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せんしゃぶ!  作者: ヨシウス
16/24

せんしゃぶ! 第18話 煙晴れれば

曇りなく突き進むサカキューのまえに投げられる煙

タンクメッセからの帰路、ようやく北野田駅に着く。

改札を真っ先に出る。

俺「1番乗り」

1番という言葉が虚しく響く。

みちる「撃くん、優しいんだね」

俺「お前もだろ」

俺とみちるの心を覆う黒雲。

英雄と数子、皐月の心の傷。

夜空は雲に覆われ、星も見えない。


3人とも、あれほど更新していたSNSを放置している。

チャットにも出てこない。

戦車タッグコンテストの投稿写真にある

「俺たち、永久LOVE!」

のスタンプ。

みちる「もし私たちが同じことになったら」

俺「俺たちも永久LOVEだろ」

みちるをギュッと抱き寄せた。


翌日は快晴だった。


職員室で松風先生がノートPCいじってなにやらやってる。

俺「ちょっと質問があるんですが」

博「おお、なんだ」

俺「次はどんなプロモーションしかけるんっすか」

博「ちょうどいいタイミングだね」

PCの画面にはみちるや彩の写真。

俺「ひょっとして女子の?」

博「そうさ。このまま全国出場すれば話題になる」

俺「信じてるんですね?」

博「当然だよ、それが教師さ」

それで最近女子の話題が盛り上がってたのか。

博「君と真下さんの写真、使っていいかな?」

俺「使っていいですけどまたなんで」

博「君たちみたいなリア充カップルが勝ち進んでると話題になるだろ?」

俺「知ってたんですか?」

博「戦車タッグコンテスト、お前らのPV数観てみろよ」

少し派手すぎたか。




試合のほうは快進撃を続けてあっという間にダブルス地域予選決勝になった。

ライバル校も順調に勝ち進んでいる。

守「彩高、順調にすすんでるじゃん」

千春「だから言ったでしょ」

彩「簡単に崩れるわけねーだろ」

晴「北農に宇土工、吉備体に陸星、どこも全国に王手掛けてるな」


ネットやスポーツ誌では「女子も快進撃 サカキュー」と見出しが踊る。

バッチリ俺達の顔も映る。


タンククッキング大会は蔵人が近畿予選突破。

こっちもレシピサイトやグルメサイトで顔が出るようになった。


そんな小春日和の週末。京阪奈学研都市での決勝戦。

男女は伊賀高。丹後と保子のストライカーコンビ。

男子は子午、女子は堺堀。


晴「女子はついに堺対決か」

零華「かすがの言う通りになったってわけか」

守「子午って団体戦出てこなかったよな」

晴「カテゴリー・キラーといって狙いを絞るタイプだ」

蔵人「実況で盛り上がってたぜ、洛壁も堺堀も引きずり下ろしたって」


かすが「ふう、男子も男女もしてやられたかあ」

丹後「そちらも大したものだ、こっちもギリギリだった」

かすが「うちのキャプテンカップル、どこで競り負けたのやら」


試合前の挨拶。


フィールドは遮蔽物がない。

広い草原だが、秋も終りに近いのか枯れ草ばかり。


まずは保子が突っ込んでくる。

俺にとっては練習も含め初めての相手だ。

砲撃を砲塔でかわし反撃に打って出る。

みちると俺のダブル砲撃で追い詰めていく。

みちる「撃くん、丹後は?」

俺「いつも通り、背後を取って攻撃する腹だろうぜ」

みちる「なら撃くん、背後を頼むね」


案の定迂回してきた丹後を完全に回り込ませないよう牽制の砲撃を食らわせる。

丹後はあっさり身を交わす。

チーム戦の時よりも上達している。

さすがだ。

煙幕を張って煙で遮蔽する手段に出てきた。

俺「みちる、そっちも注意しろ!」

言い終わらないうちに保子が煙幕を張ってきた。


みちる「煙の中で決着をつける気みたい」

なら、この戦法がある。

匍匐し、敵の動きを待つ。

煙の中を耳を澄ませる。

とはいえ伊賀高、忍者殺法と言いたげに簡単には音を出さない。


なら…


みちるの手のひらに作戦を書く。


お互いをカバーしながら同軸機銃と副武装の機銃で足元を掃射する。

わざと弾幕の隙間を作り、そこへ2人を誘い込む。


突っ込んできた丹後と保子に俺達の主砲が炸裂した。


撃破のマークが出る。


煙が晴れる。


保子「やぶさめのくせにしゃがむの?」

みちる「しゃがむ戦車もあるよね」


フィールドを出ると走ってくる部員たち。


守「おーい!」

彩「勝ったぜ、男子も女子も!」


ダブルスも手に入れたぜ、全国大会への切符。



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