにも、夜の野営まで頑張らないといけない。夜までに、お腹を空かせておくべきなのだ。西日が眩しいが、まだ頑張れる。
「カンロちゃん!」
「あっ、と……なに?」
「また聞いてなかったでしょ?」
「ごめんなさい」
いかんいかん。また上の空になっていたらしい。気をつけないととは思うが、食べ物のことになるとどうも……。再び謝ると、ツァラハトが補足してくれた。
「いやなに。ワイバーンの肉をどうするのかと聞かれていたぞ。タットゥも、もちろん私も気になっているんだ」
「うん? まあ、食べるけど……そうだね、まずは塩焼き、香草焼き……鶏肉っぽいって聞くけど、どこの肉がどうとかはわかんないから、色々試してみるかなあ。酒蒸しなんかもいいかも」
「えっと……そうじゃなくて、売ったりはしないの? あれだけのお肉、全部食べちゃうわけじゃないでしょ?」
肉がどれくらい保存が利くかによるけど。熟成がどのくらいが適当かもわからないが、そこは毎日食べ比べていけばいいのではないかと思う。ちなみに、影の中はひんやりしていて熟成には便利だけど、時間が止まるなんてことはさすがにない。じゃなくて。今聞かれているのはそういうことではないな。
「うーん。買って貰える伝手はないなあ。情報屋に聞けば、あいつなら知ってそうだけど。……そうだ。じゃあ、一緒に食べる?」
「えっ」
「ほう」
記録には残ってるんだし、食べられないって事はないと思うけど。タットゥは動揺し、ツァラハトはちょっと興味を示してくれる。
「よかったら、野営の時に試してみない? 今は岩塩くらいしか持ってないけど、今夜にでも!」
「か、考えとくね?」
岩塩とともに持ってきた香辛料は、道中の携行食の味がアレすぎたために使い切ってしまった。己の無計画を呪う。叶うならばエピスの村にて補給できればいいのだが。香草くらいあるだろ、たぶん……。
「いやいや、タットゥ。こんな機会、そうそうあるものでもない。冒険者であれば野営に使える食料の知識を富ませるのは、これはもはや義務だと思わないか?」
「いやいやいや、ワイバーンなんてそんな、食べるために狩るアレじゃないし! ていうかそうそうないって自分で言ってるじゃない!」
道中は、タットゥも、これまで無愛想な顔しか見せていなかったツァラハトも笑みを浮かべ軽口をたたき合っていた。冒険者の仕事は分からないけど、今の彼女たちは言うなれば花金のサラリーマンみたいな気分なんだろう。でも、帰るまでが遠足もとい遠征なので、あまり気を抜いちゃいけない気もする。まだ雄はやっつけてないんだし。……そういえば、雄は討伐しないでもいいのかな。まあ、騎士団や高位冒険者たちがいいって判断してるならいいんだろう、きっと。
日が落ちる頃、私たちは野営地に辿り着く。湖の畔だ。山嶺から浸透した雪解け水が地下水となってここに染み出しているらしい。乾燥したこの地にあって、豊かな緑が辺りを包んでいる。ゲームだったらセーブポイントって感じだ。騎士団は卵のお守りをする班と野営の準備をする班に分かれたようだ。冒険者たちも、各々のグループで火を焚いたり水を汲んだりしていた。
「あっ! しまった……」
「? どうしたのカンロちゃん」
「薪を拾うの忘れてた……」
いつもの穀物粥は、鍋一杯分の湯を沸かす火力があれば充分だったので、タットゥの魔術で加熱するのが常となっていた。しかし、三人分のワイバーン肉を焼くとなると、タットゥに任せっきりになるのはいただけない。魔力消費もそうだが、何よりタットゥが食べられないではないか。焼き肉奉行という役職は、他の人より食べられないのが常なのだ。思い至らなかった私のミスだ。
「わ、私は別に食べなくてもいいんだけどなー」
「だが、魔力は温存すべきだと思うぞ」
「それは、そうだけど……」
タットゥは遠慮するが、ツァラハトが正論を述べる。多数決でも過半数を超えたので、二人の休息の時間が遅くなるのは心苦しいけども、私は提案した。
