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第6話《1日目》その6



 「……ところでさ、普段から相沢とは仲が良いのか?」

 


 一通り食べ終わり、空腹が満たされた所で気になっていた事を聞いてみた。



 「それって! 早くもヤキモチですか? ふふっ、付き合い出したら莉人くんは束縛タイプですね」

 「バカっ! 誰が妬くかっ! 相沢からどの位俺の情報が流れているか気になっただけだっ!」



 全く、隙あらばすぐそっちの方に持ってこうとするんだよな。違うっての!



 「話せば長くなるんですけど、……入学して初めて喋った人が隣の席の相沢くんでした。

 そしたらいきなり莉人くんが教室に入って来て相沢くんと仲良さそうに話してるじゃないですか? もう私、心臓が止まるかと思いましたよ! これは神様が私にチャンスを与えてくれたとしか思えなくて……。あっ、話がそれましたね。


 私、バカ中から来たから知り合いなんて誰も居なくて心細かったんです。何せ莉人くんだけを頼りにこの学校に入りましたから!」


 「もう、恥ずかしくなるからいいって!」

 「そんな私に気さくに話しかけてくれて、しかもコミュ力半端ないじゃないですか、あの人」


 「あぁ、すぐに誰とでも仲良くなれるってある意味最強な才能だよな!」

 「だからあっという間にクラスの中心人物になって、それでこんな私をみんなの中に入れてくれて、私はぼっちになる事なくすんなりとクラスに溶け込めたんです。本当に感謝の気持ちでいっぱいです!」



 ……まぁ、そんな奴だから白河も惹かれたんだろうしな。悔しいけど敵わないよ、アイツには。



 「あっ、……莉人くん落ち込んでますね? 安心して下さい。そんな素敵な相沢くんなんて目もくれず私は莉人くん一筋ですから!」

 「……っっ! お前そんな事言って恥ずかしくないのか?」


 「だって本当の事ですから恥ずかしくなんかないですよ! それに私、……あんなヒドイ顔してボロ泣きしたの見られてるし、もう裸見られる位しか恥ずかしい事なんてないですよ、見せませんけど!」

 「見ないっつの! それよりどーなんだ? アイツから俺の何を聞いたんだ?」



 未来乃は『んー』と言って上を向き目を閉じて暫く考え込んだ。何だ何だ? 相沢のヤツ何を言ったんだ?



 「そーですね、まずは生年月日、血液型、家族構成ですよね。それで好きな食べ物とか、ゲーム、マンガ、アニメ、スポーツ……もうキリが無いですね。あとは苦手な物……」

 「あぁーっ、もういいっ! 個人情報漏れ過ぎだろ? 今日初めて喋ったのに俺の事で知らない事なんてないだろ?」


 「まだまだ知らない事ばかりです! お風呂でどこから先に洗うとか、下着はトランクス派かブリーフ派かとか……」

 「知らなくていーだろそんな事っ!!」


 「冗談です。ふふっ、ボケるとちゃんとツッ込んでくれるのもリサーチ済みです!」



 ったく、まぁアイツは人の悪口とか言わないから酷い事は言わないのは分かってたけど、流石に恥ずかしいな。




 「それでさ、相沢って彼女居ないじゃん、俺、アイツに白河の事ばっかり喋っていてアイツの好きな女の話とか聞いた事ないんだよね、モテるのは知ってるけど」

 「まぁ一年からバスケ部のレギュラーですしね。顔良し性格良しで正直モテモテです。

 私、席が隣で良く話すってだけで一時噂になった事があるんです。クラスの女の子達は私が莉人くんの事が好きって知ってるから平気だったんですけど、他のクラスや違う学年の女の子から今でも凄い睨まれてます」


 「待て待て! 今、サラッと凄い事言ったよな? 未来乃が俺の事好きだって事知れ渡ってるのか?」

 「はい。莉人くんが教室に入って来て相沢くんと喋ってる所を見てる私を見てバレバレだそうです」



 は、……恥ずかしい! もう相沢のクラスに行けないじゃん! しかもそんな他の子にバレバレな態度を取ってた未来乃の事も視界に入って無かった俺ってなんなんだ?



 「……私の事はおいといて、莉人くんが聞きたいのは相沢くんが白河さんに脈アリかって事ですよね、分かってますよ!」


 「それで、……どー思う?」


 「あくまでも私の見解ですが……、私、白河さんが相沢くんの事好きなのは分かってました。莉人くん好き好き歴四年の私からしたら莉人くんと同じ位白河さんの事観察してましたからね!」


 「だからそーゆーのはいいって! ……それで?」


 「いつだったかな? 一年の秋位だと思うんですけど、あんなモテモテな相沢くんが彼女を作らないのは何でだろうと思って聞いた事があるんですよ、そしたら逆に質問されたんです」


 「んー、何を質問されたんだ?」


 「『麻倉は愛情と友情、どっちが大事だと思う?』って。私は迷わず『愛情』って答えたら『麻倉らしいな! そーゆー真っ直ぐでブレない所、俺は好きだぜ!』って言われて笑われたんです。今思うと、多分そーゆー事だと思います」

 



 そっか、相沢も白河の事……。それなのに俺はずっと白河の事相談したりして、最低だな、俺。




 「ちょっと待って下さいっ! 莉人くんが落ち込む事じゃないです! だって白河さんの事好きになったのは莉人くんの方が先じゃないですか? 親友に相談するのって普通の事ですよね?」

 「どっちが先とか、そんなの分かんないだろ? 俺より前かも知れないし」


 「でも、公言したのは莉人くんの方が先なんだから落ち込むのは違うと思います! だからそんな顔しないで下さい!」



 出会ってまだ数時間しか経って無いけど、こんな強い口調で真っ直ぐ目を見て言って来たのは初めてだ。



 「うん、……そーだよな。ごめん未来乃、俺が悪かった」

 「いーんです。すぐネガティブになったり、友達を思いやる事が出来るのもリサーチ済みです」




 アイツっ!! 何なんだよっ! 何で自分の気持ち殺してあんなに親身になれるんだよっ?



 「もうっ! そんな顔するくらいならみんなスッキリさせましょう! 私っ、今から相沢くん呼び出します!! それで莉人くんは今日で白河さんの事はキッパリ諦めて私と付き合うって相沢くんに宣言して下さい! そしたら後は白河さんがなんとかしてくれるハズです!」


 「うん、……分かった。




 …………ってちょっと待て! 未来乃と付き合うなんて俺、ひとっ言も言ってないだろ? 隙あらばそーゆー事言ってなんなんだ全く!」

 「あちゃー『どさくさに紛れて付き合っちゃう作戦』失敗です。でもでも私、とりあえず呼び出しますね」



 そー言ってスマホを取り出し指を滑らせた。



 「ちょっと待て! 俺が今夜電話するか……」

 「あっ、相沢くん、部活終わった? あのね、聞いて欲しい事があるの! お腹空いてるでしょ? 『おこのみこのみ』で待ってるね!


 ……うんうん、奢ってあげるから! じゃーね!」



 俺の話を遮ってあっという間に話は成立してしまった。



 「……なんか相沢と喋る時は軽い感じなんだな」

 「またヤキモチですか? これは相沢くん情報には無いですね。『以外とヤキモチ焼き』と」



 未来乃は『メモメモ』と言いながら手に何かを書いてるフリをしている。 あーっ、俺っ、悔しいけど完全に主導権を握られてるぞ? 一体この後どーなるんだ?

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