表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デミット×カワード ぷろとたいぷっ  作者: 駒沢U佑
第一章 環境適応のススメ編
14/53

騎士



 その日の夜。冒険者ギルドにはいつも通りに喧騒が溢れ、その中でもテーラは一際騒いで酒を飲んでいた。



「いやー、凄いね! あんなグロテスクなもんが金貨七枚に化けるんだもんなー。本当に高級食材だったんだねー」



 そう。テーラの言う通り、コーディス・ワームは金貨7枚でギルドに引き取られたのだ。


 颯爽と紅朗が突っ込み、ソーラが矢を連射して仕留めたコーディス・ワームは、直ぐ様に内臓を摘出され、紅朗の麻縄で縛られてギルドに持ち込まれた。内臓を摘出したのは、可食部位では無く特に売れる訳でもないのと、残っていると肉に臭みが移るからだ。



「なにテーラ。私の事が信じられなかったの?」


「いやー、ソーラの事は信じてるけどさー。超信じてるけどさー。アレ見た目超グロいじゃん。あんなもん食うヤツが本当にいるとは思えなくてさー」



 テーラにしてみれば、降って湧いたような額であっただろう。事前知識が無ければ明らかに食えそうもない、というか食いたくもない姿形をした異形の化け物だ。それが高級などといって金貨7枚に変換されたのだ。ましてや山賊のアジトで手に入れた金貨五枚分の硬貨を含めれば、今日だけで金板1枚以上の利益。いつもは頼まないような少し高めの酒を頼み、赤ら顔でがぶがぶ飲み干す程に上機嫌なのも仕方ない。


 しかし反対に、ギルドの喧騒にまるで付いていけてない男が一人。テーラの前でテーブルに突っ伏していた。



「嘘だ―……。あんな雑魚がなんでだよー……」



 紅朗である。


 ソーラからの事前情報で金板一枚と聞いて舞い上がった彼のテンションは、未だ崩壊しているギルドカウンターの支払い役からの説明で地に落ちてしまったのだ。


 それは、昨日言われたガンターの言葉。新米冒険者の無茶を減らす目的で、買値は相場より三割減らした価格。実はこの規約、新米冒険者だけでなく、すべての冒険者に当て嵌まる言葉だったのだ。


 例えばBランカー冒険者が、危険度Cランクのモンスターを狩っても正規の値段で支払われるが、危険度Aランクのモンスターを狩れば実力問わず正規の値段の三割引きになってしまう。ガンターは話しかけたのが新米である紅朗だったから新米冒険者用に喋ったが、その規約が全冒険者に当て嵌まる事は、登録する時に渡された規約書にも記載されていた。


 その事自体は問題無い。新米冒険者である紅朗は、三割引きにされないようコーディス・ワームをテーラに持たせてギルドに提出した。だが紅朗は、コーディス・ワームがどのぐらいの危険であるかを知らなかった。即座に倒せたから大した危険度では無いだろうと高を括っていた。問題点はそこにある。


 コーディス・ワーム。高級食材として知られるこの生物は、実はとてもレア度が高い。滅多にお目にかかれず、市場に出る事さえ稀だ。雌雄同体の生き物で、群れを形成せず、どこに出没するかどこに生息しているかもまだ解っていない。つまり非常に捕まえにくい生き物である。


 その上、コーディス・ワームはまぁまぁ強力な魔物だった。蛇のようにうねる体は粘液によって摩擦を減らし、音もなく忍び寄る。そしてその強靭な牙で獲物にかぶりつくのだ。更にかぶりついた後、蛇と同じように獲物に体を巻き付け、絞め殺す。巻き付かれたらまず脱出は不可能と言われ、レア度の高い生態と美味な肉を持つ事も相俟って、危険度Bクラスの生き物であった。


 そんな事も知らずに意気揚々と、テーラ(Dランカー)に換金してもらっての値段を聞いた時の落胆は、理解出来なくも無いだろう。先の規約で三割引きにて取引されたのだ。


 故に今の溶けっぷりである。



「まぁまぁ。値引きはされたけど、トータルで金板1枚以上にはなってんだから元気だしなってー」


「うるせー。俺は金板2枚はいくと思ったんだー」


「それはちょっと高望みし過ぎではないかしら」



 励ますテーラ。酒を飲むようにがぶ飲みする紅朗。苦笑するソーラ。因みに紅朗の飲料は果肉の含まれていない果実水である。酒はどうも口に合わないようだ。



「それで?」



 樽ジョッキに入った酒で少しだけ唇を湿らせて、ソーラは聞く。



「どうしてそんなにお金が必要なの?」



 ソーラは今日の出発時から気になっていた事がある。それは先の通り、紅朗の金銭欲に纏わる発言である。


 昨日行った金の配分で、紅朗には金銭欲が余り無い事が確認されている。なにせ自らの力で奪い取った金貨4枚以上を、たった1枚だけで良いとして残りの3枚以上を全てソーラに渡したのだから。そんな金銭感覚の持ち主が、何故今日になっていきなり金々と騒ぎ出したのか。ソーラは気になってしょうがなかった。



