存在すべきではない場所
リアナはあの祠のことが頭から離れなかった。
羊が迷子になったあの日から、森は彼女を呼んでいた。
それは声ではなかった。
言葉でもなかった。
それは胸に響く感覚だった。まるで何かが彼女の内側で待っているかのようだった。
その日の午後、宿屋での仕事(薪割り、水汲み、馬小屋の掃除)を終えたリアナは、ロープと薄手のマントを手に取った。
「夕食の薬草を摘んでくるの」と、彼女は宿屋の女将に嘘をついた。
女将はいつもより少し長く彼女を見つめたが、何も言わなかった。
リアナは森へと足を踏み入れた。
羊の足跡は消えていたが、彼女は道を知っていた。
木々が彼女を取り囲んだ。
鳥のさえずりは遠ざかった。
空気は冷たくなっていった。
彼女はその場所にたどり着いた。
地面は下り坂になっていた。
暗い入り口はまだそこにあった。
夢ではなかった。
彼女は中に入った。
洞窟は冷たく湿っていた。外からの光がかろうじて地面を照らしていた。
足音が響き渡った。
遠くに空間が開けた。
五体の彫像はまだそこにあり、半円形に並べられていた。
岩から直接彫られたものだった。
名前も、
碑文もなかった。
しかし、一つ一つが異なっていた。
全てを見透かしているかのような静かな眼差し。
力強く、そして抑制された存在感。
動かない姿、威厳に満ちている。
生と死を想起させる抱擁。
そして最後の一つ…その読み取れない表情は、まるで深い秘密を隠しているかのようだった。
リアナは近づいた。
彼女は彫像の台座に触れた。
柔らかな脈動が彼女の胸から広がった。
彫像はかすかに光った。
そして声が聞こえてきた。夢の中ではなく、現実のこだまのように。
(フレイヤ – 母性)
「あなたは見つけた。
ここは私たちの錨だ。
ここで私たちは目覚めた。
ここで私たちはあなたを選んだ。」
(ヘラ – 冷たさ)
「ここは普通の聖域ではない。
これは封印だ。
あなたの体は器。
私たちは中身だ。
強くしなければ、壊れてしまう。」
(イシス – 静寂)
「あなたの人間の体は、準備なしに私たちを宿すことはできない。訓練し、バランスを取りなさい。
さもないと流れがあなたを滅ぼす。」
(コアトリクエ – 重厚)
「大地は忘れない。
あなたも忘れてはならない。
この場所は覚えている。
そしてあなたも覚えていなければならない。」
(トヨタマ – 流動的)
「流れに身を任せなさい。
力も。
痛みも。
罪悪感も。
全ては流れていく。
そしてあなたも。」
リアナは一歩後ずさりした。
「なぜ私が?」
声は一斉に、しかしそれぞれはっきりと答えた。
「あなたが脆かったから。」
「君が強かったから。」
「普通になりたかったから。」
「世界が君を必要としていたから。」
「他に選択肢がなかったから。」
リアナは黙っていた。
それから彼女は囁いた。
「何も壊したくない。」
声は消えていった。
しかし、その響きは彼女の胸に残っていた。
リアナは聖域を去った。
森はいつもと変わらないように見えた。
しかし、今は違うと彼女は知っていた。
彼女は空になった籠を持って村に戻った。
その夜、夕食後、リアナは台所で皿洗いを手伝った。
宿屋の主人が入ってきた。
彼は戸口に立っていた。
「リアナ。」
彼女は振り返った。
「はい?」
宿屋の主人は彼女をじっと見つめた。
「毎朝、君が来るのを見てきたよ。
新しい傷。
疲れている。
でも、君は努力を続けている。
訓練を続けている。
文句も言わない。」
彼は言葉を切った。
「君は本当は何者なんだ?」
リアナは心臓がドキドキするのを感じた。
彼女はうつむいた。
「わ…わからない。」
宿屋の主人が近づいてきた。
「嘘をつかないで。君があのキューブをキャッチするのを見た。防げないはずの攻撃を防いでいるのを見た。普通じゃない。」
リアナは両手で皿を握りしめた。
「私…私の中には何かがある。自分では制御できない何か。人を傷つけるのが怖い。」
宿屋の主人は黙っていた。
それから低い声で言った。
「私にも何かがあった。強さ。プライド。そして、そのせいですべてを失った。妻を。娘を。」
リアナは顔を上げた。
「ごめんなさい…」
宿屋の主人は首を横に振った。
「謝る必要はない。ただ…私の過ちを繰り返さないで。もしその力があなたを壊しているのなら…それを自然に解き放たないで。鍛え、コントロールしなさい。そして、もしいつかそれができなくなったら…私に言って。私があなたを助けます。」
リアナは涙がこみ上げてくるのを感じた。
「なぜ?」
宿屋の主人は窓の外を見た。
「かつて誰かが私を助けてくれたから。
そして、もう誰も私のように壊れていくのを見たくない。」
リアナは視線を落とした。
「ありがとう…」
宿屋の主人は背を向けた。
「まだ感謝はしなくていい。
ただ、私を失望させないで。」
そして彼は去っていった。
リアナは厨房に一人残された。
女神たちが言った。
(フレイヤ - 母性)
「よくやった。
あなたは一人じゃない。」
(ヘラ – 冷淡)
「盲目的に信じてはいけない。
でも、助けを拒むこともいけない。」
(イシス – 哲学的)
「罪悪感を共有しても、分かち合うことはできない。
ただ、少しだけ理解が深まっただけだ。」
(コアトリクエ – 重々しい)
「大地はあらゆる悲しみを抱えている。
あなたもそれを抱きしめなければならない。
そして、前に進みなさい。」
(トヨタマ – 流動的)
「流れに任せなさい。
宿屋の主人の悲しみも。
あなたの悲しみも。
すべては流れていく。
あなたもそれと共に。」
リアナはかすかに微笑んだ。
数週間ぶりに、彼女は重荷が少しだけ軽くなったように感じた。
なぜなら、今、私のことを知っている人がいたからだ。
そして、逃げなかった人が。
リアナとここまで来てくれてありがとう。
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秘密はもはや彼女だけのものではありません…そして、それがすべてを変えます。
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