アオイ-2
メールの通知2件。
1件目はヤマト
【校門にいます。】
2件目はサヤ
【返事はいつかな?】
とりあえず、ヤマトには
【ちょっと待ってて】
と送信。サヤには...未読無視。
校門に、携帯をいじりながら、自電車に股がるヤマトがいる。
『お待たせ』
『遅いです』
『先生に捕まってたんだもーん』
そう言いながら、ヤマトの自電車の後ろに乗った。
漕ぎ始めはゆっくりだけど、だんだんスピードが出てきて、景色が次々変わる。
夏は自電車に乗ってるときが、1番風を感じることが出来ると思う。
丸川公園に向かう途中、商店街を通り、踏切を渡る。タカハシ君が住んでるマンションの角を曲がると急な上り坂がある。ヤマトの自電車を降り歩く。そして、丸川公園に着く。
ベンチに座りながら、小さい子供たちがすべり台で遊ぶのを見ていた。
『アオイ先輩、高校どこ行くんですか?』
ヤマトからの突然の問い。
『まだ決めてないけど、髪を染めてもいい学校に行きたい』
『今からでも染めればいいじゃないですか』
『それができたら、苦労してないよ』
髪を染めたい。どうしても染めたい。染めなければならない。でも、今はまだだめ。
『...サヤからメール着ました?』
またも突然の問い。
『...着たよ』
『何て着ました?』
『まだ見てない』
『返事まだ?的なのですか?』
『さあ』
『本当は?』
『...はい。そうです。』
『承諾すればいいじゃないですか』
『やんわり断るのは?』
『...どうでしょう。』
『...どうしよう。』
最近、悩み事が一気に増えた気がする。受験のこと、家族のこと、友達のこと、恋人のこと。どうして、僕にばっかり、こんなに重たいものを背負わすのだろう。たまには、この重いものを誰かに引き取ってもらいたい。
『あー。帰りたくない』
『じゃあ、公園で泊まりますか』
『それも嫌だ』
ピロ〜ン♪
メールな通知音がなり、携帯を見る。