「ん? しばらく働きたくないからだが?」



 しかし返ってきた答えは、しょーもない理由。



「え? そんな理由で?」


「あぁ。文字を覚えたくてな。ある程度の金を稼いだら、お前らも暫く働かなくて良いだろ? そんで文字を教えて欲しかったんだ。稼げば稼ぐだけ猶予が長引きそうだったけど、当てが外れたなー」



 しょーもないと思った理由の奥には、紅朗なりのちゃんとした答えがあった。突っ伏した体を起こし、紅朗は果実水を呷る。



「そんなの、働きながらでも出来るでしょう?」


「出来るけど、出来るだけ早く覚えたいんだよ俺は」



 確かに、金を稼いで休業し、勉強一本に絞れば修得可能予定日を大幅に短縮出来るだろう。そして文字を覚えるという事は、色んな場面で役に立つ。身近な所ではギルドの依頼書が詳しく判別出来るし、場合によっては文献を紐解く事だって必要になる。紅朗の意欲は、同じ冒険者であるテーラもソーラも理解出来るものであった。


 だが、そんなにも必死になる事だろうか。



「良い、クロー。お金の事だから良く聞いて」



 ソーラは身を乗り出し、声を落として語り掛ける。今居る場所が冒険者ギルド内の飲食スペースで、周囲には当たり前のように色んな冒険者が酒を飲み、食に舌鼓を打っているからだ。ここで大っぴらに金の話をしたら、あくどい同業者に目を付けられる可能性がある。そんな危険を少しでも下げる為の行為だった。


 まぁ、昨日のガルゲルへの悪行が伝播したのか、さながらエアポケットのように、今現在紅朗達の周りにだけは冒険者が寄り付いていないのだが。それはさておき。



「今の所、私達は全員合わせて金貨約17枚分を持っているの」


「おお、そんなにか。すげーな」



 ほぼ全て自分で稼いだくせに何故知らない。とテーラは思うが、口を挟む事はしなかった。ともあれ、紅朗達のパーティーは現在、地球換算で約170万もの貯金があるという事だ。



「そして、私達の出費は一日約銀貨9枚。これは私達パーティーの宿代と飲食代のみの計算よ。つまり、まぁまぁ贅沢しなければ私達三人は一日約銀板1枚で過ごせるの」


「ほうほう。それで?」


「私達は計算上、最長で170日は働かなくても大丈夫という理屈よ。勿論、その期間余計な出費が無ければ、だけれどね。私としては、余裕を持って100日ぐらいなら休んでも大丈夫だと思うわ」



 成程。と紅朗は頷いた。暦の制定してあるのが国か世界かは解らないが、少なくともこの国の暦は一ヶ月が30日。するってぇと、おいおい丸々三ヶ月は休業期間に出来るじゃねぇか、と紅朗の顔が破顔し始めた。



「それだけあれば、文字ぐらい直ぐに覚えられるでしょう」



 だから、躍起になる事は無いのだと、落ち込む事は無いのだとソーラは言う。そして確かに、と紅朗は納得した。



「それなら、ギルド(うち)を使うと良いわ」



 そんな二人の話に入ってきたのは、昨日知り合ったギルドの受付嬢。折れ耳の猫型種族の女性、アイリスだ。両手に樽ジョッキを四つ持って、紅朗達の卓に近付いてきた。



「空いてるかしら?」


「えぇ、どうぞ」



 訪ねてくるアイリス、答えるソーラ。持っている樽ジョッキをテーブルに置くアイリスの顔は柔和に笑っているが、その瞳がまるで笑っていないのを紅朗は見抜いている。恐らくは先日の件で、紅朗に関して幾分懐疑的になっているのだろう。対して紅朗自身は、特にアイリスの事を嫌っている訳では無い。好きでも嫌いでも無く、正直な所、どうでもいいとすら思っていた。故にアイリスが同じ席に着こうと気にもしていない。


 しかし気になるのは、ギルドを使うという言葉だ。



「で? ギルドを使うってのはどういう事だ?」


「言葉通りよ。残念な事にこの町(ロレインカム)には図書館が無くてね、だけれどこのギルドには一応、小さいながらも図書館のようなものはあるのよ。そこを使ったら? という提案。登録している冒険者ならば新人だろうと無料で使えるわ。勿論、貸出はお金が掛かるけれど」