「今から拾っても大丈夫かな」
「うーん、そうね。ここは木もよく生育してるし、薪には困らないとは思うけど……」
「私も手伝おう」
私は二人に頭を下げた。それから、先程歩いてきた獣道へ踵を返して乾いた林の中を散策する。時節は春なので、大地にはすでに緑が芽吹いているが、散策に支障が出るほどの背丈でもない。大きな水源も近いし、ピクニックにはちょうどいいかもしれない。魔獣とかそういうのがいなければ。でも、ピクニックで人が賑わえば、そのぶん薪の需要が増して拾い集めるのが大変になるのでまあいいや。人の手がほとんど入っていないおかげか、手頃な枯れ枝があちらこちらに落ちていて、思ったより早く集まりそう。
「カンロちゃん、眼がいいね……。もう暗いのに」
「えっ、えーと。まあ、そうだね。どっちかっていうと夜目が利く方かな」
「今日は満月だ。私のような狼人にとっても、昼と同じだな」
ツァラハトもいいペースで集めている。その大きい体躯に合わせているのか、抱えているのは大きめの立派な枝が多い。ありがたい。土に埋もれて湿っている枝は使えない。この木の枝は煙がめちゃくちゃ出るから使えない。薪の質についても抜かりなく精査していく。食に関しては手を惜しまない。どのくらいの火力が要るか未知数であるが、まあいいやつを多めに持っていくに超したことはない。
「こんなところでいいだろう」
「そだね。ありがとう二人とも」
「ちょっと野営地から離れちゃったね」
気付くと、遠くに聞こえていた討伐隊メンバーの喧噪が、今は聞こえなくなっていた。楽しく会話しつつの薪拾いに熱中するあまり、ちょっと野営地から離れてしまったようだ。迷子になるといけない。私は二人に気付かれないように、自らの影の一部を僅かばかり切り取って、蝙蝠の形に変えて飛ばす。シルエットは蝙蝠だが、その色は真っ黒。注視すれば本物の蝙蝠でないと見破られるかもしれないが、闇夜に飛ばす分にはまず分からない。こいつに視界共有させれば帰り道に困ることもない。空からの視界には、湖に反射する月と、湖の傍らに揺れるたき火たちが遠くに見えていた。
ほっとしたのも束の間、違和感を感じた。蝙蝠の視界が暗くなる。何かに覆い被さられたかのように。辺りを照らしていた月が、何者かによって遮られたのだ。私は蝙蝠の視界を操り、光源のあった位置、つまり月を見上げる。すると、空を舞う蝙蝠の私のそのさらに上空に、大きな影。黄色く丸い満月を背景にしてそこにいたのは、巨大な生き物。満月が逆行となって、シルエットしか分からない。あのシルエットはいつだったか、というか、ごく最近見たような。いや、昼間よりも多少ごつごつしているような。そこには、ワイバーンが飛んでいた。一瞬の後、蝙蝠の視界が暗くなる。喰われた。一口にも満たなかった。魔力の繋がりが途切れ、視界が閉じる。
なんで雄がここに? 騎士団の皆さん、雄が追って来ちゃったよ! 復讐はしないって言ったじゃないですか! 放っておいちゃだめだったやつじゃないですか! ……でも待て、偶然遭遇しただけかもしれないし。いや、今はそれはいいか。そうだ、今は如何に対応すべきかだ。蝙蝠は食べられてしまったが、あれは私の魔力を糧に作り出す疑似生物、いくらでも出せる。たくさん出して、遠くの方へ誘導でも出来ないだろうか。影に魔力を練りつつ思考する。一口にも満たない蝙蝠がいくらいれば、十分な距離を稼げるのか。
……そもそも、ワイバーンって蝙蝠食べるのかな。
だって、一口にも満たないんだぞ。私が操る蝙蝠はともかく、普通に生息する蝙蝠は機敏だ。ワイバーンが獲物と認識するに足るのだろうか。疑問が湧き上がる。いや……正直にいうと、疑問ではなく焦り。私は焦燥を感じていたのだ。私がやらかしてしまったのではないかと、気が気でないのだ。思い当たってしまうと、思考の坩堝に囚われる。
