第3話 つかめ!初勝利 その3
堺堀との再戦。結果は?
「しかし、大丈夫か?」
「ああいうアホそうなの」
「おい、あいつ俺より成績上だぞ!」
「ホントか?」
「中学でも塾でもぶっちぎり1位だった」
「それが追っかけやってるのか」
「追っかけられるのも大変だな」
「ときにサイゴンって」
「まあ芸名みたいなもんだ。紺野 彩の彩と紺でサイゴンだとよ」
「で、バンド組むの?」
「まずは試合のほうで勝てば、かな」
「なおさら勝たなきゃな」
「で、公式戦は」
「3週間後だな」
「もっと練習試合やろうぜ」
「そういうと思って堺堀に再戦申し込んどいたよ」
「金曜日の夕方だってさ」
ちょうど土曜はみちるや千春と歴史部の方で日帰り旅行だから金曜日試合は都合いい。
「それまで練習しっかりやろうぜ」
堺浜のフィールドで再度練習試合。
向こうも前回と同じメンバーだ。
「いくぜ!」
応援団もみちるに千春に加えて彩が来ている。
松風先生も座っている。
「勝てばカプチーノ、負ければエスプレッソだよ」
また同じように開幕砲撃をしてくる。
しかし、今回は俺たちも開幕砲撃を仕掛けた。
同時に短距離攻撃の俺、守、俊也が煙幕を張る。
守と俊也はその間に右側からAS-90の側面へと回り込む。
俺は左側からだ。
威嚇とばかりに礼介のロケット砲がチャレンジャー2の進行予想ルートを塞ぐ。
馬蹄型の煙幕で敵を包囲する。
AS-90が煙幕内に砲撃をかけてくる。
晴が発射地点から現在の場所を予想する。
「予想地点を包囲しろ」
俊也は後ろから、守と俺が両サイドから砲撃する。
さらに煙幕の途切れたところから俊也の突撃。
チャレンジャー2のうち1人はAS-90の防衛で残っていたが、晴の砲撃でAS-90と分断される。
砲撃をガードするので手一杯のようだ。
「今だ!」
俊也の主砲でまずAS-90の1人が撃破される。
続けて礼介のロケット砲でチャレンジャー2の1人が撃破。
残る2人も小破らしい。
挟み撃ちでAS-90もう1人も大破に追い込む。
が、チャレンジャー2の反撃で守が小破する。
「気にするな!AS-90潰しが先だ!」
俺と俊也の挟み撃ちでAS-90残り1人も撃破。
そこへ晴の砲撃で俺の右横に回り込んだチャレンジャー2も爆風をくらい、撤退する。
やはりスピード差で
「礼介!追い込むぜ!」
「そっちは任せた。俊也、もう1人を探してくれ。」
俊也が反対側、相手が張った煙幕の中に突っ込む。
俺と守は俊也と距離を取って両サイドに迂回。
と、煙の中から機銃掃射してきた。
音からして主砲同軸機銃のようだ。
さっとフェイントでかわして主砲を打ち込む。
チャレンジャー2、中破判定のあと撃破に変わる。
俊也が後ろからも砲撃して撃破したようだ。
最後のチャレンジャー2がそのタイミングで俺の後ろを取った。
「まずい、後ろだ!援護頼む」
「撃、伏せろ」
俺が伏せた瞬間、爆風が飛んだ。
晴と礼介のダブル攻撃が重機関銃側に直撃したらしい。
撃破判定が出た。
「堺丘の勝ち」
「おお!」
「勝利だ!」
「負けたな」
「こっちが今度は完敗だよ」
「いい試合だった」
「胸貸してくれてありがとう」
練習試合とはいえ白星を勝ち取った。
これが伝説の始まりなんて、カプチーノを飲んでる俺たちには気づくはずもなかった。
★解説
☆タンクロック
タンクミュージックの一種でタンキングの装備を楽器にして演奏するロック。
演奏は楽器用の特殊弾を装填して行う。
また発射音や走行音を録音して使用する場合もある。
他にもタンククラシックやタンクジャズなどがある。
☆装備の運搬
装備はケースに収納。
ケースをカートに乗せて運ぶことになる。
なお自走砲など長い車種の場合、電車やバスで別料金になることもある。
☆チャレンジャー2
イギリスの主力戦車。
55口径120mmライフル砲を主砲にしている、
☆主砲の同軸機銃
主砲横にある機銃。
対歩併攻撃が中心で対空用の重機関銃に比べると小型のものが多い。
☆煙幕
主力戦車などに積まれている煙幕発生
ついに初勝利した一撃たち。次は公式戦だ!




