表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウメコのダンジョン  作者: かが みみる
17/83

地宮04年2月8日(水)

「ウメコは動物を所望いたします。」


「えっ?」


「ウメコは動物を所望いたします。」


「お腹空いたの?」


「それもありますが、モンスターのバリエーションが虫と植物に偏っています。やはり動物系のバリエーションも増やすべきでしょう。」


「具体的にはどんな動物が欲しいの?」


「狼です。」


「狼は無理。というかそれって、昨日見た『ダンマスウォーズ』のフェンリルの影響でしょ。」


「モフモフは正義ですよ。」


「多分本物の狼の毛はゴワゴワだと思うよ。それに狼なんて連れてこれるわけがないでしょ。」


「それでは熊を。」


「熊も無理だから。たぶん剛毛だし。そうだなぁ。ハムスターとかなら買えるかな。」


「いまいち迫力に欠けますね。やはりダンジョンらしく獲物を誘き寄せるべきでしょうか。無理をしてでも熊のいる山まで勢力を延ばしますか。」


「千葉県に熊のいる山は無いから。」


「それではダンジョンを動物園に繋ぎましょう。これは良いアイデアでは無いでしょうか。かなりのバリエーションが期待できますよ。」


「動物園の動物が失踪したら大問題になっちゃうよ!本気じゃないよね?」


「はい、冗談です。ですが、動物などの知能の高い生物を取り込みたいのは本当です。」


「それはどうして?」


「敵味方の判断ができるモンスターを作り出し、カズキ様の護衛をさせたいのです。」


「急に何かあったの?」


「私の兄弟と思しき者の活動が見つかりました。」


「えっ?何処で?何をしていたの?」


「こちらをご覧ください。」


ウメコはパソコンを操作してネットニュースを開いた。英語だ。


「ウメコって英語も読めたの?」


「私はカズキ様との生活の中で言葉を覚えましたので、英語力もカズキ様とそう変わらないかと思います。」


「つまり?」


「辞書を片手に時間を掛ければ読めるでしょうが、検索サイトの翻訳機能を使いました。」


「最初からやってよ~。」



翻訳機能だけでは意味不明な部分は原文を確認しながら記事を読んでみた。

要約すると、カリフォルニアで子供の失踪事件が発生。近くでモンスターを見たという証言が多数有り。UMA(未確認動物)の仕業かも。という内容の、若干オカルトよりのサイトの記事だった。

他にもアメリカ、カナダ、オーストラリアのUMA目撃情報の記事を見せられた。


「この手の話しって昔からあるよね?」


「はい。」


「それじゃあ兄弟の仕業か断定はできないよね。」


「はい。ですが、幾つかは兄弟の仕業だと思います。」


「どうして?」


「時期的なことです。ここに根をはってからの私自身の成長度合いと、私がカズキ様と過ごした時間である2年分を兄弟たちが先行していると仮定しますと、そろそろ活動を開始する時期だと判断しました。そのタイミングでUMA目撃情報は増えていますので、可能性は高いかと思います。」


「目撃情報は増えているの?」


「はい。見つけた記事の掲載日を月毎に集計しますと、この通り増加しています。」


そう言うとウメコはグラフをモニター上に出した。確かに増えている。


「でも海外の話しだし、大丈夫なんじゃないの?」


「国内でもこれから徐々に増えるものと思われます。」


「ウメコの兄弟って何人いるの?」


「正確には把握していませんが、50~100と予想します。」


「日本にはどれくらいいそうなの?」


「恐らくは5~10かと。」


「全世界で50~100で、日本に5~10って、何だか日本は多くない?」


「私たちの親から比較的近いため多くなると予想します。」


「ウメコの親って何処にいるの?」


「少々お待ちください。・・・。恐らくはここです。」


ウメコはパソコンのモニターに世界地図を表示し、そのうちの一点を天井から垂れた蔓の先で示した。太平洋の真ん中。アメリカよりは日本より。


「この場所で、今から約22年前に隕石の落下が記録されています。タイミング的に恐らくはこの場所が私の親が定着した場所でしょう。」


「ウメコはそこからどうやってきたの?」


「泳いできました。」


「泳げるんだ。でもそれならウメコの親は落下してきた後に泳いで移動したんじゃあないかな。」


「私たちは生まれて数年でしたら種のまま活動できます。ですが私たちの親は、地球に落下してきた時点で生まれて数年ということはありえません。種の状態で仮死状態で生き延び、長い時間を掛けて宇宙を旅して、地球に辿り着き成長できる環境になったところですぐさま芽を出し根を張ったと思われます。即ち、隕石が落下した場所が親のいる場所です。」


「ふーん。そういうものか。どっちにしろ俺はウメコの言うことを信じるしかないのだけどね。でもそんな場所じゃあ会いに行くとかはできなそうだね。」


「元々根を張った時点で移動できませんから。」


「プランターとかに根を張れば移動型ダンジョンとかできたのかな?」


「移動可能な超巨大プランターがありました可能でしょうが、非現実的だと思います。大分話が逸れましたが、ウメコは動物を所望いたします。」



話が戻った。しかたなくウメコに何か動物を連れてくることを約束した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