ベランダを散歩しているスズメにウチの猫が全力すぎる
なろうラジオ大賞6参加作品です。ヒューマンドラマにしてみましたが、ほのぼのにゃんこものです笑
「あ、スズメだー」
ある晴れた日のこと。
マンションの、私の住む部屋のベランダに一羽のスズメがやってきた。
「かわいいー」
チュンチュンとさえずりながら、ベランダの鉢植えの間をぴょんぴょんと跳ねるスズメ。
それを窓ガラス越しにそっと眺める。
日ごろの疲れが癒される気分。
「お米でもまいとけば良かったなー」
なんてことを呟きながらニマニマしていると、
にゃん?
別の窓にあるキャットタワーで日向ぼっこをしていたウチの猫も気付いたようで、こちらにやってきた。
ちなみにまあまあのデカ猫だ。
「あ、ねー見て見てー。スズメさ……」
ぶるにゃ!?
「……はい?」
猫にスズメがいるよって教えてあげようとしたら、スズメを見た瞬間に猫の目の色が変わる。
うぶるにゃー!
「……なんて?」
まずは華麗にやんのかステップを披露。
にょー! わにゃー! はしゃー! ぶにゃー!
「お、おお……」
そして窓ガラスに猫パンチを連発。
ちなみにウチの猫は威嚇の「シャー!」が言えなくて変な声が出る。
うにゃにゃーん。
「……それはシャーのつもりかね?」
本人はいたって真剣なようです。
わぶにゃー。
「……お前、ちょっと顔キモいぞ」
普段はキュルキュルで甘えてくる愛くるしい奴なのに、野生全開瞳孔全開変な動き全開の今の猫は正直ちょっとキモい。
うーーー。
「おいおい。嘘だろ」
そしてついに姿勢を低くして戦闘態勢に。
お尻をぴくぴくフリフリさせて、今にもスズメににゃんこミサイルかましそうな勢い。
「え、分かってるよね?
窓ガラスあるの知ってるよね?
そこまでおバカじゃないよね?」
ふにゃっ……ぶにっ!?
「……あ、そこまでおバカだったのね、あんた」
猫突猛進で窓ガラスに激突。
びっくりして窓ガラスにやんのかステップ。
ウチの子大丈夫?
うにゃーん……。
「あ、へこたれた」
決して手の届かない存在にしょぼんとする猫。
ちなみにスズメはこんな騒ぎにも動じることなく、相変わらずベランダをお散歩している。猫よ、ちょっとは見習いたまえ。
にゃー。
「おい、やめろ。足に絡むな」
うにゃ!
「痛っ! ちょっ! 八つ当たりやめろ!」
ぶるにゃ!
「痛いって! わかった! おやつやろう! それでどうだ!」
……にゃん。
「……貴様」
手のひら返しでへそ天するあざと猫。
「しばし待たれよ」
にゃん!
「現金な奴め」
おやつを食べたあとはスズメのことなんて忘れて、再びキャットタワーにお昼寝しに行くウチのにゃんこなのでした。