「そんな所があんのか」


「あたしも初めて知った」



 まさかのDランカー(テーラ)知らなかった宣言にアイリスは肩を竦めて苦笑を浮かべる。対面ではソーラもアイリスと同じ気持ちのようで、同じく苦笑を溢していた。



「まぁ、それは兎も角。取り敢えずコーディス・ワーム討伐おめでとう。これは私からの奢りよ。お酒で大丈夫だったかしら」



 気を取り直し、アイリスは手に持っていた樽ジョッキを三人の前に置いた。中身は言った通りの酒。三人とも特に問題は無く、特にテーラは大喜びであった。



「それと、これも持ってきたの」



 アイリスは腰からぶら下げた革袋を取り出し、その中身をテーブルに出す。中に入っていたのは、緑の葉っぱで包まれた何かだ。何かの焼き物だろうか、少しの湯気が立っており、香ばしい匂いがテーブルに広がった。



「なんだこれ」


「貴方達が狩ってきたコーディス・ワームの香草包み焼き」



 言いながら、アイリスは葉っぱを解く。その葉っぱ自体が香草なのか、中にはコーディス・ワームと思しき肉しか入っていなかった。


 匂いを嗅ぐために紅朗は鼻を近付けた。匂いは良い。甘辛タレが掛かっているのか、香ばしい肉の焼けた匂いと共に食欲を増進させる美味そうな匂いだった。見た目もさして悪くない。地球で言えばウナギに良く似ていた。蛇のようにも見えるし、アナゴのように見えなくもない。長物の捌き方は地球だろうと異世界だろうと、ぶつ切りかかば焼きに近くなるのだろうか。


 見た目的には、食べたくなるような外見だ。匂いも申し分ない。成程、さすが高級食材と言われるだけはある。だが問題は、この場に居る三人は数時間前に元のフィルムを良く良く覚えているのだった。ぬらりと光る蛇のような異形の化け物を、果たして食いたくなるかどうか。


 そろりと顔を上げた紅朗は、テーラと目が合った。大変拒否感の強い顔をしておられる。対して紅朗自身も似たり寄ったりの顔をしている事だろう。二人はどちらからともなく頷き、そっとソーラに押し付けた。



「え、なんで!? なんで私が!?」



 打ち合わせなく息の合った押し付けに驚くソーラだが、彼女もまた原型を思い出しているのだろう。非常に忌避感の強い顔をしていた。だが仕方ないのだ。紅朗には紅朗の事情があるし、テーラにはテーラの言い分がある。



「俺、食べられないし」


「ソーラ乗り気だったし」


「食べたかったから狩るのに乗り気だった訳じゃないよ!」


「取り敢えず俺達は」


「食べられないから」


「パーティーメンバーに裏切られた!!」



 ぎゃあぎゃあと騒ぐソーラ。どうも彼女は、興奮すると言葉も少しだけ粗暴、というよりも子供のような口調になるらしかった。一応高級食材なんだろうから食べれば良いのに、と紅朗は思う。


 紅朗は別に、原型に嫌悪感を抱いて食べない訳では無い。ただ今の紅朗は肉体的に食べられないから顔を顰めたのだ。本音を言うのであれば食べたかった。外国を旅すれば自然とゲテモノに近い食材を食べる機会は多く、その中でも蛇は意外と美味いのを知っているが故に。


 そんな紅朗の葛藤を知ってか知らずか、ソーラとテーラはまるで童心でも思い出したかのように言い合いする中、紅朗は隣からの視線に気付く。アイリスの、探るような視線を。何か? とでも言うように視線を合わせれば、彼女はおずおずと疑問を口にする。



「食べられないというのは……?」


「あぁ、宗教上の理由で肉食が禁じられているんだわ」



 勿論、嘘だ。詳しく話す間柄でも無いのに、自らの欠点を露見させる趣味は紅朗には無い。そもそもが、アイリスがわざわざ同じテーブルに着き、飲食を奢る動機が見付からないのだ。そんな怪しい女に自分の情報を売る程、紅朗は馬鹿じゃない。



「それで? この高級食材とやらや酒やら奢ったのはどういう事だ? それともギルドの受付嬢は、自分の担当する冒険者とは身銭切ってでも懇意にしなければならないとか言うんじゃないだろうな」


「そんな女郎みたいな事しませんよ。これは単純に、お代です」



 女郎などという言葉が地球と同じ意味であるのならば、それは遊女のような意味合いの言葉なのだろうと紅朗は推測する。簡単に言えば娼婦や売春婦。いや、この場で言えばキャバ嬢みたいな感じだろうか。しかしお代とはどういう事だ? と紅朗は首を傾げる。



