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第9話《1日目》その9



 結局お好み焼き屋を出るまで二人がかりで俺を揶揄っていた。俺から言わせれば未来乃は俺なんかより相沢の方がお似合いだと思うんだけど……。


 でもまぁ相沢に俺が白河の事はキッパリ諦めたって事を伝えられたのは良かったよな。後は白河、お前が勇気出して告白する番だぞ!



 「ご馳走様でしたヤマさん。すっごく美味しかったです! また莉人くんと来ますねー!」

 「おう! 別に莉人なんかいーから一人でも気軽に来ていーんだぞ!」


 「ふふっ、その時はサービスして下さいね♪」



 どうやらヤマさんは未来乃の事が気に入った様だ。



 「ヤマさん、そりゃないでしょー?」

 「ヤマさん、混んで来たのに長居して悪かったねー! また来るよ!」


 「おう、気ぃつけて帰れよー!」




 ※




 店を出ると既に日が暮れていた。結構長い間喋ってたんだな。夜になってもほとんど気温は下がってないみたいだし今夜も熱帯夜になりそうだな。


 

 「なんかすっかり暗くなっちゃったな。早い夕飯みたいになっちゃったけど未来乃、……家の方は大丈夫なのか?」

 「お店に入った後、親には友達とご飯食べて帰るって連絡しておいたから平気です。私、兄と弟に挟まれてるからなのか、あまり女扱いされてないんで門限とかも無いし割と自由なんです」

 


 そーゆーモンなのか? 逆に女の子一人だからめちゃくちゃ可愛がられそうなのに。



 「麻倉はしっかりしてるから親御さんは信頼してるんだよ」

 

 へぇ、相沢が言うんだから普段はしっかりしてるんだな。どうも最初のインパクトが強すぎたせいかそう見えなかったけど……。



 「あー美味しかったし楽しかったぁー! 私、一日でこんなに泣いたり笑ったりしたの初めてです」



 未来乃は腕を大きく上に伸ばして歩きながら満足気に言った。


 「……それより本当に奢りでいいのか? 俺、遠慮しないで結構食っちゃったけど?」


 相沢が財布を取り出すのを制止して未来乃が言った。


 「良いんです! 莉人くんと割り勘ですし、コレは今までの情報提供の報酬だと思って構いませんので! むしろ足りない位です!!」

 「分かった! 二人ともご馳走さん! あーでもなんか今日はスッキリしたよな、なんて言うか肩の荷が降りたって言う感じ?」


 「イヤ、本当にすまなかった。俺だけじゃなく未来乃の話まで聞いてたなんて思わなかったからさ」

 「まっ、二人の事を知ってる俺からしたら、いつでもお好み焼きで相談に乗るぞ! それじゃまたな! 仲良くやれよ!」


 「おう、またな相沢!」

 「ありがとう、また明日ね!」



 相沢は颯爽と手を振り自転車を漕いで去って行った。



 「ふふっ、相沢くんて中身もイケメンですね!」

 「あぁ、気持ちいいヤツだよな、敵わないよアイツには」


 「あーっ、また白河さんの事考えてたましたね? 今日は仕方ないですけど、明日からはポイント一つ減るから気をつけて下さいね」



 指でバツを作り口を尖らせた。俺、そんなに分かりやすいのか? 


 

 「未来乃、家まで送るよ。遅くなっちゃったし女の子一人じゃ危ないからな」

 「ありがとうございます。それじゃ駅までお願いします。私ん家、次の駅から歩いてすぐなので」


 「そうなんだ。俺ん家は……」

 「知ってます! このまま真っ直ぐ行って二つ目の交差点を右に曲がってすぐのコンビニの隣のマンションの五階ですよね?」


 相沢のヤツ! まさか家まで教えてるとは思わなかったわ! 流石に個人情報漏らし過ぎだろ?


 「あっ、どうせならこのまま行ってご両親にご挨拶を……」

 「しなくていーから! ホラッ駅は反対方向だ!」


 両肩を持ち、クルッと百八十度回転させた。

 全く、どこまで本気なのか分からないからな、いきなり連れて帰ったらウチの親腰抜かすぞ。





 ※




 それから駅まで歩いて十分程の道のりを、倍近くの時間をかけてゆっくり歩きながら未来乃の話に耳を傾けた。

 好きな物や音楽、ゲームにファッション、休日の過ごし方など、嬉しそうに話す未来乃に俺も自然と笑みが溢れた。


 ゆっくり歩いて時間も大分経ってるハズなのに、あっという間に駅に着いてしまった。未来乃もまだまだ話し足りない顔をしていたけれど、時間も遅いしまた明日話を聞くからと言ったら納得したみたいだ。



 「それじゃ莉人くん、改めてだけどこれから仲良くして下さい!」

 「こちらこそ宜しく! 今日は人生で最悪の日になる所を未来乃のおかげで救われたよ、本当にありがとう!」


 「救われたなんて私は何も……」

 「いいんだよ、俺が言いたかっただけだから」


 「うん、それじゃまた明日学校で!」

 「また明日! 気をつけて帰れよ!」





 そう言って手を振る未来乃の笑顔がとても可愛いらしく、俺は彼女が見えなくなるまで手を振っていた。

 

 






 

 

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