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第一章第三話 深まる謎

奈々の家は一戸建てで家の中はとても豪華だった。

大人奈々は現在二つの仕事をしているという。

一つはモデルである。

抜群のスタイルの良さからか、数々の雑誌で取り上げられるなどしてブレークしており、巨額の収入を得ていると自慢していた。

だからこそ24歳で一軒家を建てるなんてことができたようだ。

そしてもう一人仕事を掛け持ちしているというが、それについては職業柄明かせないことになっているという。


そんな大人奈々は一か月前に彼氏と別れてしまい、今は広い家で一人暮らしをしている。


大人奈々は俺達に手料理をご馳走してくれた。

料理の腕やバリエーションも少女時代の奈々をさらに上回っていた。

少女の奈々も料理は得意だが、大人奈々は勿論そのレベルではない。



腹ごしらえができたところで、俺達は大人奈々に気になっていたことを質問した。


一つ目は10年前の災害の時に、俺達を助けてくれた瞬間移動の能力をもつ女性のことだ。


恐らく女性はタイムスリップできる能力も持っていて、この時代から10年前にタイムリープしたのではないかということだった。

ただ驚いたことに、大人奈々は瞬間移動能力をもつ女性のことを知らないと言うのだ。

ショートヘアで学生服なのかアイドルの衣装なのか中途半端な格好で、スカートは赤色など、思い出せる限りの女性の特徴を伝えたが、大人奈々はあの日そんな人と会った記憶はないという。


そこであの日波に飲まれそうになったのを覚えているかを大人奈々に確認したが、高いビルの最上階に逃げたから波に飲まれてはいないと答えた。

むしろ「あんた達も一緒だったのに覚えてないの?」と逆質問された。


確かに奈々はあの災害の日、高いビルに逃げようと言っていた。

でも俺達が反対して歩いて内陸部まで逃げることにしたのだ。

その時記憶が大人奈々にはないらしく、俺達の記憶と食い違っている。


記憶の差異の原因は大人奈々も分からないというので、これ以上言及できなかった。

また一つ謎が増えてしまった。



二つ目はなぜ女性は特殊な能力を使えるのかについて質問した。

大人奈々は順を追って説明してくれた。


「10年前の南極への隕石衝突。あれは「レインボーインパクト」と命名されたんだけど、

レインボーインパクト依頼、突然超能力に目覚める人が現れるようになったの。」


レインボーインパクト以降、超能力に目覚めた人の中には軍隊にも手におえないような強力な能力者もいるそうだ。

とはいえ、自然に超能力を使えるようになる人は全人口の0.1パーセントにも満たないという。

しかし人口的に能力開発すればその限りではないのだというが。

暗部組織「リベリオン」では、人工的な超能力の開発を行っていて、一般人が能力を取得することもあるみたいだ。


リベリオンは日本政府をも恐れる程組織で、最先端と科学技術を開発する複数の大手企業の社長でもある豊橋勝也が組織のリーダーを務める。

彼らは房総に拠点を置き、事実上新しい国家を作成しつつあるのだという。

豊橋は自らを「新生リベリオン国の国王」であると名乗っている程らしい。



次に瀬戸が大人奈々に大事なことを聞いてくれた。

それは、俺達が元の世界に戻るには瞬間移動能力をもつ女性を探して送り返してもらう必要があるのではないかということ。

また、そのために女性を探すのを手伝ってくれないかとお願いしたのだ。


大人奈々は笑顔で承諾してくれた。

「困った時は家族だと思って頼ってね。あと、元の時代に戻れるまでうちで泊まって行きな。」

とも言ってくれた。

色々してもらってばかりで申し訳なく思ったが、大人奈々は苦にしていないようだった。

「一人だと寂しいから、話し相手ができてうれしいよ。」

と笑顔だった。



俺達がやらないといけないのは、女性を探すことだけじゃない。

万が一元の時代に戻れないならこの時代で生きていくことも考えなくてはならない。

そうなれば、いつまでも大人奈々の世話になるわけにもいかないし、生計を立てる方法も考えないといけない。

しばらくは落ち着かない日々が続くことだろう。



それからしばらくして、奈々が俺を呼び止めてきた。

そして、本当に瞬間移動能力をもつ女性と面識がないのかを俺に聞いてきた。

その時の奈々の表情は少し怒っているようにも見えた。


「なんでそんなこと聞くんだ?」


「あの女の人、浅風のこと浅風君って呼んでたじゃん。知り合いじゃないの?」


どう考えても初対面だ。忘れてるなんてことは記憶が改竄でもされてない限りありえないはず。


「全く知らない人だよ。知ってたら俺紹介してるよ。」


奈々は納得いかない表情をしていたが、分かってはくれたようだった。

しかしなぜあの女性は絶妙なタイミングで俺達だけを助けに来たのだろうか。

しかも俺の名前を知っているのだから怖い話だ。


結局の所、あの女性を知っている人がそもそもいない上に名前も素性も分からないのだから捜索は大変になるだろう。

とはいえ、ずっとこの時代にいるわけにもいかない。

翌日から俺達は女性の捜索を始めたのである。


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