迷い羊
太陽が空高く昇ると、
リアナは村に戻った。
広場はいつもの喧騒に満ちていた。
様々な話し声、せわしない足音、井戸の音が絶え間なく響いていた。
何もかもいつもと変わらない。
少なくとも、そう思えた。
リアナは柵のそばで村人たちと話をしていた時、人混みの中に父親の姿を見つけた。
父親の表情に何かを感じ、彼女は立ち止まった。
「お父様…」彼女は慎重に尋ねた。「何かあったのですか?」
父親はリアナを見て、小さくため息をついた。
「夜中に小屋の周りの柵が壊れてしまったんです」と彼は言った。「風が予想以上に強かったんです」
リアナは少し眉をひそめた。
「羊たちは?」
「アヒルタはもう牧草地に行っています」と彼は答えた。「ほとんどは無事に戻ってきました」
彼は少し間を置いてから言った。
「でも、一匹いなくなっています」
リアナの心臓が一拍飛び上がった。
彼女は野原の向こう、森の端の方を見た。
「あっちへ行ったのかい?」
父親はゆっくりと頷いた。
「足跡はあっちの方向に続いているんだ。」
彼の声には焦りはなかった。
ただ疲れているだけだった。
「そんなに遠くまでは行かなかったようだね。」と彼は付け加えた。「きっと新しい草を探して迷子になったんだ。」
リアナは数秒間考えた。
森は馴染みのある場所だった。
子供の頃からそこで遊んでいた。
でも、誰もあまり遠くまで行かない場所でもあった。
「探しに行くわ。」と彼女はようやく言った。「すぐに行くわ。」
父親は答える前に、彼女を注意深く見ていた。
「気をつけて。
すぐに見つからなかったら、すぐ戻ってきて。」
「必要以上に奥には入らないわ。」と彼女は約束した。
リアナはロープを手に取り、軽い外套を肩にかけ、村を後にした。
風が牧草地を優しく揺らした。
足跡は簡単に辿れた。
「たった一匹…」と彼女は呟いた。「なんて厄介な羊なの。」
茂みをかき分けながら、彼女はそっと羊に呼びかけた。
「ねえ…どこにいるの?」
鳥のさえずりが次第に小さくなっていった。
空気が冷たくなっていった。
リアナは最初は気づかなかった。
しかし、知らず知らずのうちに、彼女は目に見えない境界線を越えていた。
村人たちがめったに越えない境界線。
森は以前と何ら変わっていないように見えた。
同じ木々。
同じ根っこ。
同じかすかな道。
それでも…
何かが違っていた。
「もしもし…?」と彼女は囁いた。
そして、彼女はそれを見つけた。
白い羊は茂みの中にいて、すっかり静まり返って葉をむしゃむしゃ食べていた。
「そこにいたのね…」リアナは微笑んだ。「楽しかった?」
羊は頭を上げた。
そして突然、走り出した。
「ちょっと待って!」
リアナは思わず後を追った。
低い枝が腕を撫でた。
根っこが彼女のバランスを崩した。
葉が頭を覆い、日差しが弱くなっていった。
その時…
羊は急に立ち止まった。
リアナは顔を上げた。
そして言葉を失った。
苔と根に覆われ、
そこにあってはならないものがあった。
古代の石。
半分崩れたアーチ。
時の流れに浸食され、判別不能な模様。
「…これは何…?」
彼女の心臓が激しく鼓動し始めた。
それは恐怖ではなかった。
それは奇妙で、深い感情でした。
まるで森そのものが彼女を待っていたかのようでした。
まだ知らず知らずのうちに、
リアナは引き返すことのできない運命への第一歩を踏み出していたのです。
もしこの物語が面白かったら、
評価、お気に入り登録、
リアクションなどしていただけると嬉しいです。
皆様のご支援は、次回の更新への大きな励みとなります。
ありがとうございます。




