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第20話《3日目》その3



 「こんな事言うのは恥ずかしいんだけどさ、俺、…………お前の事が好きなんだよ」




 「「えぇ〜っっ??」」



 突然のカミングアウトに未来乃は俺達を交互に見て目をパチクリさせている。



 「ちょっ、ちょっと待て相沢っ! 俺だってお前の事は好きだけど、あくまでも親友としてだからな?」

 「あはははっ、俺だってそーだよ! 何勘違いしてんだバーカ!」


 「じゃああの微妙な間はなんだ? 勘違いするに決まってるだろ、なぁ未来乃?」

 「はい、白河さんと言う巨大な壁を乗り越えたと思ったら、援軍だった人が実はラスボスだなんて、まるでB級ラノベそのものです!」



 相沢は未来乃に脇腹をつねられ、咽せながら腹を抱えて笑っている。



 「あはははっ、はぁ〜笑った! まぁ聞けよ、こっからは真面目に話すからさ」



 深呼吸をして、ニヤけていた顔が元のイケメンに戻った頃、相沢は俺に、と言うか未来乃に話し始めた。




 「俺さ、小学校五年の時に嶺井が居るクラスに転入して来たんだよ。

 まぁ当時からモテモテだったからさ、俺、いきなり男子達から反感買った訳よ」

 「……想像つきますね。どーせワザとスカした態度取ってたんですよね?」


 「あはは、そんなつもりじゃ無かったんだけどな。でも嶺井だけは俺の世話焼いてくれて、男子達との仲を取り持ってくれたんだよ。まぁその態度は良くないって叱られたけどな」

 「ふーん、なんで莉人くんはそんなスカした相沢くんに優しくしたんですか?」


 未来乃は納得いって無い顔で聞いて来た。


 「んー、よく覚えて無いな。転入して来て無理に虚勢を張ってる様に見えたんじゃないかな? たまにすげぇ寂しそうな顔してたのは覚えてるから」


 「……まぁ、そんなこんなで皆とも溶け込んでさ、楽しく過ごしてたんだけど六年になったある日、帰り道で中学生の女の子に告られたんだよ、相変わらずモテモテだったからさ、俺」

 「莉人くん、なんかムカつきますね、この人殴って良いですか?」


 俺の返事を待つ迄も無くポカポカと殴っていた。


 「待て待て! でさ、いつもの様に適当に断ったら逆恨みされて、その子が呼んだ不良グループに絡まれたんだよ」

 「まぁバチが当たったって事ですよね、仕方ないです。……で、ボコボコにされたんですか?」


 「五、六人に囲まれてな、こりゃやられるって時に嶺井が走って来て一人で全員ボコボコにしたんだよ! 俺なんかビビって電柱の陰に隠れてたのにさ!」


 「あぁっ! それで惚れちゃったんですね! それより莉人くんって普段優しいのにキレるとヤバい奴なんですね」

 「違う! たまたまボクシング習ってたからさ、全員じゃなくてリーダーっぽい奴を二、三人やっつけたらみんな逃げただけだし」

 

 「……まぁそれで俺は態度を入れ替えてだな、どんな女の子が来ても断る時は誠実に断る様になったんだけどさー♪」


 未来乃は眉間にシワを寄せて聞いている。


 「……それで、モテモテ自慢はいつまで続くんです?」

 「あははっ、もうちょっと付き合ってくれよ。それで俺達中学でも一緒のクラスでさ、俺も何人かと付き合ったりしてたんだけど、……まぁ若かったからさ、色々摘んじゃ取っ替え引っ替えしてた訳よ、中には上級生の彼女にも手を出してさ、また囲まれたりして……」


 「本っ当最低ですね! まさかそれも莉人くんが助けたんですか?」

 「しょーがないだろ、友達だし、あっちは上級生のクセに大人数で来るからさ、流石に二人でボコボコにされたけどな、あはは」

 「笑い事じゃないです! 私、相沢くんの見る目が完全に変わりました!」



 未来乃は俺の背中に隠れる様にして相沢の事を目を細めて見ていた。



 「まぁあの時は夢中になる物も無かったし俺も調子に乗ってたからな、そんな時にたまたまコイツん家でバスケの試合見てさ、『コレだ!』って思ったんだよね!」

 「そうだな、それからお前は人が変わった様にバスケにのめり込んで、浮いた話とか一切聞かなくなったもんな」

 「やっと真っ当な人間になったんですね! 安心しました」



 「……まぁだから何が言いたいかって言うと、俺にとって嶺井は俺の全てのターニングポイントに関わる大切な親友って話だよ、長くなったけど!」

 


 そう言って相沢は俺の肩を組んで来た。なんか改めて言われると照れ臭いな。



 「そんな嶺井がさ、今まで女の話とかまるで興味を示さなかったコイツがだよ! 同じクラスの白河にだけは態度が違うんだよ!」


 「あっ、遂にメインヒロインが登場ですね!」


 さっきまで俺の背中に隠れていた未来乃が急に身を乗り出して来た。


 「コイツ、最初白河の前じゃ全然喋れなくてさ、あからさまに態度が他の子と違ったんだよ。こりゃ惚れてんなと思って問いただしたら一目惚れしたって! 初恋だって言うからさ、俺が間に入って三人で仲良くなっていったんだよ」


 「おいっ、もういいだろっ、そんな昔の話っ!」

 「続けて下さいっ! ここは私が食い止めます!」


 相沢の口を塞ごうとしたら未来乃が間に入って俺を羽交締めにした。何やってんだ俺達?



 「まぁ俺程じゃないけど白河もモテモテだったからさ、ライバルも多い訳よ! それでも嶺井は白河一筋でストーカーか? って位いつも一緒にいてさ、中三になって告ってフラれてもまだ白河の事諦めなくて……」


 「やめてくれ! 俺の黒歴史なんだ! これ以上は……ふぐっ……っ!!」

 「続けて下さい! 早くっ!!」


 今度は未来乃が俺の口を塞いで来た。


 「あんな一途に好きな人の事思えるなんてすげぇって思ったよ。まぁお前が居なかったら俺がとっくに告ってたけどな!」

 「相沢、……お前も白河の事……」


 「まぁ好きだったけどさ、その時はバスケに夢中だったし、お前のそんな一途な姿見てたら敵わないって思うじゃん、だってさ、フラれても全然諦めないんだぜ? それで素直に応援したいって思えたから俺は身を引いたんだよ。あはは、はいっ、俺の話はおしまい! 長々と悪かったな!」


 「…………」

 「…………」




 暫く沈黙が続いた後、未来乃が口を開いた。


 「相沢くん、……じゃあ今はどうなの? 『今はまだ付き合えない』ってどう言う事なの?」

 「げっ、……何でそんな事知ってんだよ?」


 「俺、昨夜白河からメッセが来てフラれたって聞いてさ、気が付いたら会いに行ってたんだ。だから全部知ってる。黙っててゴメン」


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