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第一章第一話 プロローグ

初めまして、今井光太郎です。


この作品はストーリー構想に約10年の時間を掛けて、ようやく執筆するに至りました。

社会問題や政治にも焦点を当てながら、発達障害を抱える主人公がタイムスリップし、未来の自分と会い、試行錯誤をして行く中での成長を描くストーリーです。


本来は人生で幸せになるために必要なことをまとめた難しい論説文になる予定でしたが、中学生、高校生などの若い人にこそ読んでもらいたい、という思いから少年マンガっぽい小説として再度構想を練り直して執筆しました。


今後社会に出る学生など若者達にとって、辛いとき苦しい時に現状を乗り切る勇気を与えるような、人生のバイブル的な作品にできればと思っております。

また、社会人の方々にも、辛い時に「また明日から仕事を頑張ろう」と思えるような作品にできるよう努力します。

「今までの私の人生で得た全ての知識を読者の皆さんに受け継ぐ」という思いで連載していきます。

今後とも宜しくお願い致します。


投稿は不定期となります。


執筆経験が少ないため、良くも悪くも率直な感想を頂けますと嬉しいです。











2030年日本国の首都、東京は戦火に包まれた。

東京のビル群は神聖リベリオン王国の攻撃により、廃墟となりつつあった。


各所で空爆の音が鳴り響く。

至る所で戦火による煙が立ち上っている。


そのような状況下で俺、中学3年生の浅風竜義は10年後の未来の自分の前に立ち塞がっていた。


「余計な指図をするな、俺は神聖リベリオン王国皇帝だ。」


10年後の俺は東京に住む人々の大勢の命を奪った神聖リベリオン王国の皇帝。

いや違う日本史上最悪の悪魔テロリストだ。


「どうしてだよ…。こんなことをするのが俺の未来なのか?ふざけんなよ!俺は世界で一番優しい人間に…、皆を幸せにできるようなヒーローになりたかったのに…どうしてだよ!!」


10年後の俺は俺の話に耳も傾けず戦火が舞う煙の中へ消えていく。

「答えろよ!!無視すんなよ!!」


俺は空爆による轟音が鳴り響く中で声をあげて泣き続けた。






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2020年の東京。

俺、浅風竜義は公立の中学校に通う中学三年生だ。

努力することが嫌いだから頭も悪いし運動も苦手。

だけど、こんな俺にも信念や夢がある。


それは「世界で一優しい人間になること」だ。


俺は昔から人が傷つくのを見ていられない質だ。

いじめられてる人がいれば体を張って守ってあげる。

もちろん強くないからボコボコにされるわけだが。


それに、人からの頼みは基本断らない。

頼りない俺でも役に立てることがあるなら、少しの犠牲くらい惜しくはない。


俺の好きな言葉は「ありがとう」だ。

「ありがとう」という感謝の言葉は、自分がここにいていいんだなって思わせてくれる。


そんな俺によく話しかけてくれる女子がいる。


佐倉奈々(さくらなな)

俺の数少ない女友達だ。

性格が優しいことを除けば、俺はただの落ちこぼれだから女子からは人気がない。

でも奈々だけは俺にとても優しい。

しかも人に流されないしっかり者で、料理が得意で家庭的。

性格も凄くいい奴だ。



「浅風、10年後の自分への手紙何書くつもり?」


「そうだなあ…まだ考え中。そもそも10年後ちゃんと生きてるかな…」


「ちょっと!ネガティブ過ぎ!」


「いや、ほらこないだは車に轢かれそうになった猫を助けようとして危うく死にかけたし、川に流されたボールを取ってあげようとして川に流されかけて死にかけたし…」


「自分の力量考えないで無茶するからだよ!泳げもしないのに川に飛び込んだのにはさすがに呆れたよ…」


一先ず俺は今日のホームルームの授業で書かされる10年後の自分への手紙について、書くことが思い浮かばないので親友に相談してみることにした。


俺には、よく一緒にいる親友二人がいる。



瀬戸慎也(せとしんや)

生粋のゲームオタクだ。

頑固者で少し変わった奴だけど、冷静で洞察力に長ける。

俺も正直変わり者だから、クラスで浮いている者同士仲良くなった。



出雲総一郎(いずもそういちろう)

