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第一章第十三話 浅風vs浅風

大人浅風は大人奈々にトドメ刺そうとした瞬間に正面から何者かにタックルを受け突き飛ばされた。


「奈々に何をしたんだ!!」

大人浅風を突き飛ばしたのは、駆け付けた少年浅風であった。


この光景を見て、ミシェルが少年浅風に向けて発砲しようとするが、横から強烈なキックを受け拳銃を手放して転倒した。

キックを浴びせたのは少年浅風とともに駆け付けた萩野谷銀河である。


そして、同じく駆け付けた少女奈々は、大人奈々が血を流しているのを見つけ慌てて駆け寄り止傷口を衣服で止血した。


少年浅風はいつものさえない表情とは一転、鬼のような形相で大人浅風を睨んだ。


「奈々、救急車を呼んでくれ。救急車が来るまでの間応急手当を頼む。その間に俺と銀河でこいつらをなんとかする。」


大人浅風が立ち上がる。

「能力もないのに無駄死にするつもりか。ミシェル、そっちの不良は任せる。」


ミシェルは水を生成し、銀河の首を水圧で締めつけようと試みる。

しかし、銀河に水が触れる前に、水の塊は消えてしまった。


「どういうこと?」

ミシェルが驚いていると、その瞬間驚くべきことが起きた。


銀河が手から白く光るビームを放ったのだ。

ビームはミシェルにヒットし、ミシェルは体ごと10メートル程度投げ飛ばされた。

ミシェルは水のバリアを張っていたがそれも貫通したように見えた。


「おい、俺が能力持ってないって証拠はあったんか?あぁ?」

銀河は大人浅風の方へ向き直り言い放つ。


俺、少年浅風も驚きを隠せなかった。

もちろん10年前から来た銀河が超能力を使いこなせるなんて普通は考えられない。


しかし大人浅風はそれほど驚きの表情を見せなかった。

「短時間で超能力が開花したのか。大したものだな。だが、短時間で開花しても使いこせるかどうかは別の話だ。」


大人浅風は銀河に爆風を浴びせる。

銀河はミシェルと戦った時と同じように、浅風の爆風を打ち消した。

大爆発のような威力のある爆風だが、ビクともしない。

どうやら銀河の能力は相手の超能力を打ち消す力があるらしい。


銀河が攻撃に移ろうとすると、目の前に大人浅風がいないことに気づいた。

しかし気が付いた時にはもう手遅れだった。

大人浅風は空気の流れを操り高速で銀河の背後に移動し、強風でブロック塀に銀河を叩きつけた。

体を強く打った銀河はそのまま倒れ込んだ。


「いい力を持ったな。だがスピードを持った相手には叶わないのが弱点だったな。」


大人浅風は再び拳銃を手に取り、奈々にトドメを刺そうとするが、

そこにはまだ少年浅風が立ちふさがっている。


「なんで奈々を・・・!お前のために奈々がどれ程尽くしたのか、分からないのかよ!」


「分かっているさ。だから幸せになってもらいたかった。」


「じゃあなんで殺す必要があるんだよ!答えろよ!!どこまでクズ野郎なんだよお前は!!」


「仕方ないだろ。話合いをしようとしてもあいつは俺を殺す気満々だった。いや、殺すつもりしかなかったように見えた。そうなりゃ、力づくで黙らせるより仕方ないだろう。これは正当防衛だ。」


「なんで・・・、奈々をそんな風にしたのはお前だ!!お前はお前に一番優しくしてくれた人を裏切った。しかも殺されそうだから殺そうとしたって?ふざけんなよ!!

強いんだろお前!そんな強さがあるんなら奈々をまず守ってやらないで誰を守るんだよ!!なのに奈々にこんなことするなんて頭がおかしいとしか思えない。」


「もういい、お前も邪魔だ。このまま大人になればお前も俺みたいになるんだぞ。」


大人浅風は少年浅風に拳銃を向けた。

しかし、少年浅風も引き下がらない。


「俺を殺したら、お前も死ぬかもな。俺は10年前のお前なんだぞ!」


「ハッタリのつもりか。不格好な命乞いだな。」


「お前みたいになるくらいならここで死んでやるよ…。」


大人浅風が少年浅風に発砲しようとした時、銀河の攻撃を受けて気絶していたミシェルが大人浅風に駆け寄り、攻撃を止めさせた。

「だめだよ浅風。あの子を殺したら自分も消えないって証拠はないんだよね。

だったらこんなことは絶対ダメ。私達にはあなたが必要なの。私達が幸せに生きられる国を作るんでしょ。あなたの命はこんなギャンブルで消えていい命じゃない。」


その時、パトカーや救急車のサイレンが聞こえた。

通報を受けて緊急車両が向かって来たのだ。


「仕方ない。今は、撤退しよう…。」

ミシェルに説得され、大人浅風は姿を消した。


彼らが去った後すぐに救急車とパトカーが到着した。

大人奈々は救急車に搬送され、俺と奈々は救急車で病院まで寄り添った。

軽症ではあったが、銀河も別の救急車で搬送された。


病院に到着すると大人奈々は集中治療室に運ばれ、緊急手術を受けた。

失血が酷く予断を許さない状況であったが、少女奈々の血液を輸血したことで一命を取り留めたのであった。

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