存在してはならない声
暗闇は絶対的だった。
空はなかった。
地面もなかった。
距離も形も消え失せた。
リアナは何も無い場所に裸足で立っていた。
寒さも暑さも感じなかった。
それでも――
何かが彼女を見つめていた。
「ここは…どこ…?」
彼女の声は反響しなかった。
まるで存在しなかったかのように、闇に飲み込まれた。
そして――
「まだ不安定だ…」
声に性別はなかった。
年齢もなかった。
ただ、古びていた。
リアナは振り返った。
「誰?」
直接的な答えはなかった。
「心が反応する前に体が反応した。」
「それは危険だ。」
「でも、それはまた、何かの兆候でもある。」
言葉は重なり合い、まるで別々の場所から聞こえてきたように聞こえた。
彼女は、それが自分に向けられているとは感じなかった。
まるで会話に彼女は含まれていないかのようだった。
「ここにいる!」
彼女の叫び声は虚空を砕いた。
突然、静寂が訪れた。
重苦しい。
息苦しい。
そして――
「聞こえているのだろうか…?」
「そんなはずはない。」
「まだ早すぎる。」
リアナの背筋に寒気が走った。
「これは夢じゃない…」
闇が動き始めた。
影のようにではない。
存在のように。
五人。
形はなかった。
顔はなかった。
しかし、彼らはそこにいた。
「私が完全に目覚めたら…」
「もう後戻りはできない。」
「人間界は耐えられなかった。」
「彼女も耐えられなかった。」
リアナは拳を握りしめた。
「私が存在しないかのように話すのはやめなさい!」
初めて――
存在たちは彼女の方を向いた。
視線ではなく、
注意を向けて。
「彼女は私たちの声が聞こえている…」
「それは計画外だった」
空気が重くなった。
胸に圧迫感が漂った。
それは痛みではなかった。
それは、言葉では言い表せない何かだった。
「こんなのは嫌だ」と彼女は言った。「それが何であれ…嫌だ」
静寂。
そして、別の声が聞こえた。
近づいてきた。
「まさにそれが問題なんだ」
何かが彼女の内側に触れた。
それは物理的なものではなかった。
まるで何かが彼女の心臓に直接触れたかのようだった。
「普通の生活への渇望…」
「権力への抵抗…」
「彼らは偶然に生まれたのではない」
「わからない!」と彼女は叫んだ。「ただ目覚めたいだけ!」
ひび割れが暗闇を突き破った。
ゆっくりと光が差し込んできた。
「まだだ」
「まだだ」
「寝かせてあげよう」
光がすべてを包み込んだ。
リアナはベッドにぴたりと座り直した。
彼女は息を荒くしていた。
心臓は激しく鼓動していた。
彼女は自分の手を見た。
それらは震えていた。
…それは夢ではなかった。
部屋は静まり返っていた。
しかし、その感覚は消えなかった。
まるで皮膚の下で燃える残り火のように。
声は聞こえなかった。
言葉もなかった。
ただ不穏な確信だけがあった。
彼女の内側に何かが…
彼女は目を開けた。
そして今度こそ…
リアナは悟った。
彼女はもう一人ではないと。