「コーディス・ワームは流されてしまいましたが、どうでしょう。これで調書をとってもよろしいかしら?」



 そういう事か、と紅朗は合点がいった。それは、先日紅朗がアイリスに向かって放った言葉を起因としている。


――人の都合よりも自分の都合を優先させたいのなら、他人に自分の都合に合わせて動いてほしいのなら、足りないものがあるんじゃないか? 金だよ。


 という台詞。アイリスは金銭を支払う事は出来ないが、酒や高級食材を振る舞うという代価を支払って自らの責務を全うしようとしているのだ。成程、それならば良し。



「良いぜ。何が聞きたい」



 自身に向き直った紅朗を見て、アイリスは懐から羊皮紙を二枚と羽ペン、インクを取り出してテーブルに広げた。



「まず最初に、これにサインを貰えるかしら」



 アイリスが差し出したのは、一枚の羊皮紙。中にはのたくったアルファベットがつらつらと書き記されていて、当たり前の事だがこの世界の文字を習得していない紅朗には中身が解らなかった。隣のソーラに横流しして確認してもらうと、それは先日起きたガルゲルとの諍いの報告書らしい。



「ギルド内で起こった争いの事故報告書よ。中身を確認して、間違った記述が無ければサインして欲しいの」



 詳しく聞く所によると、ギルド内で争いが起これば報告書を書かされるらしい。口喧嘩程度なら日誌に書くだけで良いそうだが、殴り合いにまで発展すれば報告書を記し、何処に非があるかを調べたりする事もあるとアイリスは言う。先日の紅朗はカウンターを破壊したし、何処に責任の所在があるかとか、何処に治療費や修繕費を請求すれば良いのかを明らかにするには、報告書の一つもあって当然だろう。


 サイン一つでごちゃごちゃ言うつもりの無い紅朗は、取りあえず文字の読めない自分に代わってソーラに中身の確認を頼んだ。その供述調書ともいえる報告書の記述をソーラに読んで貰えば、驚く事にガルゲルの台詞も紅朗の台詞も、一言一句間違う事無く記されていた。


 ガルゲルが最初に発した挑発、あるいは中傷じみた台詞。ガンターの制止。紅朗によるギルド規約の口頭確認。他不特定多数の冒険者に向けての制止要請。紅朗による選択要請と実際のガルゲルの選択まで。その全てが一言一句間違う事無く記されていた。驚くべき書記能力である。



「すげぇな。良く覚えてたなこんなの。俺には到底無理そうだわ」


「ギルドの職員ですもの。これぐらい出来ないとね」



 紅朗から送られた心からの賞賛の声に、アイリスは照れたように笑った。さながら自らの名前である花のように。といっても、この世界にアイリスという名の花は無いのだが。それは兎も角、アイリスの作成した事故報告書には何も誤った記載はされていなかったので、紅朗はソーラに頼んで羊皮紙の一番下にサインをしてもらう。


 サインを完了した事故報告書をソーラから渡されたアイリスは、その羊皮紙を懐にしまって、二枚目の羊皮紙をテーブルに広げた。



「それじゃあ次ね。昨日遭遇討伐したという山賊について知っている情報、全部教えて欲しいの」



 山賊というと、紅朗に思い当たるのは目の前の姉妹と出会った時に一緒に居た奴らしかいない。その時の光景を脳裏に蘇らせながら、紅朗は口を開いた。



「全部で13人。全員狼みてぇな耳と尻尾が生えてたな。恐らくは山賊頭も出ていた。側近みてぇな二人を常に身近に置いていたから間違いないだろう。獲物は剣4、斧2、槍3、弓1。後は多分徒手空拳か短刀だと思う。全員ぶっ倒したけど、手応え的に生存者は5人か6人だと思う。今日、現場に戻ってみたら遺体も何もかも無くなってたから詳しくは知らん」


「ソーラの言っていた通り、狼牙族ね。遺体が無いって事は生存者の中に治癒術の使い手でもいたのかしら。山賊頭の特徴は? 使用武器とか」


「剣を差していたが使わせなかったから解らん」


「山賊の来ていた服は?」


「昨日、俺が来ていた服。あれ、全部山賊から奪ったヤツだから。因みに全部呉服屋に売った。もしかしたらまだ残ってんじゃねーの?」


「調べるよう手配しておくわ」



 アイリスは羊皮紙に一切目を落とす事無く、紅朗の言葉を書き記していく。恐らくは手記対象が嘘をついていないかを見落とさないよう、一々手元を確認しなくても書けるように特訓したのだろう。ギルドの従業員、あるいは調査員らしい技術の一つだった。



「それじゃあ、ボアウルフに関しては?」


「特に無いな。デケェ、はえぇ、かてぇ、重てぇ。あぁそうだ。その遺体も今日確認した。内臓が食われてたな」


「そう……。【齧り取る蛇】が西の森に来ている可能性が高いわね」



 その言葉に、紅朗は疑問を覚える。



「あん? あれが【齧り取る蛇】じゃねーの?」



 紅朗が差した指の先には、ソーラがなんとか食べようと頑張ってる最中である肉。コーディス・ワームこそが【齧り取る蛇】だと紅朗は思っていた。蛇に似た紐状の体と、簡単に肉を抉れそうな牙を所有する生物。その形状から、てっきり紅朗は【齧り取る蛇】を討伐したと思い、だからこそ報酬も金板1枚以上、トータル金額金板2枚以上だと思って落胆していたのだ。


