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第一話 お袋は姫騎士!?

 本作は、異世界で神への供物として(にえ)となり『(とき)の狭間』に(ささ)げられた美少女たちが、異世界転移してくる朽木村(くちきむら)での嫁取り話となっています。

 異世界転移した彼女たちは仮死状態で現れますが、この世界の者が受け入れないと目覚めることなく、この世界の異物として……(はかな)く消え行く定めなのでした。



英雄(ひでお)よ、お前はハンサムなのじゃから、彼女の一人くらいは()るのじゃろうな?」


「うるせぇ~な、親父! 俺がモテないのは性格が親父に似たからじゃねぇ~か。親父は美少女だったお袋をきっちりと嫁にしやがって!!」


(わし)のことが(うらや)ましいか」


「う、(うらや)ましくなんか……ないわ! くそ親父め!!」


 俺の名前は天野英雄(あまのひでお)と言い、東亜大学の4年生に在学している21歳の好青年だ。


 中肉中背だが、顔には自信がある。


 俺のお袋は真璃亜(マリア)というのだが、(すこぶ)る付きの美女である。


 つまり俺は、容姿が母親似で、性格は父親似であったわけだ。


 今までも言い寄ってくる女性が居ない訳では無かったのだが、地味な俺の性格を知ると離れていった。


 俺に取っては、【彼女】とか【嫁】とかといった言葉は禁句だったのだ。


 (ちな)みに親父は、日帝大学で民俗学を教えている教授である。


 日頃は、(かび)の生えたような古文書が(うずたか)く詰まれた研究室で研究しているか、各地の伝承を集めるために田舎巡りをしているらしい。


 対してお袋は、現在でも往年の美貌を誇る美熟女だ。


 しかも剣道の腕前は全国大会で優勝するような凄腕剣士であり、護身術にも()けた女傑である。


 一方では、社交性も高くて地域の奥様方からの絶大な人気を誇り、来訪者が絶えない充実した日々を過ごしている。


 その強くて高貴な雰囲気から、女王様だとか女勇者だとかと呼ばれることもあるらしい。


 まるで電脳遊戯(パソコンゲーム)での【姫騎士(・・・)】のような女性であった。


 まあ少々、(とう)が立っているのは(いな)めないが……。


「モテない息子に儂は、美少女の彼女を紹介してやっても良いのだぞ」


「冗談も大概にしろよ、腐れ親父め!」


何故(なぜ)、冗談と決め付けるのじゃ。現に儂は真璃亜を嫁としておるではないか」


「そんな奇跡が二度と起こるかよ」


「まあ、儂の話を聞け。実は……、真璃亜は、異世界から転移してきた【姫騎士(・・・)】だったのじゃ」


「はっ!? 親父、頭は大丈夫か?」


「まずは儂の話を聞けと言ったじゃろうが」


 俺は親父がこんな見え透いた嘘をいうとは思わなかった。


 でも真剣な様子で語る親父の熱意に(ほだ)されて、聞き入ってしまったのだ。


 親父の説明によると母、真璃亜は、マリア・アネッタ・デ・アルンデルセという西洋風の洒落(しゃれ)た名前が本名だったらしい。


 以前は、天涯孤独で世間知らずな美少女だったお袋を、親父が強引に手篭(てご)めにしたと思っていたのだ。


 お袋は美人だが、髪は茶髪で目の色は黒瞳と一般的な日ノ本人である。


 確かにお袋の顔立ちは彫りが深くて西洋人的な雰囲気もあるが、国際結婚が一般的な現在では誤差の範囲といえるだろう。


 ところが親父の説明によると、異世界転移してきた当時のお袋は、青髪に青灰色(せいかいしょく)の瞳の美少女だったらしい。


 勿論(もちろん)、スタイル抜群でスレンダー体形にも(かか)わらず、美しい巨乳の持ち主だったという。


 ただ、親父と過ごしている内に、徐々に髪の色が茶髪にくすみ、瞳の色も濃くなって黒瞳へと変化していったのだとか……。


 既に俺は親父に担がれているのではないかと考えていたが、堅物の親父が語る妄想(ファンタジー)(たま)には良いかと聞いていた。


 親父(いわ)く、マリアは異世界のアンゼルセ王国の第二王女であったという。


 そしてマリアは、幼い頃から有名な剣士の手解(てほど)きを受けて姫騎士となったのだとか。


 そんなマリアだが、普通に考えると政略結婚とはいえ、許婚(いいなずけ)の某国の王子と幸せな結婚式を挙げていたはずだ。


 ところが、好戦的な隣国が攻めてきたことにより、運命は大きく変わった。


 姫騎士たるマリアは、近衛騎士たちを率いて果敢に戦うも、圧倒的な戦力差でアンゼルセ王国は降伏し、マリアは危険人物として幽閉された。


 その後、マリアは、隣国の繁栄を願う祭りの(にえ)として神に奉げられることになったのだという。


 異世界では、神への供物として(にえ)(ささ)げる因習があったのだ。


 奉げられる贄は、見目麗しい美少女に限定されていたという。


 神への供物は、最も価値のある者でなければご利益(りやく)はないとされていたからだ。


 身を清めさせた後、白装束を着せてから手足を聖別した荒縄で(いまし)めて拘束し、豪奢な輿(こし)に乗せて祭場へと運ぶのだ。


 何という、勿体無(もったいな)い話だろうか。


 そして祭場は『(とき)の狭間』と呼ばれる(かすみ)が掛かった深い峡谷(きょうこく)の絶壁から張り出した岩塊の上にあり、輿(こし)ごと贄を投げ入れるのだという。


 だが、投げ入れた贄は落下の途中で消失し、谷底を(さら)っても壊れた輿以外には、美少女の遺体を発見することはないのだとか。


 だからこそ、神が供物として受け取ったのだと考えられていたのだ。


 だが投げ込まれた美少女が、願いの代償として消失したわけではないことは明らかだ。


 異世界から消失した美少女は、界の壁を越えて日ノ本へと遣って来ていたのだ。


 そして、彼女たちの行きつく漂着地点が朽木村(くちきむら)にあるのだという。


 朽木村は、辺鄙(へんび)な片田舎にある寒村(かんそん)だが、美男美女が多いことは、知る人ぞ知る秘密であるらしい。


 つまり異世界転移して流れ着いた美少女たちを嫁として娶っていたことから、村人たちも自然と美男美女になったらしいのだ。


 そして俺は親父から、美少女の異世界転移者を村人の目を盗んで()(さら)う方法を教えてもらった。


お読み下さり、ありがとうございます。

続きは、以下の予定で公開します。


第二話 朽木村に潜伏す  11月23日06時公開

第三話 特異日        11月23日12時公開

第四話 妻問い        11月23日21時公開



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