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パウチのお願い

「よし。好きなだけ飲んで喰え。ここは俺が奢ろう」


既に上半身脱いで先を満たしたジョッキを片手にしているダンク兄さんの宣言で晩餐が始まった。

ちなみにこの場で酒が呑めるのは彼だけだ。

俺達は拠点にしている町、オリバーバーグに戻っていた。ギルドで冒険成功のお祝いをしようというところだ。


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【チャット民】


太陽神:『エイレイン様すてきだ』

ミャース:『ダンク兄さん』

かのん★★★:『ビールうまそうや。ちょっと冷蔵庫行って来る』

ランダム娘:『戦勝おめでと~』

あるぱぱ:『呑みたくなるわなあ』


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「まさか、ゴブリンキングにクイーンまで一人で倒してしまうなんて、本当にアンタBランク冒険者か?」


初心者冒険者のリーダー格、パウチという少年は、キラキラした目で見てくる。


「まあな、お供がまともに戦ってくれないから、俺がやるしかないだろう」


パーティとしてこなしてきた依頼のほとんどは俺のほぼワンオペに近かった。そりゃあ強くもなる。


「Aランク並みじゃねえか。すげぇ。弟子にしてくれ」


「やだ」


「なんで?」


「もう足手まといはたくさんだよ」


「そんなぁ。あの魔法使いの子よりは俺達の方が使えるぜ」


「なゃにお〜。君なんかよりミイアの方がよっぽど強いし、使えるスキル満載なんだからね」


「そうでもないぞ」


俺がそう言うと、


「あぁ〜、ショー君がいじわる〜。さいあく〜。女たらし〜」


と、嘘泣きしだしたから、放っておく。パウチは男だ。



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【チャット民】


まゆなん:『泣かした~。悪いんだ』

ミャース:『ショー君のばかあ』

かのん★★★:『パウチ君かあいいやん。弟子にしたりや』

やほやほ:『まあまあ』

ぽんこつ総大将:『ブッコロ( `皿´)キーッ!!』


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「まあ、どちらにしても弟子は取らない。他を当たってくれ。強いパーティなら、この町にもいくつかいるぞ」


「待ってくれ、弟子じゃなくてもいい。だから、ひとつ仕事を手伝ってくれ、いや、下さい」


生意気なパウチ少年は額を机には擦りつけんばかりに頭を下げる。


「おい、まさかパウチ」


「パウチ君。ダメだよ。きっとみんな殺されちゃう」


それに異議を唱えるのはパウチの仲間の二人。


「お前たちも頭を下げろ。他に方法は無いだろ。このお方がたにお願いするしかないんだ。そうだろ?」


「依頼があるんなら、ギルドを通してくれ。でないと正式依頼にならないからランクに反映されない。それにモンスター討伐の報酬も少なくなる」


今回もゴブリンリーダー討伐依頼だったから、そっちは満額の報酬を貰えたけど、ゴブリンキング、クイーンの魔石は安く買い叩かれた。一応、討伐実績には入れて貰えたが。


「そんなお金、俺達に払える訳ないだろ」


「だろうね」


冒険者は大して儲からないと言われている。


俺らも依頼を失敗しがちでパーティーの資金は潤沢とは言えない。俺は副業の農園で細々と稼いでいるから、そこまでお金に困っている訳でもないけれどな。


冒険に出るには何かと物要りだし、ケガの治療にも当然お金がかかる。それに毎回依頼が成功するとも限らない。荒くれ者が多いため、酒やギャンブルで散財しがちなのもそう言われるゆえんでもある。

命懸けの仕事だからそれに見合う報酬はあるけれど、出ていく物も多いという訳。


それなりにベテランでも怪我の治療費なんかで困窮して冒険に出られなかったり、解散したりするパーティーもいるくらいだから、なりたての初心者ならなおさらだ。


「俺達は西のヘイハムの村からニ日前にこの町に来たばかりなんだ。でもよ、ここに来る途中にあるホホラ渓谷って所で山賊に襲われた。そこで、グティアは俺達を逃がすためにそこに残ったんだ。俺達のお願いは、アンタ達にグティアを助けてもらいたい、って事だ」


三人は揃って頭を下げる。


「いや、言いにくいんだけどそのグティア、って子は生きているのか?」


運ばれてきた骨付き肉をほおばる。もちろんゲームだから味はしない。唐揚げが食べたくなった。



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【チャット民】


ミャース:『おっにく♪』

猿澤GO:『生きてないだろ。グティア。このゲーム割と容赦ないからな』

またたびワンコ:『助けてあげて』

えらすごすTV:『怪しい?』

ふしきだね:『行くしか』


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「それは多分大丈夫。グティアはかなり特異体質なんだ」


「まあ、いいじゃないか。受けてやれ。お前達の鍛錬にも丁度良かろう」


それまで腕組みして黙って聞いていたエイレインが大好きなチェリージュースを片手に口を出す。


「子分共が困っているなら、助けてやるのが筋ってもんだ」


勝手にダンクさんの子分にされたぞ。いいのか、少年達。


「私は今回はパスかな〜。だってまた戦わされ……」


「仕方ない。そのグティアとやらを助けに行きますか。明日、出発しよう」


「あ〜、無視だ。今ショー君ミイアの事、むーしーしたー。悪者、飲んだくれ、冷酷人間」



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【チャット民】


ミャース:『むしした(;`O´)o』

ぽんこつ総大将:『あ、しりとり、ん、がついてら』

ランダム娘:『パウチ君ムシがいいな』

かのん★★★:『ランダムちゃん、うまいねb』

0911OVAN:『今日の晩御飯は唐揚げにします』

太陽神:『俺もチェリージュース飲みたいよ』


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【さあ、と言ったところで今日ほここら辺で終わりましょうかね。お尻の方もソロソロ限界みたいなんで。では、みんな、また明日会いましょー】


【★お願い★】


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