 だがどうやら、それは間違った認識だったらしい。目線をソーラに向ければ、彼女は首を横に振る。



「違うわ。コーディス・ワームは木や石を食べる生き物。他の生物を自発的に襲うなんて、自分のテリトリーに侵入された時だけよ。目的はあくまで排除のみであって、食べはしないの」


「説明はいいからそれ食えよ」



 紅朗に茶化されて「ぐぅ……」と唸るソーラ。紅朗にとっては、きっと美味いと思うんだけどなぁという激励のつもりだったが、ソーラにとっては違うようで、恨めしい視線を向けられてしまった。


 しかしそんな視線に紅朗は怯む事無く、どころか意識から除外して思考に耽る。考える事は、コーディス・ワームの事。石を食べるなんて不思議な生態だなとも思うが、乾燥地帯にいる象は体内の塩分濃度を保つために、塩分の含有量が高い岩を削って食す事があると聞く。多分、そういう事なのかもしれない。と、紅朗は一先ずの納得を終えた。



「じゃあ、【齧り取る蛇】はまだ捕まってないのか?」


「えぇ。まだ正体さえ不明よ。でも新情報が出てきたの。それは――」



 そんな時だった。アイリスのペンが動きを鈍らせたその時、ギルドの扉が勢い良く開かれた。



「失礼する」



 開口一番、堅苦しい奴なのだろうと一発で理解出来る言葉回しを使用して、そいつらは足音高く入ってきた。


 人数は凡そ15人程。その15人とも種族は雑多で、多種多様な人材を備えているようだ。これが賊徒であれば、それらがどういう一団なのかは見ても解らなかっただろう。しかし彼らは、ある一つの特徴を持って整列していた。


 それは、上から下まで鉄製の鎧を纏っている事。それもただの鉄製では無い。15人全員の防具が同じ意匠、鷹のような猛禽系の鳥が装飾された装備で統一されているのだ。意匠を統一するという行為は、同じ意思の元で動く者達であると誇示する一番手っ取り早い方法である。つまりは、



「軍人か……」


「惜しい。騎士団よ」



 紅朗の呟きを耳聡く聞きつけたソーラが訂正する。その手元に視線を落とせば、先と変わらず一口も齧られていない肉。(まだかよ)という呆れの視線と(しょうがないでしょ)という恨みの視線が交錯する。



「正確には【ロレインカム防衛騎士団】。ニレオルヒ領領主様の施設部隊、その派遣騎士団ね」



 ソーラの言葉に出てきたニレオルヒ領というのは、恐らくロレインカム含む一帯の領地の事だと紅朗は推測した。つまりロレインカムの正式名称は、イーディフ王国 ニレオルヒ領 ロレインカム、という事なのだろう。日本国 東京都 新宿区、みたいなものか。


 そう紅朗が勝手に考察している向こうでは、ロレインカム防衛騎士団の最前列に立っている人物が一歩前に出る。



「頼もう!!」



 やたらデカい声を張り上げる一人の騎士。ギルド内に響き渡る声は張り上げた割に高く澄んでおり、不快感を微塵も感じさせない声だった。声からでも解る、己を律する者であろう事を彷彿させる音色。厳しい訓練を勝ち上がってきた者のみが発する事の許される声だった。


 そして珍しい事に、女性の騎士だった。



「私はロレインカム防衛騎士団副団長、アマレロ・ゴートウィン!! ここにボアウルフとコーディス・ワームを見事討ち取った者がいると聞いた!! その者は何処か!!」



 女だ。屈強な者達の最前列にて、代表者たらんと声を張り上げている者は、女性であった。声に負けじと背筋を伸ばした直立姿勢は、見る者に好感さえ沸き立たせる程。切れ長の瞳は声を同じく、厳しさと美しさを同時に孕んでいる。


 艶のある茶色の髪を短く切り揃え、同色の耳が短くもピンと直立し、鉄製の鎧を着ているのに出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいるのが、一見するだけで理解してしまえる程の美女だ。周囲の男性冒険者達が目を輝かせて女騎士に熱い眼差しを送っている程に。


 にも拘わらず、紅朗の感想と言えば(噛みそうな名前だなー)だけだった。それには海よりも浅く山よりも低い訳がある。



「答えられよ!! 此処には居ないのか!!」



 足が馬だからだ。ケンタウロスのような半人半馬では無い。女騎士の下半身が、馬の後ろ脚に酷似しているのだ。紅朗も男ではあり、美女に反応しない訳では無いが、しかし下半身が馬には流石に反応が鈍る。


