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エルフは言霊に希う  作者: 望月うさぎ
壱ノ章 「いってきます。」
18/28

其ノ拾参 肆時間目・試験 どんなに凄い人でも。

感想でこんなにもやる気が出るとは思いませんでした。ありがとうございました。

試験はグラウンドで総当り方式で行われた。二人一組になりそれが四組並び試合が展開されている。勝敗をわたしが先生と並んでみんなを観ている場所にある表に書き込んで行く。一応何回か負けると脱落もあるそうだ。しかし流石にみんなレベルが高い。お互いが一瞬の隙を付いて攻撃を放つ、どこを観てもレベルの高い試合ばかりだ。


クインさんやオルト君はどんな感じだろうか。そう思って見てみると、最初から最後まで危なげなく圧勝する男女の姿がそこにはあった。クインさんは剣をメインに置き、隙に魔法を使い相手を崩す様な戦法、そしてオルト君は三属性の魔法を巧みに操り、相手のミスを誘う様な戦法だが、剣も相手の攻撃をしっかりと受け、反撃に転じる隙を作り出している。やはり戦うのはあの2人とになりそうだ。


『準備してきます。』


先生にそう告げて一度教室に戻る。今日はみんな動きやすい服装をしているが、わたしはまだ制服のままだ。...といっても私は服は用意していないので着替えることも出来ないが。ならば何をするかと言うと、あの2人の対策である。聞かれて見られても良いのだが、一応誰もいない所でやろうと思った。


まず手のひらに火の玉、水の玉、雷の玉を順番に作り出してみる。どこまでの威力があるのか分からないが一通り出来たので良かった。次に木剣を振る。魔法を使わないと重くて持てないので、段々と魔法を強くして軽く振れる程で強化を留めてステータスをチェックする。魔法による強化で力がB-相当まで上昇していた。一度魔法を解き次は一気に先程まで持っていく。2、3回目で慣れたのでその状態で剣を振る練習をした。それも慣れてきた所で、女子生徒の一人が教室に入ってきた。


「ミツキさん、もうそろそろ人数が減ってきたから外でいつでも行けるようにって先生が。」


『わかりました、ありがとうございます!』


その子に連れられて外へ出てみると、たしかに残り十何人程になっていた。先生の元に行く。


「準備は出来たのか.....ってまだ制服じゃないか!どうしたんだ?」


『わたしは制服しか持ってないんです。』


そう言うと、わたしを連れてきてくれた女の子が

「私のでよければミツキちゃんが終わるまで貸してあげる!私はもう終わっちゃったしね。」


と言ってくれた。もう一度教室に戻り早速着てみると、ゆったりとしている半袖のシャツと足首で少しすぼまっているパンツ、というとても動き安そうな服装となった。.....のだが出てみると外で待ってくれていたさっきの子が慌てて教室に押し戻した。


「ごめんなさい、あんまり考えてなかったのは私が悪いから.....上は制服でお願いします。」


そう言われ改めて見てみると、たしかにゆったりとしすぎて逆に危うかった。色々と。そんなに気にしたことは無かったので全く意識していなかった。.....前の世界では貧乏なせいで服など選べなかったし。


『わかりました、下はこれを履いたままスカートを気履けばいいですか?』


「そうしてください。」



>>>>>>>>>>>>


そうこうしているうちに残りはクインさん、オルト君を含めた数人となっていた。そしてそれも決着が着き、3人になった。


『やっぱりこの三人でしたね。』


「ええ、そうね。私としては彼がここまで来るとは思わなかったけれど。」


「俺もミツキさんと2人がトップ争いだと思ってたんだけど。どうする? 先にこっちを済ませようか。」


「それでいいわ。やりましょう。」


そして先に2人で戦う事が決まった。グラウンドに並ぶ。準決勝に当たる試合なので開始の合図は先生がするようだ。


「それでは、始め!」


先生の合図が出た瞬間。クインさんがオルト君に一瞬で近づく。それはまるで姿がぶれたかと思わせる程の速度。しかしそれにオルト君も対応していて、進行上に炎の玉が打ち出されている。このまま進めば直撃してしまう魔法の玉をクインさんは防御するのでは無く、木剣で斬り飛ばした(・・・・・・)


