料理部
よろしくおねがいします。
入学からの続きとなります。
気楽な文章で書こうと思っていますが、その文章で登場人物の気持ちや印象や行動が伝われば良いなあと思っております。
穂村蒼赤。俺と同じ高校1年で同じクラスのポニーテールの女性。入学時はあまり気にしていなかったが彼女は165cmくらいはある身長の子、肉付きの良い体型でぽっちゃりではなくグラマーな印象。美人系か可愛い系と選ぶとしたら後者。化粧だの衣装だの着せ替えで雰囲気は変わるかもしれないがギャル系でも小悪魔系でもなく、のほほんほんわりとしている。……ただ、彼女はどうやら留年しているらしく、俺の1つ年上のお姉さんというこことになるらしいが。
「職員室はこっちだよ。早く行こ。」
さっきまで新入部員の招待勧誘ということで自分とあおかと後何人かの入部希望1年生が家庭科室で活動している料理部に集まり、手料理のお菓子を用意して温かく迎え入れてくれた。それから小2時間経ち、あおかに道案内してもらおうとしていた。
「いや、俺、入るつもりないですから…。ごめんっす。」
家庭科室から出て、すぐ廊下のとこで足を止めて彼女に一言。俺は入部する気はないからだ。
「うーん…。君のお姉さんから入れてって言われてるし……。一応先輩の命令だし、ね?」
俺の姉。約1カ月前のこの農業高校卒業生、及び元料理部部長。無理矢理俺を家庭科室まで連れて来て、今の料理部達と菓子料理を作り、俺達をもてなし、そしていつの間にか勝手に姉はいなくなっていた。
「いいす、いいす。もう姉の言う事聞かなくても。もうどこか行ったし。無視して下さい。」
「……。敬語は止めていいよ。同じ目線でいいから。」
「いや、だって、あおか……先輩は――。」
「…………。」
俺は無言になってしまった彼女を見てから、やらかしてしまった事に気づく。ムッとしたような、唇だけでまるで嚙むような苛立ちの表情が俺を訴えている。
「ちょっと、付き合ってくれる? 外に。」
声は怒ってない。怒ってないが、少し無表情の彼女に自分は「はい。」としか返事ができなかった。
場所は移ってファミレス。学生や社会人も含まっての帰宅時間でもあり、いろんなお客さんがゾロゾロとにぎやかな雰囲気のファミレス。そんな中にいる俺とあおかは場違いな空気で、4人テーブル席に向かい合って、椅子に座っている。
「あのう、あおか先輩。俺見ての通りデブですし、俺とこんなとこ見られていると変な噂が立つと思うのですが。」
「……先輩はやめて。君と同じ1年なんだから」
「あっ…。すみませんっす…。」
またやらかしをする。どうしても年上と分かると敬語になるのは小中時代にそれだけ年上に揉まれたせいである。
「…………自己紹介の時みたいな感じでいいからね。」
「はっ、はい。わかったっ…た。」
ぎこちない俺の返事。
少しの間。俺は何を話していいのかわからず、仕方ないので逃げるようにドリンクバーに行こうと立ち始める。
「あのね…。」
彼女がしゃべり始めたので俺はすぐ膝を曲げて椅子にお尻を付ける。
「ぶちょ…お姉さんのお願いも少しはあるかもだけれど、私のお願いも入っている。一緒に部活に入ってくれない?」
「あ、その、気持ちは嬉しいけれど、俺は高校はぶっきらぼうにしたいというか。部活のせいで赤点で留年したくないというか。」
…………。ヤバイ!
「あっ、その! 高校を無事に卒業するのが目標なので、部活は――。」
「……ふふっ。」
ヤバっと思った辺りから焦り焦り言葉を選んで彼女に伝えている中、彼女は笑った。失笑とか苦笑ではない。
「ウチの高校はそんな厳しくないから。テストなんて小学校の復習問題レベルくらいだし。しっかりとノートに写したのを予習すれば問題ないよ。」
不良っぽい連中も高校内にいるのは確かでそれくらいあまい学校なのは分かっている。
「部活入っていると進学でも就職でも当然響くし。料理部は夜遅くまではイベント以外しないし、毎日必ず料理という事もしないから気楽だよ。」
「……あおか、さんは……。」
俺は質問に入る。
「何故俺にしつこく勧誘する…の? 部員割れにしているようには見えない部だったし。」
彼女は俺の質問を発した後に、ゆっくりと瞬きをしてから言葉にする。
「君が頑張っている姿。もう1度見たいんだ。」
!?
「君が野球で頑張っている姿。あの頑張っている姿をもう1度見たい。」
このエピソードをお読みになってありがとうございます。まだまだ続くので暇な時でも読んで頂けたら嬉しいでございます。
誤字や修正箇所ございましたら容赦なく連絡しても構いません。
このエピソードの簡単な登場人物のおさらい
主人公……自称「俺」 「自分」 高校1年 太っている体型
穂村蒼赤……高校1年(留年) 部活は料理部に入ろうとする。 主人公を勧誘中