俺や瀬戸に比べたら明るくてノリの良い奴だ。

中学生のくせに政治に詳しくて、法律とか選挙のこととか難しいことを色々知っている。

瀬戸のゲーム仲間で、いつの間にかいつも一緒にいるようになった。



そして友達と言っていいのかわからないけど絡みが深い奴がもう一人いる。


萩野谷銀河(はぎのやぎんが)

学年一の問題児で、教師も手に負えない不良少年だ。

こいつが弱い者いじめをしては俺が止めに入って、俺がこいつにボコされる。

それが俺達の日常だ。

これだけ聞くと最悪な奴のように聞こえるかもしれないが、俺を変なやつだと思って距離を置く奴らと違い、こいつは俺にいつも正面から向かってくる。

正直俺はこいつをなぜか憎めない。


俺達は学校行事の一つとして、10年後の自分に向けた手紙を書くことになっていた。

書いた手紙は10年後、自分の元に届くらしい。


10年後なんて正直想像したこともなかったので10年後の自分に宛てる手紙など何を書いていいか分からなかった。

そもそも夢すらない俺は10年後どうなっているんだろう。


10年後の自分を想像する中で、クラスメイト達は将来の夢について語り合っていた。

クラスメイト達は皆、立派な夢を持っていた。

医者、弁護士、学校の先生、美容師、看護師、歌手、俳優、芸能人のお嫁さん…

ちなみに奈々はファッションモデル、瀬戸は会社の社長、出雲は政治家になるのが夢らしい。


俺は努力するのが苦手だ。

皆が目指すような立派な職業には就けなくても、


もちろん、俺にだって本当は夢がないわけじゃない。

できるなら弱い人達を守ってあげられる、勇気付けてあげられる「ヒーロー」になりたい。

でも、そんなこと小学生みたいなことを言っているのは誰もいない。

プロ野球選手とか、サッカー選手なんて言う夢を語る人もほとんどいないくらいなのだから。

だから、俺の夢は誰にも言いたくはない。

俺がヒーローになりたいのは俺自身だけの秘密だ。


俺は10年後の自分への手紙を書いた。

この時は全く想像することができなかった。

まさかこの手紙を受け取る10年後の俺が、日本史に名を刻むほどの凶悪なテロリストになっているということを。



悲劇の始まりは、突然やって来た。

人類の当たり前の日常が一瞬で崩れ去ってしまったあの日から。


放課後、教室の掃除をしていると急に暗くなり、空がオーロラのような色で七色に輝きはじめた。

校内にいた生徒達は皆、何が起きたのか気になり、窓の外を眺めた。


この時はまだ、今起きている事態の深刻さに気付いておらず、空が綺麗だとスマホで写真を撮っている女子生徒もいた。

非日常感を楽しんでいた者もいた。

しかし、サイレンが響き渡った瞬間、危機迫る状況であることを感じたのた、教室内が急にざわつき始めた。


担任の先生が教えてくれた情報によると、南極に巨大隕石が落ちたらしい。

また、その影響で南極の氷が驚異的なスピードで溶けており、海面上昇が急上昇を始めているという。

空の変化もこの隕石衝突が原因なのだろう。


担任先生は即座に標高の高い場所へ避難するよう指示をした。

今俺がいる場所は、東京都江戸川区で標高は0mだ。

このまま海面上昇が進めばすぐさま海の底に沈んでしまう。

だから即座に避難する必要があるのだ。


先生が言うには、新宿や渋谷の辺りまで避難する必要があると言う。

今日の夜頃には海が東京23区東部を飲み込むと予想されるため、急ぎ標高の高い地域に避難するよう、防災放送が繰り返し流れた。


サイレンが鳴り響く中、俺は奈々、瀬戸、出雲とともに避難し、避難先で家族と落ち合うことにした。


俺達はまず電車に乗るため駅へと向かった。

しかし駅まで500m程度離れた場所で、道路を塞ぐような人の壁が立ちはだかった。

駅には人が殺到しており改札どころか駅の中にすら入ることができず、ここまで順番待ちをしているようだ。

暴動も起きており、とても駅に近づける状態ではない。

車で避難しようとする人達がいたが、人の壁と渋滞で車を動かせず、車を乗り捨てて走って避難する人達もいた。



この様子を見て、瀬戸は徒歩で避難することを提案した。

しかし奈々は反対し、歩いて避難なんかしないで高いビルに避難しればいいと言って引き下がらなかった。


そんな中、たまたま俺たちを見つけた銀河が声をかけてきた。

仏頂面でなんだかかなりイライラしているようだった。