 如何ともしがたい異世界の不条理にどう反応するべきか悩む紅朗だが、そんな思慮などアムレロには関係無い。ギルドに響き渡る声が冒険者達の意識に浸透した時、必然と皆の目線が集中した。その一点に、アマレロは歩を進める。



「貴殿が、件の者か」



 どうやら紅朗の想定以上に、先日のガルゲル戦は注目を集めていたようだ。ものの見事にアマレロは該当者を見つけ出し、紅朗に声をかける。



「君らの求めている人物かは自信無いが、その両種を討伐したのは確かだな」


「……その細い体でか? 信じ難いな」



 またも言われる種族間の違いによる見た目の誤差。怪訝な視線が紅朗の全身を舐めつけた。だが紅朗はそんな事など気にしない。ばかりか「ハハッ」と笑い飛ばすまであった。



「人の体が筋肉だけで動いていると勘違いしているんなら、確かに信じられないだろうな」



 その言い草が癪に障ったのだろう、アマレロの瞳は少しだけ険を増し、鋭くなる。



「筋肉だけでないというのなら、なんなのだ」



 が、その質問は頂けない。紅朗にとっては、それが解ってない時点で前時代的と言わざるを得ない。筋肉が解っているのなら人体の内部構造はほぼ理解しているだろうに、その言葉を出した時点で効率的な動かし方を知らないと言ってるようなものだ。旧石器時代からやり直したら? という言葉が口から出そうになる程である。


 勿論、わざわざ火に油を注ぐような真似をする程、紅朗は空気が読めない男では無い。


 注ぐのは油では無く、火薬だ。



「それを教える義理は今の所、無いな。で、用件はなんだい?」



 爆発しないように、少しずつ、少量ずつ注いでいく。導火線を延ばすように、少しずつ。



「貴様! 一介の冒険者風情が――」


「良い!!」



 傍らの騎士が剣に手をかけて詰め寄ろうとしたが、アマレロがそれを制した。



「良い――が。些か貴殿の腕に不安を覚えてならない。少し腕試しがしたい。私と立ち会え」


「……なんだろう。ギルドに来る度、余計な茶々入れられてる気がする。俺もっと世渡り上手だった筈なんだけどなぁ」



 続いたアマレロの言葉に溜息を吐く紅朗。その向かいでは、空気を読んで口には出さないものの、ソーラの視線は否定を表していた。


 アマレロの言う立ち合いとは、恐らくは決闘の意味なのだろう。



「答えよ!」



 厳しくなる声。険しくなる瞳。剣呑な気配に圧縮されつつある空気。それら全てが、決闘というただ一つの終着地点に向かっていた。その中で紅朗は、黙って果実水を口に含み、喉を潤し、そしてへらりと笑う。瞳には、先日見せた怪しい煌めきを宿しながら。



「決闘? いいじゃない。で、いくら払う?」



 ソーラとテーラが「あぁ、やっぱり……」とばかりに頭を抱えた対面で、アマレロの額に青筋が走る。



「いくら? まさか貴様、金銭を要求しているのではあるまいな。決闘を申し込まれて奮い立つ事も出来ぬとは、それでも男か貴様」


「その通り、金銭を要求してんだよ。当たり前だろ? 他人に自分の都合を押し付けようとしてるんだ。謝礼の一つでも快く払えよ。それとも騎士様は、付き合ってくれた人に対して礼も払えん程に厚顔無恥なのか。だらだら長く話してるだけで、やってる事ぁ暴漢と変わんねぇな。騎士道とか、マジ聞いて呆れる」



 ぎしぃ、と軋む音がした。それは空気が軋んだ音ではない。アマレロという麗しい女騎士の口内で歯軋りが発生したが故の音だ。



「……我らを侮辱するか」


「すまんが、俺は学が無い。毎日せっせと溜め込まれた生ゴミを侮辱出来る言葉など、そうそう思いつかんよ」


「貴ッ様ァッ!!」



 とうとう我慢出来ず、怒りに任せて周囲の騎士達が揃って剣を抜き始めた。紅朗と騎士団の様子を固唾を呑んで見守っていた周囲の冒険者は、流石に危険を感じ取って皆素早く離れていく。


 その中でも渦中の間際にいるソーラ、テーラ、アイリスの三人は、椅子から離れる事が出来ずに紅朗と騎士団を見守るばかり。彼女達三人は解っているのだ。口を挟めば、矛先が自分に向いてしまうという危険性を。



