第4話 公式戦突破せよ その2
戦車部の練習を見つめる謎の女!
公式戦前日、俺たちは堺浜で練習していた。
いつもは通りすがりの暇人くらいしかいない観客席になんか背の高い短髪の女がいる。
着てるスポーツウェア、我が高のユニフォームじゃないな。
その女がこっちへ歩いてきた。
「誰だ、あんた?」
「あんたと同じ堺丘生だけど」
「だれか用?」
「大島くん、いる?」
晴が駆け寄ってきた。
「晴、知り合い?」
「同級生だよ。な、出崎さん」
「うん。4組の出崎美香です。」
「申し遅れた。俺がキャプテンの狙だ。」
「あ、ネットのニュースに出たの見たよ」
「お、そう言われると嬉しいね」
「おお、バスケの出崎さんじゃない」
「俊也も知ってるのか?」
「中3のとき国体に一緒に出たからさ」
「おお、翔くんもメンバーなんだ」
「ああ、で、今何してるの?」
「一回戦の堺丘に愛想を尽かしてスポーツクラブで鍛えてるの」
「僕みたいだね」
たしかに俊也と同じだ。
「大島くんが一回戦の堺丘を変えようって言ってるから見学しに来たの」
「へえ。」
「結構強そうよね」
「ああ、堺堀には勝ったぜ」
「練習試合でも勝つのって初めて聞いたなあ」
練習でさえ負けてるのか。我が堺丘、どこまで弱かったんだ?
「ちょっとタンキングには興味あるなあ」
こりゃ女子の戦車部立ち上げたら引き入れたいな。
国体出るくらいの運動神経。
それに長身。
みちるも彩も千春も高い方とはいえ、俺と並ぶほどの背丈はない。
高めの選手がいたほうが有利な局面もある。
特に体当たりだとガタイいいほうが有利だ。
帰り際。
「ところで晴、出崎さんには興味ないの?」
「美人だが俺に略奪愛の趣味はねえな。」
「へえ、出崎さん彼氏いるんだ」
「彼氏、なのかね?」
「なんだよ、その言い方は」
「ま、俺にはこれ以上話せんさ」
訳あり、なのか。
続く
美香の期待に戦車部は応えられるか!?いよいよ公式戦へ!




