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第21話《3日目》その4


 

 「俺、昨夜白河からメッセが来てフラれたって聞いてさ、頭が真っ白になって気が付いたら会いに行ってたんだ。だから全部知ってる。黙っててゴメン」


 「お前っ、……どんだけ白河の事好きなんだよ? まぁお前はいくら諦めたって言っても白河が弱ってたら駆けつけるよな、昔っからそーゆー奴だもんな」



 相沢は呆れた様な、なんとも言えない顔で俺を見た。そりゃそーだよな。



 「でも俺、今はもう本当に白河の事は何とも思ってないんだ!」

 「莉人くん、言動と行動がまるで噛み合ってません。流石に相沢くんもそれじゃ納得しませんよ。まぁ私も許しはしましたが納得はしてませんけど」



 あーっ、また保健室での繰り返しだ! 未来乃は相沢と言う援軍を従えてさっきの続きをするつもりなのか? ……それとも、また抱きしめればいい? イヤイヤ、相沢の前でそんな事出来るかっ!



 「まぁ口ではそう言ってるけどさ、お前がそんな簡単に白河の事諦められる訳無いのは、ずっと見て来た俺が一番分かってるからな。

 だから俺は白河には悪いと思ってるけど、俺から見てお前が完全に白河の事吹っ切れない限り付き合う事はないよ」



 クソッ、やっぱり俺は口では吹っ切れたなんて言ってたけど心の中はまだ吹っ切れて無かったんだな。

 するといきなり未来乃が俺の両手を握って来た! オイッ相沢が見てるだろっ? 何するんだっ!



 「莉人くん、そんなに無理して白河さんの事忘れる必要は無いんですよ! 私達『友達以上恋人未満』になったんですから、これから二人でゆっくりお互いの事知っていけば自然と白河さんの事なんて忘れられます。と言うか私が忘れさせて見せます!」


 「よく言った麻倉! その位の意気込みが無いとこの一途な男の気持ちなんて変わらないからな!

 まぁ俺の為にも頑張ってくれよ! 俺はお前の援軍だからな!」

 「はいっ! 相沢くんへの恩返しも込めて全力で莉人くんを陥落させて見せます!」



 利害が一致した二人はガッチリと握手を交わしドヤ顔で俺を見た。



 「言ってる事とやってる事が違うのは自分でも分かってるけど、俺、未来乃の事はもっと知りたいって思ってる。知り合ってからまだ三日しか経ってないから、それが友達としてなのか恋人としてなのかはまだよく分からないけど、仲良くなりたいって思ってるよ」


 「嬉しいです。その言葉が聞けただけで莉人くんへの不信感は拭えました。改めてこれから宜しくお願いします」


 ベンチに正座をして丁寧にお辞儀をする未来乃が何だかとても愛しく思えた。



 「だから相沢もさ、本当に俺の事は気にしなくて良いからさ、白河の所に行ってやれよ。本当はお前、ずっと好きで今すぐにでも付き合いたいとか思ってんだろ?」

 「なっ、……んな事ねーし! 俺はお前等が付き合わない限り白河とは付き合わねーよ!」

 「莉人くん、今、相沢くん動揺してますよ! これは図星です! 私の予想以上に白河さんに惚れてますよ♡」


  俺は相沢の肩を叩きうんうんと頷いて、


 「だよな! 付き合い長いんだから俺だって分かるよ。ホラッ、今から行って白河に思いを伝えて来いよ!」


 すると相沢は肩に乗せた俺の手を振り解き、まるで駄々っ子の様に言い放った。



 「ヤダねーっ! 誰が行くかってんだ! じゃあ仮に俺と白河が付き合ったとするだろ? 想像してみろ!

 お前の前で俺達がイチャイチャしたらお前我慢出来んのかよ?」


 「うっっ……っっ!!」


 「莉人くん、変な想像しないで下さいっ!! それに相沢くんも子供じゃ無いんだから! 

 それに、……二人が目の前でイチャイチャするんだったら私達だってイチャイチャしちゃいますよ!」

 「それなら俺達はもっとイヤらしい事するぞ!」

 「そしたら私達だって口では言えない事するんだからっ!」



 ああ、…………もう嫌だ。一刻も早くここから逃げ出したい。




 ※




 昼休みが終わる五分前のチャイムが鳴った。



 「じゃ、嶺井、俺は二人が付き合わない限り白河には指一本触れないからな! お前が白河の事可愛そうだとか思ってんならとっとと麻倉と付き合っちゃえばいーんだよ! そしたら全て丸く収まるだろ?」


 「そーです! 知り合って三日とか関係ありません! 早く私と付き合って下さい!」


 「だから俺はそんな簡単に『はい、そーですか、じゃあ付き合おう』なんて言うのは無理だからっ!」



 子供の喧嘩が終わったと思ったらまた二人で結託しやがった。俺からしたら二人の方が付き合った方が上手くいくんじゃないかと思うよ。


 二人は俺と別れて仲良く自分達の教室に入って行った。


 


  ※




 午後の授業が始まり、先生の話す声を聞き流しながら二人に言われた事を考えていた。



 俺が未来乃と付き合いさえすれば丸く収まるって、確かに言われてみればその通りだしな。

 知り合って三日とか関係ないのも頭では分かってるつもりだけど、それじゃ俺の白河への五年間の思いは何だったんだ? ……なんて思ってしまう。


 もっと臨機応変に『駄目だった、じゃ次行こう!』みたいな性格ならこんなに悩む事ないんだろうけど。


 未来乃の事は、あれだけ俺の事真っ直ぐに好きだと言ってくれるんだから悪い気はしない。むしろ好きだと思う。それが恋愛感情かは良く分からないけど。


 でも、だから余計にあんな全力の好きに軽い気持ちで付き合う事なんて出来ないんだよね。



 まぁ、色々考えても答えが見つかりそうもないし、夏休みまであと二日、未来乃と夏の思い出を作る為には先ずはバイト探さなきゃだよな。

 

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