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乱入者

「いたぞ。依頼のあったゴブリンリーダーだ」


ゴブリンとは、小鬼と呼ばれる事もあるザコモンスターだ。人間の子供、8、9歳くらいの背格好で、頭部には小さな角が生えている。武器を使うが、力は弱くだいたいは群れで行動する。ゴブリンリーダーはその名の通りゴブリン達のリーダーで群れを率いる。他のゴブリンよりは一回り大きく力も強い。


「20匹以上はいるんですけどー。ムリなんですけどー」


森の中の少し開けた場所に彼らはいた。

これから食事の準備に入るところらしい。準備といっても煮炊きができる能力はないから、仕留めた鹿の肉を切り分けているだけだったが。


「今がチャンスだ。いってらっしゃい」


「やあやあ、ゴブリンどもよ。俺が来たぞ。こっを見ろっ」


「なぜ叫んだし。奇襲のチャンスだろ」



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【チャット民】


かのん★★★:『やってるな〜。ダンクさん』

猿澤GO:『漢すぎんだろ』

ジューダイン:『まて、落ち着け。まだ脱いでないぞ』

ランダム娘:『ちゅーもーく』

MIHON:『マジWW』

またたびワンコ:『あ、ミイアちゃんまた寝てら。おやすみ〜』


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「おーい、さすがに寝たふりだろ。起きて戦え」


ダンクの声にゴブリン達は各々武器を手に取りこちらに駆け寄って来る。


「うおおお。かかってこい」


吠えるダンクさんは槍を振り回して戦闘に入る。ダンクさんを迂回して二体のゴブリンが来る。

俺が戦って倒すのは簡単だったけど、それではこの依頼を受けた意味が無い。

寝たフリを続けるミイアを俺は盾のようにして前面に押し出す。


「あーっ、ショー君ヤバすぎ。女の子を盾にするなんて鬼畜。クマ。魔物。のび太」



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【チャット民】


MIHON:『ショーさんさすがです』

いってらBOY:『魔法使いは盾』

かのん★★★:『ミイアちゃんしりとりやん。余裕ありやな』

ふしきだね:『やっぱり寝たふりだ』


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詠唱が間に合わない為、ゴブリンは既に魔法で倒せる距離ではなかった。刃の欠けた果物ナイフをミイアはどうにか杖で受ける。もう一体は俺が蹴り飛ばしておく。


「バカバカバカバカッ。寄らないでっ。近寄ったらメテオストライクをお見舞いするんだから」


めちゃくちゃに暴れて杖でゴブリンを叩きまくる。当然、メテオストライクなどと言う超高等魔法は使えない。



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【チャット民】


えらすごすTV:『メテオなんて使えるのか?』

ランダム娘:『えっ、最上位魔法じゃん。ブラフか』

やほやほ:『ハッタリ』

ふしきだね:『ミイアちゃん最強説』

curry udon:『無詠唱メテオストライク喰らえ』

ぽんこつ総大将:『ふしぎだねさん、それな』


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「はぁ〜、はぁ〜、た、倒しました〜」


格闘の末、どうにかゴブリンを気絶させる事ができた。



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【チャット民】


0911OVAN:『やったねミイアちゃん。撲殺天使』

猿澤GO:『どこが魔法使いなんだよ』


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「もう一丁、頑張れ」


さっき蹴り飛ばしておいた一体をミイアの方にリリースする。


「いやー。もう、やだー。二の腕もうパンパンだよ。杖も折れちゃうよ」


「魔法使え、魔法。なんで殴ろうとするんだよ。魔法のレベルアップしないと」


「あっ、そうか」


いや、そうか。って。

ミイアは目線を少し落としてブツブツと呪文を唱えだす。


「……猛き力強い……、え〜と、炎の英霊よ。彼の地より吹きい出て……、あの、なんだっけ?」


「我が身に集い」


ファイアボールの魔法詠唱だ。火の初歩魔法。俺も使える。無詠唱でだけど。


「あ、それ、我が身に集い〜、えと、焼き尽くせファイアーボール」


伸ばした杖の先から火花が起こり、火の玉が放出される。その大きさはおよそ直径5センチ程。律儀に魔法発動を待ってくれていたゴブリンに届く前に消火してしまった。


「ええ〜。なんで〜」



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【チャット民】


えらすごすTV:『あんな詠唱詰まってたらそりゃあそうなる』

またたびワンコ:『あれでも一応発動するんだ。魔法』

ぽんこつ総大将:『ポンコツかわいい』

0911OVAN:『あ、あざとい』


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結局ミイアは、襲って来た棍棒持ちのゴブリンと壮絶な殴り合いを演じ、辛くも勝利した。


一方、ダンクさんは十匹以上のゴブリンを相手に互角以上に戦っていた。

もともと、ちゃんと装備を固めて戦えば実力はあるのだ。


「今だ。行くぞ」


俺達がゴブリンと戦っているのとは逆の茂みから、掛け声と共に3人の男女が姿を現した。冒険者ギルドでダンクさんが因縁を付けていた初心者達だ。



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【チャット民】


curry udon:『あ、復讐かな』

あるぱぱ:『挟み撃ちになるんちゃう?』

猿澤GO:『初心者たちの逆襲だ』

マッドショット:『面白くなってきました』


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「おうっ、テメェら。どういう了見だ。俺の獲物を横取りする気か?」


3人はゴブリンリーダーに一斉に飛び掛かり、倒してしまう。


「ヨッシャー、やったぜ。ざまあみろ。サッサと魔石を持って帰るぞ」


初心者冒険者のリーダーらしき男が残りの二人に声をかけるが、そちらからは返事が無い。

二人は固まっていた。


「ね、ねえアレ……」


固まっていた女性冒険者の方が指さす先には二匹のモンスターがいた。


「ゴブリンキング……、それと、ゴブリンクイーンだ」


もう一人が絞り出すような声で言う。

ゴブリンキング。言うまでもなくゴブリンたちの王様。魔法は使えないが、その戦闘力はゴブリンリーダーなんかの比ではない。Aランク冒険者でも手を焼く程だ。そしてゴブリンクイーン。力は大したことないが、ゴブリンのクセに魔法を使う。こちらもかなりの強敵だ。

さらに、彼らの後からぞろぞろとゴブリンが現れた。


「な、なんだコレ。冗談だろ。なんでこんな所に上級モンスターが出るんだ」


無理もないことだけれど、初心者リーダーは狼狽えている。


「おい、どうするんだよ。パウチ」


「パウチ君どうしたらいいの?」


「そんなのに、逃げるしかないだろっ」


「逃げるって、どうやってよ」


「完全に囲まれちまってるじゃないか。だから止めようって言ったんだ。チンピラ冒険者を出し抜くなんて」


初心者君たち、なんだか勝手に仲間割れしてるが。



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【チャット民】


MIHON:『チンピラ呼ばれてるW』

いってらBOY:『パウチピンチ』

太陽神:『エイレイン様活躍させて』


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