「おいおい、騎士様ともあろうお方が丸腰の一般新人冒険者相手に不意打ちかね。成程、これが騎士道とやらか。今から暴漢道に改名したらどうだ?」


「ちょ、ちょっとクロー!」



 しかしそれ以上に危険性が高まるのなら話は別だ。未だ油どころか火薬を増量させる紅朗に、ソーラは勇気を出して噛み付いた。焦っていたのかテーブルに身を乗り出し、両手を使って紅朗の胸倉を掴み、引き寄せて額と額をぶつけ合う。



「貴方、昨日に引き続いてまた面倒事起こすつもり!? 少し手合わせするぐらい良いじゃないの!!」


「えー。タダ働きなんて嫌だよ死んでもしたくねぇ」


「私達そんなにお金に困ってる訳じゃないでしょ! なんか軽い条件でも出して穏便に済ませなさいよ!!」



 必死の説得が功を奏したのか、紅朗は一つ目線を上げて考え込み、「確かに」と頷いた。ソーラの形相で何かに納得がいったのか、紅朗の眼からは先程の危険な感じは見られなくなっている。



「そうだな。一歩譲歩して、一つ条件がある」



 ソーラの両手を解き、立ち上がる紅朗。先ほどの危険性が薄れた事からか騎士団の面々も警戒を幾分薄れさせ、様子を伺い始める。紅朗自身の口から【譲歩】という言葉が出た事に、ソーラとテーラは思わず親指を立て合った。



「……申してみよ」


「俺が勝ったら、お前ら騎士団は金輪際俺に関わるな」



 何の功も奏していなかった。双子の親指がへにょりと折れ曲がる。



「俺が何をしようと、例えお前ら全員揃って騎士職を剥奪されようとも、俺に関わる事を許さん。関わりたければ金板10枚払え。そうすれば特例を許そう」



 最上段からの上から目線。騎士団を相手に自分が勝つ事を疑わない傲慢さ。たかが一介の冒険者風情と蔑む彼らには、紅朗の不届き千万な対応にはもう我慢の限界が近かった。



「……良かろう。お前如きが私に勝てるというその思い上がり、叩き斬ってくれる!!」


「交渉成立ぅ」



 直後、紅朗の前蹴りがアマレロの顔面を捉えた。態勢を整え切れていなかったアマレロは数歩後ろにたたらを踏み、部下の騎士達に身を預ける。そして不意打ちへの怒りを原動力に顔を上げたアマレロの目に映るのは、視界一杯に広がる二つ一組の靴底。



「はいドーン」



 ドゴォッ!! と、紅朗からのドロップキックが炸裂した。顔面を水平に踏みつけられて勢い良く跳ね上がるアマレロの下顎。ドロップキックの勢いはそれだけに留まらず、アマレロの体を結果的に支えていた後続の騎士達も纏めて後方へ吹き飛ばした。


 もつれ合った騎士達だが、奇跡的に騎士の剣は誰に刺さる事も無く、しかし複雑に絡まった結果、彼らは床に倒れてしまう。ドタドタと倒れていく騎士達。その最前列にいてドロップキックを直に貰ったアマレロも例外では無く、二度連続の顔面スタンプもあって、彼女は死に体を晒してしまう。そしてそれを逃す紅朗では無い。


 自身の体を上空に向けて大きく跳ね上げる紅朗。彼がどうするつもりなのかは、他人と争った事の無い素人でも解ってしまうだろう。


 上空から、自身の全体重を乗せた三度目の顔面スタンプである。顔面という、弱点を多く含む場所を全体重で踏みつけられては、如何に体を鍛え上げた副団長であってもタダでは済まない。



「待て貴様!!」



 騎士団の誰かが吠える。



「待た、ないッ!!」



 制止の声は無視され、無情にも頭蓋を踏み潰す勢いで紅朗の足はアマレロの顔面に突き刺さった。ゴシャァッ!! とアマレロの頭部ごとギルドの床板が踏み抜かれる。


 だが彼女はそこで終わる者では無かった。ロレインカム防衛騎士団副団長の座は、そんな事で堕ちる程容易い場所では無い。


 ビュン、と一閃。紅朗のスタンプから一拍置いて、アマレロは右手に持つ剣を閃かせた。残念ながら紅朗には避けられてしまったが、紅朗との距離を取る事に成功したアマレロ。即座に立ち上がり、鼻血と涙に塗れながらも敵意を薄れさせる事無く紅朗を睨む。


 ガルゲルとは違う、見事な意志の強さだ。紅朗は彼女の瞳を見て内心で賞賛する。痛みに相当慣れているか、痛みを無視出来る程意思が固くなければ出来ない瞳だったからだ。


 しかし紅朗は自らの内心をおくびにも出さず、アマレロから目線を切って後ろの騎士達に振り向いた。騎士達の中の誰かが、先程無様にも抑止の声を張り上げたのだから。



「で、なによ。決闘中に五月蠅いぞ」


「不意打ちとは卑怯だぞ!!」



 紅朗の言葉に間髪入れず、騎士の一人が声を荒げた。アマレロに比べて、コイツは駄目だな。と紅朗は評価する。何を生温い事をほざくのか。戦う事に身をやつした者が言っていい言葉では無い。