「どうして木剣で魔法が斬れるんだよ!」


「どうしてって...出来るものでしょ?」


そんなことを言いながらもどんどん近づいてゆき、遂にクインさんがオルト君にたどり着く。

そしてそのまま斬りつける、だがそれはオルト君に防御される。剣を弾かれたクインさんにオルト君が三方向から火と水の玉を撃ち込む。躱す事が困難そうだが、クインさんはそれを弾かれた衝撃で体を捻って跳躍をすることにより躱した。

火と水がぶつかり煙のような水蒸気が発生する。

クインさんがその煙に入り込み姿が見えなくなる。その中で強い衝撃音。


煙が晴れると、オルト君の防御式の真ん中にクインさんが剣を突き立てて居た。そして、音もなくオルト君の防御式が崩れ去った。


「俺が...負けるなんて...」


「視界を塞ぐなんてやるじゃない。ただ、勝負を急ぎ過ぎよ。もう少し私の集中力を削ればもしかしたら攻撃が当たったかもね。」


そう言って、クインさんは結果を書きに行った。



>>>>



次の試合までには少しの休憩が挟まれた。次はわたしとオルト君だ。


「ミツキさんに勝てるかは正直分からないけど、それでも、全力で。」


『はい。』


「それでは、.....始め!」


先生の合図。それともにオルト君に三属性の玉を全てを撃ってーーー


ーーー腹を滅多刺しにされた(・・・・・・・・・・)様な痛みで魔法は消え、身体は動きを止めた。


「ーーーッ!?」


声にならない息が漏れる。そんな隙を見逃してくれるオルト君では無い。飛んできた炎の玉を横に転がって回避する。.....が、回避した先を読まれて魔法が飛んでくる。混乱したまま防御式を展開するも強度が足りず崩れ去った。魔法が当たった衝撃で後ろに下がる。

今のは何だったのだろうか。腹部にてを当ててみるも傷など存在していない。そもそも、そんな大怪我をしたことなど無かった。


いや。


あった。


腹を滅多刺しにされた事が。


この世界に来る前に。


しかしそれが原因としてなぜ魔法が消えたのか。もう一度オルト君に炎の玉を撃とうとして見るも、痛みが走り、形になるまえに消滅してしまう。傍目からみたら撃つ前の格好でじっとしているように見えることだろう。


...などと考えているとまた炎の玉が飛んできた。今度はしっかりと防御式を展開する。


「何を惚けているんだ!いきなり一回割られて絶望しているのか!」


オルト君の声が魔法と共に飛んでくる。

そうだ。今は試合中。.....しかし、魔法で攻撃できない今、どうすれば勝てるのか。しばらく逃げて、わたしは決めた。そして。




「こんなのはおかしいだろ...」



『...ごめんなさい。』




少し大きめな文字を紡ぎ出す。試合中に集中していなかった謝罪。また、この試合を、

脚に移動強化、腕に筋力強化のS+(・・)の強化魔法によってオルト君の最大の防御式を近づいて三回叩き割る、という魔術師とは程遠いずるい方法で終わらせてしまった謝罪だった。



>>>>



その後のクインさんとの戦いは、負けた。あくまでも魔術師だったオルト君に比べ、クインさんはわたしの飛び込みに対応して木剣を当ててきた。強化魔法に意識を注いでいたわたしの防御式はあっさりと割られてしまった。最終戦には些か盛り上がりに欠けたまま、防御式を使った試験は終了した。


そしてその後、あの試合についてはクインさんには痛みのことを話し、みんなには戦略だと勘違いされ、


オルト君は学校に来ていない。

できる限りの間、一週間に一度ぐらいのペースで出せれば、と思います。

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