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第10話 事件はびっく○ドンキーで起きているそうです。

 ※今話は友紀視点です。


 電車が止まり、タクシーも長蛇の列となり途方に暮れていた。

 ただでさえ人が多く荷物も多く大変な島脱出からの帰宅。

 数少ない知り合いに連絡をして迎えに来てもらおうかなんて事も考えた。

 どうしようかと駅と会場へと顔を何度も行ったり来たり。

 そんな時に男性に声を掛けられた。


 「どうしました?何か困ってるように見えたのですが……って突然でしたよね。2ヶ月ほど前公園で一度お会いしたと思うのですが。」

 あれ?この声は?それに手に持つMAXコーヒー……やっぱり。


 どう見ても何かを被っていたと思われる髪の毛のべたつき方。

 あれは帽子でつくような跡じゃない、経験者だからわかる。あれはウィッグを被っていたことによって起こるウィッグネットの跡。


 あの名刺をくれた時、初めてだと言っていた。だから恐らく帰宅する時の事までは考えてなかったのだと推測出来る。


 公園で会ったあの人と、西4階で会った人、そして今目の前にいる人……

 同じ人物だというのが私にはわかる。女の勘というのもある。私の心の磁石は無意識にもこの人に惹き寄せられていた。

 声ヲタを舐めるなという冗談は置いておいて。


 理由はわからない、今の私が《《異性に対して怯えていない》》という事が一つの証明かもしれない。

 コスしている時以外で、家族、数人の友人、会社の人以外の異性と触れたり会話したりが怖い私がである。

 でもこの人は先日も、今も異性に対する恐怖が感じられなかった。なぜなのかはわからないけれど……


 (しかしそれを理解するにはまだまだ先の話。)


 

 異性に対して恐怖を感じないという事に安心感を得たと思う、そうすると自然と表情が緩んだ。緩んだと思う。緩んだだけだと思う。

 それなのに少し頬が暑い。MAXコーヒーはもう冷たいのに。 

 私が電車が止まり帰れない旨を伝えると彼は私を送ってくれるという。


 思わず「はい。」と肯定しちゃったよ。少しは警戒しろって私。でもダメ……他のその他大勢の恐怖の対象の中、数少ない大丈夫な人。

 きっともっと知りたいんだと思う。そう思ったら即答してた。

 でもほら、冗談だと思われちゃった。

 ヲタクに悪い人はいませんって……そりゃ大抵の人は色々弁えてるから……

 弁えてない人もいたけど。



 結局送ってくれる事になったんだけど、なんと家が近かった、ラッキー…って何舞い上がってるの?

 家が近いとナニがあるっていうの?

 注:地図で見ると二人の家の間には駅があって電車が走ってます。


 あ、でも連れと一緒に来たですって…そうですよね。見たところ歳は30前後でしょうし、奥さんか彼女がいてもおかしくないよね。


 そう考えたら沈んだ自分を自覚した。


 え?会社の後輩で男?


 もーなにー。上げて落として上げるってこのテクニシャンめっ


 って心の中の私は何をボケて何をツッコんでるの?


 私が色々気付いてる事は言わない方がいいよね。もし違っていた場合に恥ずかしすぎるし。

 正解率75%はベットするには勝負は厳しいのだ。


 

 でも彼は私を2ヶ月前公園で会った人くらいにしか認識はしてないように感じる。

 そこが少し悲しい。

 

 駐車場までの道のりで彼はキャリーケースを持ってくれた、優しいと思った。


 ヲタクだから私にはわかる、こういう時、男子はかっこつけたがるのだ。


 そこに甘える私もちょろいと思う。

 そして手を握られてしまった。もちろんキャリーケースの取ってを握ろうとして、私が手を放すのが遅かったからだけど。

 私の手、冷たかったよね。外にいて大分冷えちゃってたし。


 それにしてもドキドキした。お客さんへおつりを渡す時以外で触れる事がなかった。

 その時ですら、手袋着用だし。

 じかに人の手に触れたのはいつ以来だろう……

 

 

 しばらく歩くと凄い痛車があった。もちろん一台どころか何台も。


 その中の一つが彼の車だと知った時は驚いた。


 まさか銀○のあやめが勢ぞろい。朝○と夕○姉妹も。あの衣装可愛いよね。馬車道でバイトすれば良かったよ、ちょっと似てるだけだけど。

 いただ○じゃんがりあんにもあったよね。



 そういえば、手が触れた時にあの人は少し意識してくれたかな?

 お互い無言だったもんね。中学生かって思っちゃったよ。

 少なからず意識していたら良いんだけど。


 痛車談義をしている中で見知らぬキャラがボンネットに描かれているのが目に入った。

 

 聞けばなんと同人活動をしていて、二次創作ゲームを作っていて、その愛着あるキャラだって。


 銀髪で幼い顔立ち、超可愛い。1章のあやめをショートボブにして笑顔が似合うようにした感じ。

 絵描きさん良い仕事するなぁと思った。痛車を仕上げた人も良い仕事するなぁと。


 だから私は邪道だとは思わない。愛を以って誕生させたキャラはもはや娘だよ。


 どうも製作者が日本中に分かれているために、完成には至らなかったみたいで残念、プレイしてみたかったと思ったのに。

 

 車を走らせ島を脱出してしばらくすると、越谷のび○くりドンキーに入る事になった。


 コ○ケ期間中は水分は大事だから摂取するけど、固形物はあまり口にしない。

 せいぜいカロ〇ーメイトくらいだろうか、あとは飴かな。


 確かにお腹は減ったかな、油断すると鳴く。ぐーぐーと口で言っても可愛くない年齢だとは自覚してるしね。やりませんよ?


 

 そして注文を終えた後事件は起こった。


 事件は会議室で起きてるんじゃない、びっくりドン○ーで起こってるんだっ!と誰かも言っていた気がする。


 気付いた事と言えば、今まで自己紹介すらしていなかったのだ。

 彼が同一人物だと思っているので自己紹介してなかったけど、社会人として失敗したと思った。


 職場が女子ばかのみんなフレンドリーなとこころだし。ついでにほとんど旦那か彼氏持ちだし。って関係ないか。


 彼から先に自己紹介をしてくれました。


 私は75%の正解率で確信を得ていたので驚きは然程大きくはなかったけれど、それが100%になった事に安堵した。


 公園で会った人=西4階で撮影しあったコスプレの人=今日送ってくれている目の前の人=越谷真人さん=まこPさん


 もうイコールしかない。なんて日だ。もうMAXコーヒーの人とか呼べないよっ

 

 

 まだ明らかになっていない関係性があるのだが、二人ともそこに気付くのはもう少し先の話… 



 本当の事件はこれから…


 私の自己紹介の時、彼が大声を挙げた。


 一体どっちに驚いたのだろう、本名?コスネーム?後者だよね。だってさっき一緒に写真撮りあってた相手がここにいるんだもん。


 そんなに違うのかな?


 確かに普段化粧とコスメイクは全然違うから、人によっては別人にもなりうるけども。


 どっちなのー気になるよー


 大声を出したことに周囲へ謝る彼と、悶々としている私がそこに在った。

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