「阿保か。決闘だろ。だったら常在戦場で居たまえよ君ィ。それとも何か? 不意打ちで殺されたから今のノーカンなとか、死んだ口で言える魔法でもあんのか?」


「これは誇り高き決闘である!! 野蛮な殺し合いでは断じて無い!!」



 それでも騎士は紅朗の行為を否定する。躍起になって、顔を興奮で赤らめて、まるで子供が癇癪を起こしたかのように拒絶する。



「はぁ?」



 決闘と殺し合いの何が違うのか、紅朗には理解出来なかった。決闘に誇りが懸かっているのは理解出来る。だからこそ命を懸けて争うのでは無いのか。命を懸けて誇るからこそ、誇りを掛けて殺し合うのでは無いのか。命を懸けられないような誇りに、一体何の価値があると言うのか。



「あ。あー……。なんだ。そういう事か」



 そこで、漸く紅朗は思い至った。紅朗と騎士の間に生じているズレに気付いたのだ。



「決闘ごっこがしたかったのか。なんだ、それならそうと言ってくれないと解んねーよ」



 でなければ、卑怯だのなんだのという、負け惜しみの台詞は出ないからだ。


 確かに紅朗は不意を打った。奇襲を掛けた。それは間違いない。しかし紅朗自身、不意打ちを卑怯とはまるで思っていない。そして最初に不意打ちを揶揄したのは確かに紅朗だが、それはその部分が騎士の弱点だから突いたまでだ。卑怯だなんだと言うのであれば、騎士道を捨てれば良いだけの話ではないか。騎士道を捨てられないのは自分達だけの都合であって、それに合わせてやる義理など無いのだから。



「つまりアレだろ? 命の保証が確約されていないと剣を合わせる事もままならない、チャンバラ形式のごっこ遊びだろ? ……めんどくせーなぁ。まぁ利益はあるし、お前らのルールに付き合ってやるよ。どうすればいい? 二時間ぐらいボケっと突っ立ってようか?」



 言って、紅朗はポケットに両手を突っ込んでダラリと立ち止まった。視線は騎士達から外して中空に固定し、口を半開きにして舌を垂れさせるサービス付きで。


 その姿や言い草は、何処までも騎士団の逆鱗を撫で続ける。


 侮辱の痛みに耐えかねた騎士の一人が、恥も外聞も無く斬りかかろうとしたその時。



「その男には誰も手を出すな!!」



 未だ顔面から血を流すアマレロの声が響き渡った。手負いの声とは思えない程の、気迫が込められた声。びりびりと、テーラ達の皮膚が震える程の激情が籠った声だった。



「しかし副団長!!」


「解っているッ!!」



 止められた騎士は異論を唱えようとしたが、アマレロの気迫に掻き消された。



「これで終わらせるとは微塵も思っていない!! このままでは我が騎士団の沽券に関わるのだ!!」



 後方に隠れていた、恐らくは衛生兵だろう騎士がアマレロに近付き、何言かを呟いた。衛生兵らしき人物の手からは光が灯り、アマレロの傷が癒されていく。



「このギルドには訓練場がある。着いて来い、そこで私が直々に処断してくれる!!」



 顔面の傷を完治させたアマレロは、身を翻しギルドの奥へと足を向けた。後に続く騎士団達。残ったのは、未だだらしのない顔をしたまま突っ立っている紅朗と、呆然と佇む冒険者達だった。しかも紅朗は涎まで垂らすオプション付き。明確なやる気の差異をまざまざと突き付けられて、冒険者達は困惑に動けないでいた。


 その中で素早く動き始めたのは、やはり紅朗とパーティーを組む二人の狐兎族だろう。彼女らは今に溶けてしまうんじゃないかという程に全身の力を抜きつつある紅朗に掴みかかり、急いで意識の覚醒を促す。



「だぅあー……」


「ほらクロー! いつまでそんな阿保面晒してんの! しゃっきりして演芸場に行くよ!!」


「ここで行かなかったら行かなかったで面倒臭い事になるんだから!! 最後まで責任持ちなさいよ!!」


「これが終わったら俺、本場のベルギーチョコを食いに行くんだぁ……」



 紅朗の意識は大分過去にまで遡り、夢幻の狭間を揺蕩っていた。彼が覚醒したのは、それから五分後の事。騎士の一人が癇癪起こしながら迎えに来る直前まで続くのであった。


 因みに、ウェールズとベルギーが割と近い事を双子は知る由もないのは当たり前の話である。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