「何してやがる。駅になら入れねえぞ。こっから駅までずっと人の壁だ。」


銀河は俺達に電車で避難は無理そうだから徒歩で避難すべきと教えてくれた。

俺は銀河に礼を言ったが、土地感が分からないから案内しろと銀河は言って来た。



俺は瀬戸の提案通り、銀河も一緒に徒歩で避難することを勧めた。

出雲も俺や瀬戸と同意見だったが、奈々だけはそれでも頑なに反対していた。

奈々は電車でも30分程度かかる距離を歩くなんて現実的ではないと主張した。


俺は、いざ奈々が歩けなくなったらおんぶしてでも一緒ににげると約束した。


「浅風にそんなことできるわけない」

という奈々であったが、そんなやりとりを見て銀河が

「いざとなりゃ俺が背負ってやるから早く出発しろよ、モタモタしてると死ぬぞ!」

と怒りだし、奈々も渋々納得した。


学年一運動能力が高い銀河なら、背負って逃げると言っても説得力があったのだろう。


俺たちは可能な限り速足で内陸部を目指して歩いた。



俺達は1時間程度徒歩で移動すると、荒川の陸橋に差し掛かった。

陸橋を渡っていると、前を歩いていた男性が海の方向を指さして叫んだ。

「おいあれを見ろ!やばいぞ!」

男性が指刺す方角に目をやると、物凄い勢いで海側から川が逆流していたのだ。


そして、海から巨大な波が迫ってきた。

海面が上昇して海が迫って来たのだ。

この地域の水没は今夜だったはずである。


俺達と同様に新宿方面を目指して陸橋を渡っていた人達が悲鳴や大声を上げながら対岸に向けて一斉に走り出した。

俺達は橋のちょうど真ん中付近にいた。

全速力で走ったって向こう岸まで逃げ切れない。

それでも俺たちは全速力で対岸を目指して走った。

しかし、奈々がスリップし転倒してしまった。


俺は急いで奈々の手を取り、立ち上がらせようとしたが奈々がそれを拒んだ。

「私はもう助からない、私を捨てて逃げて!」

奈々は俺の手を振り払ったが、勿論彼女を見捨てられるわけがない。


銀河達の力を借りようと思ったが、瀬戸、出雲、銀河の三人は俺達のことなど振り返りもせず、ただ対岸を目指して走っていた。

俺はありたっけの力を振り絞って、奈々を背負って走ろうとしたが、力のない俺はバランスを崩し転倒してしまった。

気が付くと、大きな波が俺と奈々を飲み込もうとしていた。


もうダメだ・・・


そう思った時、女性の声が聞こえた。


「浅風君、私に捕まって!」


学生服のような格好をした、赤いスカートに白いワイシャツを着た見知らぬ女性が俺達に手を差し出していた。

その直後、波が覆いかぶさってきた。

俺は女性の手を握った。

もうおしまいだと思い、俺は目を閉じて死を覚悟した。


しかし、波の衝撃はいつまで経ってもこない。

不思議に思い、目を開けた。


なんと、近くを走る鉄道橋のトラス上に俺達は瞬間移動していたのだ。

一瞬何が起きたのか分からなかった。


同様していると女性が俺達に声を掛けた。

「彼らを助けて戻ってくるから、そこにしっかり捕まってて」


見ると、人が3人、波に攫われて流されていた。

そしてその三人は間違いなく、瀬戸、出雲、銀河の三人だった。

彼らを呼びとめる間もなく、女性は俺達の目の前から消えた。

女性は三人の元に瞬間移動し、彼らを瞬時に俺達の所まで連れてきた。

状況が理解できずあたふたする俺達五人であったが、状況理解をする間もなく女性は俺達に女性の体のどこかに捕まり、目を開けないように指示した。


その時、さらに高い波が迫ってきた。

あっという間に波が俺達を攫おうとする時、目の前が真っ白になった。


それから超高速のジェットコースターに乗ったような感覚になった。

波の飲み込まれたのか、それとも女性の能力でどこかへ高速で移動しているのかも分からないかった。

恐怖とあまりのスピードに目を開けることも身動きを取ることもできなかった。


それからどうなったのか、俺は覚えていない。

気を失ってしまったようだ。


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この時の俺は、昨日までの当たり前の日々が人生で一番幸せな時間で会ったことなど知るはずもなかった。


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