第24話《4日目》その2
相沢達の教室を出て自分の教室の扉を開けようとしたら白河が廊下を走って来た。ギリギリセーフか?
「おはよう白河、廊下は走っちゃ駄目だってお前いつも俺に言ってるクセにどーしたんだよ?」
「あっ、嶺井おはようっ、 はぁっ、はぁっ」
俺の隣に息を切らしてやって来た。どーした?
「もうっ、なんか昨日から凄い勢いで告白して来るんだもん! やっぱり夏休み前だからかな? さっきの先輩、凄いしつこくて間に合わないかと思ったよ」
やっぱり白河もそうだったのか、未来乃の言う通りだ。
「あんまりヤバそうな奴が居たら俺に言って来いよ、ストーカーとかになったら洒落になんないからな」
「うん、ありがとう。でも大丈夫! それより嶺井は私より麻倉さんの心配した方が良いと思うよ、私なんかより声掛けやすいし愛想もいいからしつこい人に付き纏われたら大変よ!」
そうだった。俺はともかく白河や相沢に言い寄って来る奴が居るって事は未来乃にも来るって事だよな。
「分かった、なるべく一緒に居て変な事にならない様に気をつけるよ。ありがとな、白河」
「うん、麻倉さんには昨日意地悪な事しちゃったから、休み時間にでも改めて謝りに行こうと思うんだ」
「そんな事しなくて大丈夫だよ、多分気にしてないし、未来乃はお前と仲良くなりたいみたいだからさ、今度会ったら声掛けてやってくれよ」
「うん! 嶺井のお気に入りだし、私も友達になりたいな、未来乃ちゃんと♪」
「なっ、何言ってんだ! HR始まるぞ!」
俺達が一緒に教室に入ると白河の友達達から一斉に揶揄われた。
「美沙希SP復活するの早くね?」
「麻倉さんにフラれてまた戻って来たのー?」
「お帰り〜親衛隊長!!」
すると白河がみんなに向かって大声で叫んだ。
「違うの〜っ! 嶺井は私にとって大切な親友だけど、私より大事な人が出来たから見守ってあげて〜っ!!」
「バカヤロッ、お前何言ってんだよ!!」
「「「「「キャーーーッッ!!」」」」」
クラス中大騒ぎになり、林達には頭を殴られるし大変な目にあった。
「静かにして〜っ!! HR始めるわよ〜っ!!」
※
あの後、休み時間の度にみんなに揶揄われ大変だったが、白河は何食わぬ顔で『これでウチのクラスからは麻倉さんに告白する人が居なくなって良かったでしょ?』なんて言ってきた。
昼休みになり、俺は体育館裏で待ってる未来乃の元へ急ぐ。未来乃の教室で食べても良かったんだけど、どうせみんなに冷かされるし落ち着いて食べられそうも無いもんな。
校舎の角を曲がり体育館裏に着くとまだ未来乃は来てない様だった。先に食べるって訳にもいかないのでスマホをいじりながら待つ事五分……、
十分……アレ? 何かあったのかな?
メッセを入れても既読にならない。今朝白河に言われた事が頭をよぎり心配になって来た。
……嫌な予感がする。
どうする? 探しに行くと言っても何処を探せばいいのか全く分からない。とりあえず未来乃の教室まで来た道を辿って戻ってみよう!
……と思い、立ち上がった所でなんと白河が未来乃の手を引いて現れた。なんだ二人一緒だったのか!
安心したのも束の間、未来乃の目が真っ赤になっていて、どうやら泣いた後の様だった。
「どうした未来乃? 何かあったのか?」
すると白河は未来乃をベンチに座らせ事情を話し出した。
白河が言うには、未来乃がトイレの入り口付近で上級生達に絡まれてたみたいで、それを偶然トイレから出て来た白河が見つけて助けたみたいだ。
それで俺と体育館裏で待ち合わせてるって聞いて連れて来た、と言う訳だった。
「助けてくれてありがとう白河。……ところでその上級生達誰だか分かるか? 複数で女の子に絡むなんて許せない! ちょっと文句言って来るわ!」
「ちょっ、ちょっと落ち着いて嶺井っ! 相手は男じゃなくて女だから! それに私がちゃんと話をつけたからもう大丈夫なの!」
「えっ、……女? 変な男達に言い寄られてたんじゃ無いのか?」
「うん。なんか麻倉さんがトイレから出て来るのを待ち伏せしてたみたい。それで、……その、嶺井の事を私から寝取ったとか酷い事言ってるのが聞こえて来て……」
「何だソレ? どっからそんな噂流れてんだ!」
すると未来乃がボソボソと喋り始めた。
「その人、莉人くんの事が好きみたいで……。
相手が白河さんだから諦めてたけど別れたって聞いて、そしたら一昨日ハンバーガー屋さんで私達がイチャイチャしてるのを見て……、私が色仕掛けで白河さんから奪ったって言って来て……」
あー、もう誤情報だらけで訳が分からない!
それにイチャイチャなんてして、……たよな? ツーショ撮ってた時の見られてたのか!
「私、ミスコンの時クラスのみんなに乗せられてバニーなんてやったもんだから、その後上級生の女子達から風当たりが強くて……、体張って男をたぶらかしてるとか酷い事も言われてて。
まぁ莉人くんに見て欲しかったから体張ったのは確かですし、へへっ
でも告白して来た人達には誠意を持ってちゃんとお断りしてたんです、それなのに気のあるフリして弄んでるって根も葉もない噂がたって……」
「私がトイレから出て来た時にちょうど私から寝取ったとか聞こえて来たから頭に来ちゃって! それで先輩達に『私と嶺井は親友で最初から付き合ってません、それに嶺井は麻倉さんの一途な所が好きなの! だから変な噂はやめて下さい、そしてちゃんと麻倉さんに謝って下さいっ!!』って叫んじゃって」
すげーな白河、上級生達相手によくやるよ!
「そしたら先輩達、白河さんの勢いに押されて私に謝って帰って行きました。助けてくれて本当にありがとうございました」
「気にしないで! 私、保健室での事があったし、嶺井の為にも絶対麻倉さんの事助けなきゃって思ったら、自分でもビックリする位大きい声が出て、逆に驚いちゃった! ふふっ」
その上級生達には腹が立つけど、未来乃も無事だったし白河も借りが返せて良かったんじゃないかな。
「まぁとにかく無事で良かった! 昼休みもあまり時間無いから白河も一緒に飯食おうぜ!」
「えっ、……でも私、邪魔でしょ?」
「邪魔じゃ無いです! 私、白河さんと仲良くなりたいんです! 改めて私と友達になって貰えませんか?」
「えっ? いいのっ? 私絶対嫌われてるって思ってたから嬉しい! 私の方こそ友達になって下さいっ!」
白河は未来乃の両手を持って満開の笑顔を見せた。
なんでか分からないけど二人が仲良くなるのは凄く嬉しい。
「おーい、いつまでもそーしてないで! 早く食べないと昼休み終わっちゃうぞ!」




