表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青い海のナギ 潮のゆりかご  作者: 村松希美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/14

14 ナギ、ピアノコンサートに行く




 その日は、風が少し冷たくなりはじめた秋の午後だった。


 青のお母さんが、町の文化会館で開かれるピアノコンサートのチケットを手にして言った。




「ナギちゃんも一緒にどう? きっと楽しいわよ」




 ナギは少し首をかしげた。


 「ピアノ」という言葉を聞いたのは、浜辺で青が話してくれたとき以来だった。


 海の底にはそんな楽器はない。けれど、音で人の心を動かすものだと聞いて、ずっと気になっていた。



---




 文化会館のホールに入ると、空気がしんと澄んでいた。


 黒いピアノが、まるで大きなクジラのように舞台の真ん中に座っている。


 ナギは少し緊張して、青の袖をつまんだ。




「大丈夫だよ、ナギ。静かに聴いてればいいんだ」


 青がそう言って、にっこり笑った。




---




 やがて照明が落ち、ピアニストが静かに座る。


 一曲目は「子犬のワルツ」だった。




 軽やかな指先が鍵盤を駆け回る。


 その音は、波打ち際を駆ける白い犬のように速く、弾むように明るかった。


 ナギの胸の奥がふっと熱くなった。




「……シロ!」




 小さく声を漏らすと、青が驚いてこちらを見た。


 けれどナギの目はもう舞台の上に釘づけだった。


 旋律のひとつひとつが、あの白い犬――シロが海辺を走り抜けていく姿に重なって見えたのだ。




 波を蹴って、風を切って、青のそばへ走ってくる――。


 ナギは思わず両手を胸にあてた。


 音が、心の奥の海を震わせていた。




---




 曲が終わると、拍手がホールいっぱいに広がった。


 けれどナギはしばらく手を叩けなかった。


 まぶたの裏で、シロが尾を振りながら笑っていたからだ。




「ねえ、青」


「ん?」


「ピアノって……心の波を鳴らす楽器なんだね」




 青は少し照れたように笑った。


「うん。ナギにも、ちゃんと届いたみたいだな」




 その夜、帰り道。


 文化会館を出ると、空にはまるい月が浮かんでいた。


 ナギはその月を見上げながら、そっとつぶやいた。




「シロも、きっと聴いてたよね」




 海の彼方に続く光の道が、ほんの少しだけ揺れて見えた。







アイデアを出して、AIが書きました。


自作連載小説、ストリートピアノと青い海のナギのコラボ作品です。


ストリートピアノでのタイトルは、子犬のワルツ 青い海ねナギversionとなっております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