――あいつ、雌の匂いを追ってここまで来たんじゃないか? いや、匂いなのかそれとも魔力の残滓を追ってきたのか、定かではないけれど。匂いを追ってきてみれば、雌の匂いを漂わせているのが蝙蝠だったから、落胆とか憤懣を覚えて、ふつう歯牙にもかけないであろう蝙蝠に攻撃したんじゃないのか。雌が、まだ生きていると思って。
つまるところ、私が雌の遺骸を欲張って丸ごと回収したから、あいつは雌の死を確認できず、雌の痕跡を辿って今ここに居るんじゃないか。
「――ロちゃん! カンロちゃんってば!」
「わぁ! はい!」
「あっ気付いた。その、どうしたの? 急に立ち止まって」
「何かあったのか」
彼女たちの顔には、私を慮る表情が浮かんでいた。尋常でない私の様子を見て、心配してくれたのだろう。そして、私をきつけさせるために、大きな声で名前を呼んだ。その大きな声がよくなかったのだろう。気付けば、タットゥの背後に、風を裂く音が迫っていた。降下するワイバーンの足の、その鋭い爪が彼女の首筋に迫る。それは、鍛えられた刀身のように、月明かりを受けてぎらんと衒っていた。ああ、あんなもので裂かれたら助かるまい。私の落ち度で死ぬ。私を慮ってくれた彼女が死ぬ。そんなのは、だめだ。
「タットゥ危ない!」
私は彼女の衣服を掴むと、横に薙ぐように乱暴に引っ張る。それと同時に、胸の辺りが熱くなった。感情がどうこうという比喩ではない、物理的に熱いのだ。爪は、私の矮躯を容易く貫き、たくさんの血潮に濡れる。タットゥの方を見遣ると、尻餅をつき呆然とした表情でこちらを見上げている。怪我がなさそうでひとまずほっとする。咄嗟だったから手加減できなかったのだ。ツァラハトも、同じような顔をしている。私より遙かに身長のある彼女に見上げられるのは、ちょっと新鮮だ。今、私は浮いている。ワイバーンが中空に羽ばたいていて、その足の爪に私がくっついているのだから、まあそうなる。痛いので引っこ抜きたいが、両足が浮いているので踏ん張りが効かず上手く引っこ抜けない。そうこうしている間にワイバーンが、人が虫を手で払うかのように足を振るうと、私の身体は鋭利な爪に切り裂かれ、上下に分かれてしまった。
まあ大丈夫。吸血鬼だから。
ワイバーンが咆哮する。それにも怖じず、ツァラハトはタットゥを鼓舞し、タットゥもそれに答えた。よかった、ひとまず無抵抗に殺されてしまうことはなさそう。ワイバーンが降り立つ。私の胸から上はぽーんと飛ばされたのでちょっと遠くに落ちたが、下の方は重力に従ってワイバーンの足元に転がっていた。運がいいのか悪いのか、私の下半身が踏み潰される。あーあー……めちゃくちゃだよ。でも、踏まれてしまったからには活かさない手はない。私は下半身から影を伸ばし、ワイバーンの足を絡め取る。影は伸ばしすぎると強度が下がるが、これだけ密着していれば、硬度は充分。ツァラハトの大剣だって受け止められるほどだ。私の魔術の発動を認めたタットゥとツァラハトが驚愕の表情を浮かべ、私(上)を見る。目が合った。タットゥが涙を浮かべながら頷く。
動きを止められたワイバーンは、自らの足にまとわりつく鬱陶しい影に何度も噛み付いた。岩を削るような音がする。しかし、その拘束が緩まることはない。大剣を抱えたツァラハトが迫ると、ワイバーンは一旦影を払うのを諦め、ツァラハトを迎撃すべく翼腕を振るう。ツァラハトの操る大剣が翼腕とぶつかり、これまた頭に響く低い音を立てる。一太刀合わせた彼女は、ワイバーンの拘束が簡単には解けないとみると、後退し間合いを取る。翼腕を振るったとしてももう決して二人には届かない。タットゥが詠唱を開始する。魔力の奔流がタットゥを中心として巡り、余波が魔力風として流れ、森がざわめき、木の葉が舞う。それを驚異とみたか、ワイバーンがタットゥに向け、口を大きく開いた。炎のブレスを吐き出す。私はとっさに影を伸ばすが、その防御は間に合わない。タットゥは避ける素振りすら見せない。