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入学式

よろしくおねがいします。

久しぶりの投稿です(以前のは削除しました)

初心にかえって、しかも恋愛系で挑みたいとおもいます。

 

 春。何度目の春を迎えたのだろうか。と老いた人が言うような台詞を吐くにはまだ早すぎるか。


 普通に受けたい受験先を選び、試験をし、面接をして、数週間後の合格発表で自分の受験番号が載っていた、だけ。簡単に高校1年生となった自分。


 農業高校。そこに入学した。ひと昔のような高校で、不良でも少し勉強をし、愛想よく面接で会話していれば人数割れでもしていなければ大抵は合格できる高校だ。先に言った通り不良寄りの人もちらほらいるし、中学はさぞかし部活にちからを入れてしまい学力が低くなってしまった奴もいれば、素直に農業という職業に就く為に入学してきた人もいる。


 俺は。俺は、どの部類なのだろう。


 中学時代は野球部。見た目はデブだから補欠だろうとよく言われていたが実は投手人でエースだった。まあ、よくある話で腕と脚を故障してしまい俺のプロを目指す野球人生は終わる。それから今日までテキトーに受験戦争に参加してこの農業高校に入った。……ということは部活にちからを入れてしまった部類の人間だな、俺は。



 入学式は何の飾りもない。体育館に集まりただ椅子に座って校長やら生徒会長やらのくだらない話を聞き、お尻を疲れさせる行事に参加するだけ。その後は自分達の教室に入り、担当となる先生の挨拶を聞く。今回の担当は女の先生か。どうやら3年間一緒らしい。


「……中学からきました――」


 担任の自己紹介が終わるとクラス全員1人1人の自己紹介が始まる。


 ヒソヒソ。 キャッキャッ。


 他校違う者同士でも意気投合している人は早くも賑わっている。自分も何人かは仲良くできるだろうか。


「そこ。後にしなさい。」


 先生が注意をする。静寂となる。


 ……タイミング悪くその静けさの中、俺の自己紹介が始まる。…恥ずかしい。


「――っす。よろしくおねがいします。」


 自己紹介の後は何人かが軽い拍手をしてくれる。それは例外なく自分にもしてくれた。……これも恥ずかしいなあやっぱり。


 自分の席は教壇よりも一番遠い後ろの席で中央寄りの廊下側。俺の次の自己紹介する人は前の席なので視線はすぐ前席へと向かい、視線がなくなったと感じた俺は両手で顔をゴシゴシ擦る。


「…やっぱり、緊張するよね? わかるよ。」


 隣にいるまだ紹介してない女性徒がいきなり話しかけてきた。みっともなくビクッっと身体が驚き、彼女を見る。


「……これからよろしくね。」


 コソっと俺に一言声を掛けてくれる女性徒。長髪だけど髪留めでポニーテールしているその子は、とても、可愛い。


 こんなデブな自分に、気軽に声を掛けてくれるなんて…。俺は嬉しくなった。


 …………両手で顔を擦る所を見られたのを思い出すと、「よろしく」も言わない俺はすぐさま視線をずらし、両手を机の下に突っ込む。ガタッという音が教室内で一瞬響く。


 や、やっちまったぁ…。


「? もう少し静かにしてね。」


 …先生に怒られた…。


 ぐったりと俺は机を枕代わりするように上半身を寝かせる。


「……よ、よろしくね。」


 俺は話してくれた子に聞こえるか聞こえないかの声の大きさで返事。


「うん」


 どうやら聞こえてたようだ。


「はい、じゃあ次の子。紹介よろしく。」


「はい。」


 先生の指名の声。どうやら次は話しかけてくれた子のようだ。


「穂村、蒼赤(あおか)と言います。実は私は――」


 ほむら、あおか。ほむら……ほむら? 焔? ほのお? 炎が青か? なんちゃって。漢字はどう書いて読むのだろう? 珍しい苗字なのかな?


 馬鹿で阿保な考えをしている中、俺はもう少し彼女に耳を傾けるべきだったと数秒後後悔する。


「え? うそでしょ。」


「マジ?」


 いつの間にかざわついてた。不定的な驚きな一言がボソボソ聞こえる。


「はい! じゃあ次!」


 先生の発声でざわつきは消され、同時にあおかの自己紹介が終わる。


 ……一体彼女は何を言ったんだ?




 入学式もホームルームも終了。今日の行事は午前中だけで午後からは自由となる。


「おーい! 勝手に帰るな!」


 午後は真っすぐ帰宅する、だったのだ。だが…。


「午後は待ち合わせだって約束したじゃん! お前の靴箱見張っててよかったわ!」


 さっきからいろんな生徒がいる中で叫ぶ女性。俺の姉だ。


「た、頼むから騒ぐなよ。ねーちゃん。」


 自分の姉だ。しかもこの高校の卒業生ほやほやの。


 腕を捕まれ、引っ張られる。


「いや、だから俺は帰宅部でいいって!」


「ダーメ! ちゃんと話は通しているし! 心配ないから!」


 学校内地図がまだからない俺とその逆の姉。しかしながら姉がどこに連行しようとしているのだけはわかっていた。


 ズルズルと散歩先が嫌で行きたくない犬のように無理やり連行されていても姉は疲れを見せる事なくなんなく会話する。


「あんたが今持っている()()()()()()()()()()()()()()、とことこん特化させなさい!」


「それはねーちゃんのせいだろ! もう俺は何もしたくはなっ――」


 俺の拒絶的返事をしても姉は歩く、歩く、力強く歩く。


「着いた!」


 姉の足が止まる。到着場所は家庭科室、の扉前。


「たのもー!」


 今時そんな掛け声……。と思っている内に扉が姉の手によって開く。


「あっ! お疲れ様です!!!」


「お疲れです!」


「おっつっす!」


「元部長! おつかれっす!」


 十数人の、姉に対してのねぎらいの声々。


「おー皆いるなー! 連れてきたぞ! 新入部員!」


 新入部員とは俺の事らしい。


「いや、ねーちゃん。俺やらないって!」


「なんでよ。ほらよく見てみ。男の先輩もいるから安心しろ」


 確かに男生徒の、いや、男先輩が数人いる。かわいいエプロンと三角巾を付けて。漫画のように頬にクリームが。


「いや、だけども」


「さっきからいやいやいやうるっさいわね!」


「あ、あのう……」


 自分と姉の口争いに割って入る声。自分の教室内で聞いた声。彼女は家庭科室の外から自分の背後に現れる。


「あ、あおか、さん?」


 俺が名前を言うと、コクンとうなずいてくれた。


「お、蒼赤。来たな!」


 ? 姉があおかの事を知っているようだ。


「蒼赤だ!!!」


 男先輩の誰かが叫んだ。すると部活連中がとんでもなく喜ぶ声と嬉し泣きする女先輩が後を絶たない。


「よし! 今日はとりあえず蒼赤の祝いだな! わが可愛い弟! いいか、逃げるなよ! お前も祝うんだ!」


「? ?? なんで皆はあおかさんの事知ってるのだ? それに――」


「蒼赤は、ワケあって留年したんだよ。だからお前の先輩だぞ。」


 留年? どういう事? 


 少し混乱している自分をほったらかす姉。姉はおかまいなく調理器具に手を出し始めたのだ。

閲読ありがとうございました。


ここで簡単な登場人物の紹介のおさらいです。



主人公……高校1年生   自称 俺 または 自分


穂村 蒼赤あおか  主人公と同じ高校1年生 諸事情有り


姉 主人公の姉。 高校卒業生でとある部活の元部長。

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