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主人とボクの日常

作者: うなぎ358
掲載日:2026/10/03

ヒュイーン、ヒュイーン!


 シャカシャカシャカ!!


 朝になるとボクはモーター音を響かせ動きだす。家の主人より早起きだ。


 ネコがボクの背中に乗ってきても平気。平らで、ほんのり温かいボディはネコのお気に入りになったみたい。


 イヌが噛みついて戯れついてきても平気。少しボディに傷がつくけど大丈夫。


 ボクは、毎日、毎日、1日も休んだりしないし寝坊もしない。


 ブラシのついた手足でゴミを掻き集めては口いっぱいに吸い込んでいく。


 だってボクはお掃除ロボットだからね。


 これからもずっと変わらない日々が続くはずだ。


 今日も、いつものようにネコはボクの上でプスゥプスゥと寝息をたててる。少し重いけど気にならない。ネコは暴れることなく、ただボクの上で昼寝してるだけだからね。


 イヌは主人が帰ってくるのが待ち遠しいのか窓辺で尻尾を揺らめかせてる。


 日課の掃除を終え、ネコを乗せたまま住処に戻ろうとした、その時。


 ガガガガガガァー!


 ゴゴッゴゴゴゴゴォォォ!!


 大きな音が鳴りだした。同時に家全体が小刻みに揺れはじめ。


 ビリビリガシャガシャ!


 戸棚や窓も悲鳴をあげる。


 ボクに乗っていたネコは目をまんまるにして飛び起き全身の毛を逆立てながら、ものすごい勢いで部屋の隅に走っていき物陰に隠れてしまう。様子を伺うように少しだけ顔を覗かせてる。


 ガガガガガガァー!


 ゴゴッゴゴゴゴゴォォォ!!


 今日は家の前の道路工事があるんだと、出かける前に主人が言っていたんだけど、こんなにも大きな音とは思わなかった。


 ネコもボクも工事の音は初めてだ。


 ビリビリガシャガシャ!


 当然、イヌも工事の音は初めてだ。


 だからもう大パニックになって部屋中をイヌが駆け回る。


 ガガガガガガァー!


 ゴゴッゴゴゴゴゴォォォ!!


 主人が大切にしていた観葉植物をイヌは蹴飛ばし倒し、部屋の中央に敷かれてた白くて丸い形の絨毯はどこかに姿を消した。テーブルの上のモノも床に散乱してるし、テレビのリモコンはイヌの口の中。


 ビリビリガシャガシャ!


 そんな状況でもボクは掃除をしていく。住処に戻らず掃除のやり直し。


 をするはずだった。


 ズザァーーー!


 フローリングの廊下を勢いよく滑ってきたイヌがボクに激しく体当たり。


 そのままイヌと一緒にボクも滑っていく。


 ガシャーン!!


 ガラス戸を突き破る鋭い音と共に、ボクとイヌは家から放り出されてしまった。


 幸い、ひっくり返ったりはしなかった。けど家に戻る方法が分からない。


 イヌも大パニックのまま、何処かに走り去っていった。


 きゅるるる〜!


 ガガ! ガガガガ!!


 いつもと違う音がボクから響く。


 ボクはこれから何処に向かっていくのかな?


 壊れちゃうのかな?


 キュッと締めつけられるような感覚が、ボクのボディ全体にじわじわと広がってくる。イタミなんか感じないはずなのにね。


 きゅるるる〜!


 ガガ! ガガガガ!!


 それでもボクは掃除しかできない。


 景色がユラユラ揺らいで見えてしまうくらいの暑い日差しの中ひたすら進む。なめらかなフローリングとは違う、ところどころデコボコした道は動きにくい。


 小石まで吸い込んだからか、なんだかボディが重い。


 しばらくするとボディは限界まで熱くなって、動きが鈍くなってきた。


 きゅる……きゅるるる〜……。


 ついに足が空回りをはじめた。


 ……。


 ……。


 ……。


「見つけた!!」


 意識が朦朧としはじめた、その時。


 フワリとボディが浮き上がる。


「少し汚れちゃってるけど壊れてないみたいね」


 ボディを、くまなく触って怪我がないか確かめる声は、ボクの大好きな主人のモノ。


「良かったわ。さぁ、一緒に帰ろ!」


 ボクを胸に抱きしめ背中を撫でる。


 イヌも戻ってきてたみたいで、潤んだ瞳でボクを見上げてる。


 すぐに家に辿り着く。主人の足だと、ほんの数歩。そんな小さな距離をボクは彷徨っていたみたい。


 主人がボクをフローリングにおろす。


 イヌがボクのボディを舐める。その後ろでネコが、ボクをジッと見つめてる。


「私だけじゃなくて、みんな心配したんだよ」

「ワン!!」

「んにゃ〜」


 工事の音は、いつのまにか止まっていた。


 ボクはネコを背中に乗せて、また掃除を始める。イヌもボクの後ろをついて来る。


 主人は微笑みながらボクたちを見てる。


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