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ウメコのダンジョン  作者: かが みみる
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地宮03年12月24日(土)

あれから2年。前の彼女は二股どころか四股だったことを噂で聞いた。もう別に気にしていない。

今の俺にはウメコがいる。前の彼女と別れた日に出会った。運命の出会いだ。ウメコは梅干の種に似ている。ウメコは話し掛けると時々反応している気がする。それが可愛くて肌身離さず持っている。

それから二次元にも嵌った。アニメ、マンガ、ラノベとか色々と手を出している。今の夢は、異世界転生してハーレ無双だ。一緒に転生したウメコの擬人化をよく妄想する。


今日から冬休みなので実家に帰ってゴロゴロしていると、お決まりの台詞を母さんに言われた。


「クリスマスイブなのにゴロゴロして、彼女の一つもいないのかい。」


「彼女の一つか。上手い表現だね。一つならいるよ。」


3年連続で恒例となった母さんの台詞に対しても、余裕の受け答えで返してやった。



~~~母さん視点~~~


息子の一樹が今日から冬休みだからと帰ってきた。今日は世間ではクリスマスイブだ。私が若い頃は彼氏彼女とデートをする日と定められているような感覚があったが、今時はそうではないと分かっている。それでもやっぱり心配だ。

一樹は最近、アニメに嵌っていて、あんなんで将来は大丈夫なのかと不安になる。だからつい言ってしまった。


「クリスマスイブなのにゴロゴロして、彼女の一つもいないのかい。」


すると一樹は、


「彼女の一つか。上手い表現だね。一つならいるよ。」


彼女が一ついるって、あの部屋に飾られたアニメキャラクターのフィギュアが彼女だとでも言うのだろう。まったく、困ったものだ。いっそのこと全部捨ててしまおうか。



その後、一樹が汚い石の様な物に話し掛けているのを見てしまった。フィギュアどころか、あの汚い石が彼女だと言うのかもしれない。まだアニメキャラクターのフィギュアの方が許せる。いや、許せないか。何にせよ、あの汚い石が彼女というのはありえない。



一樹が風呂に入ったので洗濯をしようと脱がれた服を漁っていると、ポケットに件の石が入っていた。石なので窓から庭に捨てた。




~~~一樹視点~~~


風呂から上がるとウメコがいない。

ポケットに入れてあったと思うが、服は洗濯されている。母さんに聞いてみるが知らないという。慌てて家中を探した。ゴミ箱の中を漁りながら母さんに「本当に見なかったか」と聞いてみると、知らないと言うが目が泳いでいる。探すふりをしながら母さんの様子を伺うと、何やら庭を気にしているようだ。さては庭に捨てたな。

家の庭は田舎だけに広い。家庭菜園という名のちょっとした畑がある。夜の暗い中探すのは厳しいだろう。明日探そう。ウメコ、待っててくれ。


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