15 節分 西浜家の鬼は外
2月初めの夕暮れ、西浜家の台所には香ばしい匂いが満ちていた。
グリルの中では鰯がじゅうじゅうと焼け、脂のはぜる音が小さく響く。
ナギは湯気の立つ鍋を覗き込みながら振り返った。
「青、豆の準備できた?」
「できてるできてる。炒り大豆、たっぷりな」
青は大きな升を掲げて見せる。隣では航太と櫂が目を輝かせていた。
「早く投げたい!」
「鬼来る? 本当に来る?」
「来るぞー」
青はにやりと笑い、声を潜めた。
「この家には毎年、とんでもなく怖い鬼がな……」
「父ちゃんがやるんでしょ」
航太の即答に、青の肩が落ちる。
ナギがくすっと笑った。
「バレてても楽しめばいいの。ね?」
食卓には恵方巻きが並び、焼きたての鰯が皿に盛られる。
「今年の恵方はこっちよ」
ナギが方角を確認して指を差す。
四人並んで同じ方向を向き、巻き寿司を手に持つ。
「しゃべっちゃだめなんだよね」
櫂が小声で確認する。
「うん、願いごとを心で思いながら静かに食べるの」
ナギが優しく答える。
しばしの沈黙。
もぐもぐと咀嚼する音だけが続き——
「……長い」
青がつぶやいた瞬間、子どもたちが吹き出した。
「しゃべったー!」
「父ちゃん負けー!」
笑い声が弾け、節分の静寂はあっさり崩壊した。
食後。いよいよ豆まきの時間。
青が鬼の面をつけて現れると、航太と櫂の目が輝く。
「鬼だぞー!」
「鬼は外ー!!」
容赦なく豆が飛ぶ。
ぽこぽこと青の胸や腕に当たる。
「痛っ、ちょっと本気すぎない?」
「福は内ー!」
ナギも笑いながら豆を投げる。
やがて青は大げさに倒れ込み、面を外した。
「参りました……福の勝ち」
子どもたちが歓声をあげて抱きつく。
豆を拾いながら、ナギは窓の外の海を見た。
冬の海は静かで、どこか澄んだ色をしている。
青が隣に来て、小さく笑う。
「こういう行事、いいよな」
「うん。家族で季節を迎えるのって、幸せ」
航太と櫂は歳の数より少し多めに豆を食べながら騒いでいる。
「もう一個!」
「だめ、お腹壊す!」
その様子を見て、青とナギは顔を見合わせて笑った。
玄関には焼いた鰯の頭と柊の飾り。
家の中には豆の香りと笑い声。
鬼を追い払い、福を呼び込んだ西浜家の夜は、
今日もあたたかく更けていった。
了
節分を過ぎましたが、西浜家の節分の物語です。
今年の節分は体調が悪く、豆を食べたくらいでした。
でも、すべてAIがこの物語を書きました。




