其ノ弐 はじめてのまほう
ブックマークがあって驚きました。
誰かに見てもらえるじっかんがあるのは嬉しかったです。
これからも地味に更新して行きたいです。
寝ると言ってもベッドは一つしかない、どうするのかと思ったらコニオは床を外しはじめた。全く気づかなかったが収納になっているらしい。そこからもう一枚布団を取り出し、さっさと床で寝てしまった。
ベッドで寝ろということだろう。そういえば今は俺は『女の子』なのか。
ありがたく寝させてもらった。
そして翌日、湖の周りで昨日の続きを話し合った。片方は筆談なので地面に書き込む必要があったのだ。
「エルフは元人類の時代には多く居たが、現人類が栄え始めるにつれ姿を消してゆき今では全く見なくなった」
『まったく、ですか』
「ああ、文献には確かに存在しているが、ほぼ全ての人が見たことなどないだろう」
「だから、世論では「絶滅した」と考えられていたんだが……まさかこの目で見られるとはな」
『なにもおぼえていなくてすみません……』
「いや、いいさ。会えただけでも貴重な体験だ」
何故俺はそんなエルフになったのだろうか。きっと偶然ではないのだろう。いつかしらべる必要があるかもしれない。
「文献によると、エルフは魔法を得意とし、生活体系に組み込まれていたようだぞ」
『まほうってあるんですか?』
「ああ、現代にも伝わっている。昔は生活の根底に根付いていたらしいが、今では一種の技能として習得するものになっているが」
『よければ、おしえてくださいませんか?』
一回あんな目に遭っているので何か身を守ることが出来る手段が欲しいのだ。上目遣いにコニオの顔を見上げるとその文字を見たコニオは少し困ったような顔で、
「どんなものがは教えられるが俺は魔法を使えない。だから実際に見せることはできない」
と言った。コニオは剣士タイプか、まぁ助けてくれた時もあの狼の群れを文字通り一刀両断していたのでだろうな、とは思った。それでも聞かないよりはよっぽど良い。
『おねがいします』
教えて貰うとなると先生みたいに思えて来る。元高校生としてはまた勉強をしている様な気分になる。
「ならば話そうか。少し長くなるが」
と前置きした後、コニオは語り出した。
「そもそも魔法とは、何か決まった魔法が存在している訳では無い」
『と、いいますと』
「魔法とは、命令を以て自身の魔力と自然にある魔力を使い、狙った『現象』を起こすことだ」
『ねらったげんしょうをおこす?』
「ああ、まず、『現象』をイメージし、それに名前を付ける。そして、どんなことが起こるのかを名前の前に唱える『詠唱』によって表す。それに魔力が見合えば発現するわけだ」
ふむ。使えるかはまだ分からないがうまく使えれば色々な応用が効きそうだ。
『じぶんのまりょくがきれたらどうなるんですか?』
「基本的に0に近づけば近づくほど倦怠感、0になると意識が強制的に遠のくらしい。また、何度も何度も短期間に魔力を切らしていると自身に悪影響があるらしいな」
『あくえいきょう?』
「精神が不安定になったり、自前の魔力の質が悪くなったり、それは人によって様々らしい。一般的に素質はこの魔力量やイメージの具体性で着く」
『なら、しぜんのまりょくをおもにつかえばいいのではないですか?』
「何年か前にそれを研究されたらしいが、どうやら自然にある魔力も限りがあり、何度も行使したり規模の大きい魔法を使ったりすると枯渇するようだ」
『そうなんですか』
「そうなると魔法を使う時の魔力を全て自分で捻出しないといけなくなり、相当な魔力を持ってい無ければほぼ魔法が使えなくなる」
『けっきょくそこにむすびつくわけですね』
「素質は現在ランク付けされていて、
使えない者がE、
簡単な魔法が使える者がD、
日常生活に便利なレベルで魔法が使える者がC、
戦闘に魔法が使える者がB、
戦闘で戦況を動かれるレベルの魔法を使える者がA、
国を落とすことが出来ると言われるレベルの魔法が使える者がS、となっている。」
「大体はこんな感じだ。何かあるか?」
『いいえ。すごわかりやすかったです。』
魔法を使っている所が見えなくても十分な情報だ。自分でこれだけの情報を集めようと思ったら一体どれだけの苦労があったか。
そうなると次に気になることは使えるかどうかだ。
『つかってみたいのですがなにかないですか?』
いきなり自分でゼロから魔法、は少し難しそうだ。自由なイメージをもったので、もしかしたら無いかもしれないが、きいてみると、
「ならばこの湖の水を使って...そうだな。俺が見たことがあるのは《ウォータールート》か。流れを魔力でコントロールする魔法だ。『詠唱』は『我が意のままに流れを変えよ』と言っていたな」
と返ってきた。よかった。自由と言っても、技能になっている以上体系化はされているみたいだ。なら早速試して……
……あれ? そうだ。俺は今喋ることが出来ない。こんな状態で詠唱することが出来るのだろうか?
物は試しだろう。心の中で詠唱を開始する。
“『我が意のままに流れを変え』、
コニオさんを喜ばせろ
《ウォータールート》”
言い切った瞬間、身体から何かがごっそりと抜ける感覚。意識していなかったが、変なノイズが入った気がする。
ただ、湖面は何も起こらない。失敗か。才能なしか。ノイズのせいか。分からないままへたり込む。
……ふいに。静かな水面から波が経った。
そして
湖全体がうねりを上げ、その水流が太さや長さを自在に変え俺の知らない人の姿を形どるのを見た。よく見ると表面が動いていて確かに水流だが、まるで人形のようにしっかりとした形だ。
……説明を受けようと後ろを振り返って見ると、コニオさんはいつもの無表情な顔から大粒の涙を流していた。
水の人形はその口元から、細い水流を流す。
それは、『あの時はごめんね、ありがとう。さようなら』と見えた。
そこまで見て、俺は意識を失った。
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