第19話《3日目》その2
結局俺達二人は保健室のベッドで一時間目の授業が終わるまで寝ていた。まぁちょうど寝不足だったからね。
「ありがとうございました。失礼しまーす」
「はーい、今日も暑くなるみたいだから気を付けるのよ!」
先生は俺達の事は何も疑う事なく、むしろ心配までしてくれた。
俺達は先生に頭を下げ、保健室を出て顔を見合わせる。
「ぷっっ!!」
「あははははっ!!」
二人で笑い合った。
「未来乃、あの時よく咄嗟にあんな事言えたな!」
「自分でもビックリです! まさか私まで寝かされたのは想定外でしたが」
「なんだお前、顔真っ赤だったのか? 自分から誘っておいて!」
「そりゃ赤くもなりますって! 莉人くんが耳元であんな優しい声出すだもん、思い出すだけで今もドキドキします」
「それじゃ……その、……許してくれたんだよな?」
「んー、まだちょっと引っかかってるのでお昼一緒に食べてくれたら許します」
「分かったよ、でも流石に未来乃のクラスで食べるのは勘弁してくれ、そうだ! 体育館裏でどうだ?」
「本当莉人くんは体育館裏が好きですね。良いですよ、私も初めての二人での昼食を邪魔されたく無いですから♪」
……と、言う訳で交渉成立した。
でも今思うと白河に会いに行ったのは良く無かったのかな? でもそれで白河は元気になってくれたしなぁ、未来乃に断ってから行けば良かったのかな? 正解が分からないや。
「それじゃ、後で!」
「うん、楽しみです♪」
俺達はそれぞれの教室に戻り、当然の様に俺は皆から集中攻撃を受けた。
「嶺井このヤロー! 麻倉さんと保健室で何してたんだコラ?」
「嶺井くんって麻倉さんと付き合ってるの?」
「『美沙希SP』はやめちゃうの? ねぇねぇ!」
「本当は具合なんて悪く無かったんじゃねーの? なんで二人で戻って来たんだよ?」
面倒くさいのでちょっとフラつきながら席につき、
「……ごめん、まだちょっと目眩がするんだ。勘弁してくれないか?」
仮病に仮病を重ねてやり過ごした。すると普段が健康優良児なだけに逆に皆に心配されてしまった。
※
〜昼休み〜
俺は皆の目を盗みコソコソと教室を出て体育館裏に急ぐ。あー朝食抜いたから腹減った!
どうやら俺の方が先に着いたみたいだ。一刻も早く食べたい所だけどここは我慢だ。すると……、
「あっ、莉人くんお待たせ!」
「よぅ、嶺井! 具合はどうだ? 麻倉と保健室で寝たんだってな!」
げっ、相沢も一緒だ。結局昨日から相沢に会いに行って無かったらな。
「言い方おかしいだろっ? 別々のベッドで寝てたんだ! それよりなんで来たんだ?」
「俺が居たら邪魔か? やっぱり二人っきりがいーよな、帰った方がいーか?」
ニヤニヤしながら言って来た。おちょくる気満々で帰るなんて微塵も思ってないだろ、オイ?
「いや、邪魔じゃ無いけどさ、それより相沢に会いに行くと未来乃の友達達に揶揄われそうだからなんか行きづらいんだよなー」
「ヒドイです! みんな莉人くんが来るのを楽しみに待ってるんですよ! そろそろ腹をくくったらどーですか?」
頬を膨らませる未来乃を宥める相沢は、なんかいつも通りだ。コイツ、白河の事フッておいてよく普通でいられるよな?
「さっ、食べようぜ! 俺、昨日の夜から何も食べて無かったから腹減って死にそうだよ!」
体育館裏のベンチに俺、未来乃、相沢と三人で座り昼飯を食う。相沢の事だろうから俺が知らないフリしてるのもお見通しだろう。
「莉人くん、良かったら私のお弁当少し分けましょうか? おかずはレンチンばかりの手抜き弁当なんですけどね」
「未来乃、自分で弁当作ってるのか?」
「そーですよ、でも自分が食べる為に作ってるから適当ですけどね。あー、こんな事になるんだったら愛情込めたお弁当作ってくれば良かったです」
そう言いながらもタコさんウインナーや卵焼きは出来合いの物では無いだろ? 未来乃はご飯を三分の一位とレンチンのおかず以外の、自分で作ったであろうおかずだけ俺に渡した。
「おいおい、お前達仲良くなるの早過ぎじゃね? ヤマさん所で見た時より通じ合ってる感出てんじゃん?」
「はい、莉人くんが陥落するのも時間の問題です! その時は相沢くん、盛大に祝って下さいね♪」
「誰が時間の問題だって? まだ喋って三日だぞ? んな訳無い……」
イテッ、未来乃に脇腹をつねられた後、相沢にバレない様しきりにウインクしてくる。
あっ、……そうか! 相沢の前では未来乃と仲良くしていないといけないんだよな。ヨシッ
「でも、……夏休みには付き合っちゃうかもな、俺達」
「「えっ??」」
…………アレ? そーゆー事じゃないの? 俺が本当に白河の事はなんともないって相沢に思わせるならこれしか無いんじゃないの?
「相沢くん、今の聞きましたか? 遂にやりましたよ、私っ!!」
「あぁ、はっきりとと聞いたぞ! やったな麻倉っ!!」
二人は手を取り合って喜んでいる。
え? え? ……なんかやっちゃった、俺? もしかして未来乃の仕組んだ罠だったのか?
「ちっ、違う! 今のは冗談だ! 俺が白河の事はもうなんとも思ってないって事伝えたかっただけだって!」
「莉人くんっ!!」
未来乃が更に脇腹を強くつねった。痛いよ! それを見て相沢は察した様だ。
「……お前達さぁ、俺と白河の事知ってるだろ? だから変な小芝居打って……どーゆーつもりだ?」
「どーもこーも無いだろ、なんで白河の事フッたんだよ?」
「そんなの当たり前だろ? 小学校の頃からツルんでる奴がずっと好きだった女とそんな簡単に付き合える訳無いだろ? お前、逆の立場ならどーするよ、同じ事するだろ?」
「うっっ……っ」
なんの迷いも無く言いやがった。確かに俺が相沢の立場ならたとえ好きだとしても断るだろうな。
俺が言葉に詰まっていると、相沢はとんでもない事を口走った。
「こんな事言うのは恥ずかしいんだけどさ、俺、…………お前の事が好きなんだよ」




