第2話《1日目》その2
「嶺井莉人くん!
ずっと、…………ずっとあなたの事が好きでした。
わっ、私と付き合ってくださいっっ!!」
なっ、 ……何を言ってるんだこの子は?
てか誰? 何で泣いてるの?
「ちょっと待って! 君、いつから体育館裏に居たの?」
「えっと、嶺井くんが鬼気迫った顔で廊下を歩いてるトコ見つけて、こりゃ何かあるなと思って後をつけて来ちゃいました」
「……って事は最初っから見てたの?」
「えぇ、もう一部始終です。嶺井くんが泣き出して私ももらい泣きしちゃいました、へへっ。……あっ良かったらコレ、使って下さい」
彼女はカバンからフェイスタオルを取り出して俺に渡し、自分もハンカチで涙を拭っていた。
てか、恥ずかしーっ! 全部見られてたのかよ?
「あ、……ありがとう、ちゃんと洗って返すよ。それよりも全部見た後で俺に告白って……、一体何考えてるの? 断られるの分かってるじゃん?」
「うぐっ……っっ、やっぱり駄目でしたか。
『弱ってる所にガツンと直球勝負作戦』失敗です。 てか私も、もらい泣きしちゃってたから弱ってたのかもですね、えへへ」
涙を拭きながら困った様ななんとも言えない顔で笑っているけど……、ところで誰なんだ?
「廊下で俺の事見かけて後をつけて来たって、……君誰? 俺、会った事あるっけ?」
「ガーン、私っ、認知もされて無いとは思わなかったです! 私は麻倉未来乃、隣のクラスで更には嶺井くんの親友の相沢くんの隣の席に座ってます。……どうですか? こんな近くに居たのに見た事ありませんか?」
めっちゃジト目で俺を見ている。ヤバい、全然知らないぞ?
「あっ、……あぁ相沢の隣の!」
「嶺井くん、ウソついた顔してます。じゃあどっち隣ですか?」
「すいません、……ウソつきました」
「いいんです。正直に言ってくれてありがとうございます。……えっと、それなら去年の文化祭のミスコン覚えてますか?」
ミスコン? あぁ、白河が学年一位で全体では二位だったヤツね! あの時のファッションアピールでのメイド服姿、恥ずかしそうに出て来てめっちゃ可愛いかったもんなー!
「あぁ、それなら覚えてるよ!」
「本当ですかっ? 私、出てたんです! なんと私、学年二位で全体では五位だったん……あっ?」
ヤバい。白河に見惚れていて他の子なんて全然見てなかった!
「その顔は白河さんしか見てなかったって顔ですね? 私っ、隣に居たのにっ! 白河さんになんて敵わないの分かってたけど、嶺井くんに見て欲しいが為に体張ってバニーガールの格好してたのに……。それさえ見てくれてなかったんですかっ?」
「本当ゴメン! でもバニーの格好してた子が居たのはなんとなく覚えてるよ! ホラ、白河胸がアレじゃん? スタイル良い子がいるなぁ、なんて!」
「体は覚えてるが顔は覚えて無い、……と」
「もう謝るしか出来ない、申し訳ないっ!」
あーぁ、怒らせちゃったよ。せっかく告白までしてくれたのに幻滅したかな? まぁそれで嫌われるんならそれでいいけど。
「言っときますけど、この位の事じゃ私はへこたれませんよ? 認知されてない時点で想定内です」
「それじゃさ、へこたれないついでに言うけど、フラれた直後に告白されてすぐなんて、あっちが駄目ならこっち、みたいな俺、そんな軽い男じゃないから君とは付き合えないよ」
「ふふっ、『私っ、そんな軽い女じゃないもんっ!』みたいな感じですね? それって少女マンガではフラグですから! 今は駄目でも後でオッケーみたいな?」
コイツ、認知もされてない上にキッパリ告白を断ったのにも関わらずこの返しって、どんなメンタルしてんだ?
「それじゃあ聞きますけど、さっき白河さんに『これで本当に俺も新しい一歩を踏み出す事が出来そうだよ』なんて言ってましたよね? アレって嘘なんですか?」
「嘘じゃないけど……、すぐには無理そうだけどって言ったの聞いてなかった?」
「じゃあ待ちます! いつ頃なら良いですか? 流石に半年後とか言ったらもうクリスマスですから出来ればもう少し早めにお願いしたいんですが……」
最早待てばオッケーみたいな空気出してるよ? 一体この子の頭の中はどーなってるんだ?




