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第11話《2日目》その2



 一時間目の授業が終わるチャイムと共に俺の机に男達が群がって来た。あーこれが可愛い女子達なら良かったのに!


 早速事情聴取が始まった。



 「嶺井、……お前ひょっとして白河ちゃん諦めたのって、麻倉さんと付き合うからなのか?」



 林が机の上に腰を下ろして椅子に座ってる俺を見下ろす様にして聞いて来た。お前さっきはあんなに優しかったじゃん?



 「違う違う! 白河の事は関係ないよ。未来乃とは昨日偶然会って友達になっただけだよ!」

 「じゃあなんで嶺井の事名前呼びなんだよ? しかもお前も呼び捨てにしてるしおかしいだろ?」


 「それは……、そう呼べって言うからそうしてるだけで怪しい事なんて何も無いよ」

 「んな訳ねーだろ? 怪し過ぎるぞ?」


 うん、自分で言っててなんの説得力も無いわ。今日の放課後会ったら名前呼びは解消してもらおう。


 更に尋問は続いた。



 「それで何処で友達になったんだ?」

 「俺も麻倉さんと友達になりたいよー」

 「さっき何喋ってたんだ?」

 「この先付き合うつもりなのか?」

 「羨ましいぞ、オイ!」



 あーもぅ、面倒くさいなー!



 「昨日の放課後、俺が白河にフラれた所を見られて慰めてくれたんだ。それで友達になった。その後相沢と三人でお好み焼きを食べた。それだけだ! お前等の期待してる事は何一つ無い!」



 さっきまで蜂の巣を突いた様だったのに、俺があまりにはっきり宣言したのでみんな黙りこくってしまった。まぁミスコン学年一位から二位に乗り換えたとか、冷やかしネタとしては最高だったんだろうけど……。



 「でもいーよなー! 麻倉さんって目がクリクリしてて小動物みたいで可愛いのにスタイルいーじゃん! あんな子と付き合いてーよな!」

 「なんか守ってあげたくなる雰囲気なんだよなー、ポワポワしてて」

 「夏休みとか二人で海行ったりとかな! やっぱりビキニでさー!」

 「ミスコンの時バニーやる位だからな! 見た目と違って案外積極的なのかも知れないしー!」

 「だけど告白して来たヤツ全部フッてるから、女の方が好きなんじゃ無いかって噂もあったよな?」


 

 へぇ〜、隣のクラスなのに大人気なんだな未来乃って。

 それにまぁ何と言うか、これぞまさに『高二男子の会話』って感じだよな! でもネタになってるのが未来乃ってのがなんか嫌だな。


 「……まぁそーゆー事で俺は失恋したばかりなんだ。ずっと好きだったんだからすぐに次とか、乗り換えたとかそんなんじゃ無いよ。はい、この話は終了だ!」


 「ちっ、なんかつまんねーの!」

 「まぁ、そりゃそーだよな。白河しか興味なかったお前がいきなり他の女に乗り換える訳ないか」

 「だよな、我が校が誇るミスコン全体で一位の生徒会長を見ても『へぇーあの人が生徒会長だったんだー』とか言うしさ」

 「せっかく友達になったんならこの際麻倉さんに乗り換えたらいーじゃん、あー羨ましいっ!!」



 それぞれ言いたい放題言って各々の席に帰って行った。ふぅー、これで誤解は解けたし白河の事は諦めたってみんな分かってくれたよな。




 ※




 次の休み時間、トイレに行くために廊下に出た。

 俺は三組、相沢や未来乃は二組でトイレはその先の一組の突き当たりを右に曲がった所にある。ちなみに左に曲がると女子トイレだ。


 用を済ませトイレから出た時、ちょうど女子トイレから白河も出て来て目が合った。俺は目を逸らして早歩きで教室に向かおうとしたら腕を掴まれて呼び止められた。



 「もぉーっ、嶺井っ、そんなあからさまに避けなくてもいーでしょ? 同じ教室に戻るんだから一緒でいーじゃん!」

 「……そーだよな、逆に不自然だな。でもこんな俺でも気まずいんだぜ、昨日の今日だし」


 「そんな事言ったら私もだよー、今朝からみんなにずっと嶺井の事ばっかり聞かれるからトイレに逃げて来ちゃったんだから」

 「まぁあと三日で夏休みだし二学期になればほとぼりも冷めるだろ?」


 すると白河は急にソワソワし出して辺りを見回して、


 「そんな事より嶺井、その……、みんなが噂してるんだけど、……麻倉さんと付き合うの?」

 「何でみんなしてそーなるんだよ? 友達になっただけだって!」

 「ふーん、そーなんだ。あっちはそんな感じじゃないみたいだったけどねー、りひとくん♪」



 ……っ!! 今まで名前で呼んだ事なんて無いだろっ?



 「おっ、俺の事なんてどーだっていーだろ? それより昨日、あの後相沢とヤマさんトコ行ってさ、白河の事は綺麗さっぱり諦めたって言っといたから。後はお前次第だからな、頑張れよ!」



 すると白河は今まで見せた事のない位強張った顔をして、


 「……うん、ありがと嶺井。実はね、さっき『放課後部活終わったら会えない?』ってメッセ送ったの。はぁ〜今から緊張するよー」

 「今からそんなんじゃ体もたないだろ? 心配すんな、骨は拾ってやるから! 思ってる事全部伝えたら良い結果が待ってると思うぜ!」


 俺が親指を立てると白河はやっといつもの笑顔に戻り何故か敬礼のポーズを取り、


 「白河二等兵、玉砕覚悟で出撃します!」

 「お前いつも思うけど自己肯定感低すぎだろ? せめて特攻隊長位にしとけよ」


 「ふふっ、あーでも、嶺井と話したら落ち着いて来たよ! こんな事今更だけど、いつも私の味方でいてくれて本当にありがとう」

 「そーゆーのやめろよ! 俺、今、嘘の様にスッキリしてるんだからさ、そんな顔で見られたらまた付き纏っちゃうだろ?」


 「あはははっ、それは無いなー! だって嶺井がスッキリしてるのは名前呼びする誰かさんのおかげだもんねー♪」



 そう言って白河は手を振り笑いながら手前の扉を開いて教室に入っていった。

 


 「……だから違うって!」




 俺は独り言の様に呟き、白河とは別の奥の扉を開けて席に向かった。

 

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