それは、単に魔術に集中しているからではなく、ツァラハトが守ってくれるという信頼の元、魔術に全力を注いでいるのだった。ツァラハトは、ワイバーンの火炎放射を縦に切り裂いた。木々が炎に晒され、一瞬の後に燈色に包まれ燃え上がる。だが、二人は変わらず立っている。ツァラハトの大剣は赤熱し、その柄を握る掌から水分が蒸発する音がする。だが、柄を握る力は微塵も衰えてはいない。ツァラハト、と彼女が小さく名を呟くと、ツァラハトは素早く横に跳んだ。タットゥの魔術は完成した。タットゥが激情を込めた悲痛とも言える叫びをあげた。
「ぁぁぁああああ!!」
放たれた不可視の風の刃は、ワイバーンの頭蓋を縦に割り、長い首の半ばほどまで到達し、それから風に溶けて消えた。余波の魔力風がタットゥの浮かべていた涙を散らした。
辺りが炎に包まれる中。タットゥが私の前で泣き崩れている。その手は、血に染まるのも厭わず、私の抉られた胸に当てられている。ツァラハトも沈痛な面持ちで佇んでいる。ごめんね、ごめんねと謝っているタットゥ。治癒魔術は要らないから止めてと、半分ほど失せた肺で息も絶え絶えに伝えてみても聞いてくれない。ツァラハトがタットゥの隣に屈み込み、彼女の肩を優しく叩いて言う。
「カンロが、何か伝えたがっている。聞いてやれ」
「っ……うん」
ごめんね、というのはこっちの台詞だ。本当は言うつもりもなかったけど。このまま彼女の心の傷になるよりは上等だろう。
「いや、あの、ごめん。私は大丈夫だから、ちょっと離れて……戻れない」
上半身から影を伸ばして、下半身の影と繋げる。影の中に、無残な姿になった下半身を取り込む。上半身の傷口に影を覆わせ、元に戻していく。胸から下が、傷のない身体となって生えてくる。影は徐々に下へと移動し、胸部、腹部、脚へと順に再生する。影は当然黒いもんだから、なんというか、蛇花火を思い出した。にょろにょろと生えてくる下半身。そう考えると、この光景もちょっと間抜けだ。やがて爪先まで元通りになると影をしまい、私は立ち上がった。
「ごめんね。私、吸血鬼なんだ。二人の血はいらないからそこは安心してほしい」
「……」
「……」
しゃがみ込んでいる二人は、信じられない物を見る目で私を見上げる。タットゥはともかく、ツァラハトのこういう表情はレアだ。でも、見納めとしてはちょっと間が抜けていていやだなあ、と勝手な思いを抱く。
「黙っててごめんね。私、もう行くよ。薪、無駄に拾わせちゃっ、むぐ」
「カンロちゃん!!」
視界が金に覆われた。タットゥが素早く立ち上がり、私を抱き寄せたのだ。揺れる金の髪が私の鼻をくすぐる。
「よかった……! ごめんね……ありがとう、カンロちゃん……」
「えっと、その」
水浴びするときとか、不可抗力で見てしまったけど。タットゥは結構大きい。柔らかい。なんというか、彼女は真剣に涙を流してくれているのに、こんなことが脳裏を過ぎってしまうなんて、男の意識というのは度し難い。ごめんよ。つい助けを求める視線をツァラハトに送ってしまう。ツァラハトは立ち上がっていて、眉を顰めたまま私に問いかけた。
「カンロ。大事はないのか」
「えっと、はい」
それはよかった、と安堵を見せたツァラハトは、続けて述べた。
「……私たちはそれなりに長く冒険者をやっている。お伽噺よりも、自分で見知ったことの方があてになると知っている。尤も、さすがに吸血鬼に会ったことはなかったが……」
「ツァラハト……」
「吸血鬼が人に仇為す存在だとしても、カンロの人となりは短い付き合いながらもわかっているつもりだ。……さ、ともかくここを離れよう。熱くてかなわない」
燃え盛る林を見渡しながら彼女はそう言った。赤く照らされる彼女の姿を、私は純粋に格好いいなと思った。
「あ、待って。その、私の事、秘密にしてくれる……?」
「無論。……さあ、タットゥも泣き止め。カンロが動けないぞ」