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クズスキルで作家に憑依したら、文体コピーで無双した件  作者: 原崎 令一


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11/14

第11話:「冷たい校舎の人」に憑依したら、回想が止まらなくなった件(後編)

──ユウキの意識はまだ“冷たい校舎の人”の中にあった……


4

 その後、ひかげは少しずつ静かになっていった。

 探すのをやめたわけじゃない。

 ただ、待つことにしたんだと思う。

 私もまた、待っていた。

 何を待っているのか、自分でもわからなかった。

 でも、何かが終わっていないような気がしていた。


5

 そして今朝。

 私が目を覚ましたとき、窓辺のクッションに、不思議なものを見た。

 二つの丸い跡が、寄り添っていた。


 ひかげは、もういなかった。

 でも、その跡は確かに二つあった。

 一つは、ひかげのもの。

 もう一つは——。


 母は「きっと、ひなたが迎えに来たのよ」と言った。


 私は頷いた。

 本当にそうなのかはわからない。

 でも、あの朝の光の差し方は、確かにいつもと違っていた。

 まるで、誰かがそこにいたみたいに、温かかった。

 春になったら、あのクッションを洗おうと思う。

 でも今は、まだそのままにしておきたい。


 …… 二匹がいた証拠を、もう少しだけ。


 窓の外では、雪が静かに溶け始めていた。


=====


 スキル終了。3分経過。


 ユウキは回想していた。

 不思議だけど、たしかにそこにいた。


 ふと、時計を見る。

 ――え、5分経ってる?


 いや、秒針を見間違えたのかもしれない。

 スキルは3分のはずだ。


 頭の中で、ミカエルの声が微かに響いた気がした。

 『ユウキよ……』


 でも、それ以上は聞こえなかった。


 ユウキも窓の外を見た。

 季節が春であることに、初めて気づいたような気がした。


※この作品は、転生×文体模写をテーマにした実験的ファンタジーです。


毎週金曜19:50頃から2から4話を順次更新します。


感想・レビュー・いいねで応援してもらえると、ユウキのMPが回復します!

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