地宮04年1月28日(土)
「ウメコの部屋って冬なのに結構暖かいよね。暖房とかあるの?」
「土の中なので外気温の変化の影響を受けにくいのです。それから、私も生体活動をしていますから、多少の熱を発します。」
「なんにしろ、快適なのはいいことだ。」
「私は元々低温にも強いのであまり関係ありませんが、カズキ様が快適であれば良かったです。」
「植物だと火に弱かったりするの?」
「いいえ。壁等の質感からお分かりでしょうが、体の組成を石に近くもできます。そのため火に弱いといったことはありません。そもそも植物イコール火に弱いという考えは誤りなのではないかと思います。生木と人間。同等の火に炙られた時にダメージが大きいのは人間の方だと思います。」
「ゲームだと草タイプは火に弱いが常識なんだけどな~。」
「その手のゲームが面白いことには一片の疑いもありません。私のダンジョンでは草タイプのモンスターは極力水分を減らし、火を弱点としましょう。」
「そんなこともできるんだ。凄いなぁ。そういえば先週の軍鶏はどうなったの?」
「現在育成中です。実戦投入までにはあと2週間ほど掛かります。」
「うーん。早いのか遅いのか。『ダンマスウォーズ』みたいにダンジョンコアに触れたらメニューが開いて、選択したらモンスターが現れるっていうのと比べると随分遅いけど、現実に軍鶏をモンスターとして育成することを考えると3週間なら早いよなー。」
「経験を積んでいけばもっと早くなると思いますが、今はこれが精一杯です。軍鶏はまだですが、幾つか新作のモンスターが完成しています。是非お試しください。」
「えっ?また戦うの?やだよー。」
「剣スコップさえあれば問題ありません。剣スコップが最強であることを証明しましょう。」
ウメコに押し切られて新作モンスターと戦わされた。
新作モンスターは、蜘蛛、ミミズ、サツマイモで、ウメコが1匹ずつ順番に出てくるように調整してくれた。
蜘蛛は30cmくらいのでかい蜘蛛。糸で攻撃とかはないので蟻と変わり映えしなかった。剣スコップの背で叩きまくって潰した。
ミミズは全長2mくらいあって、ウニョウニョ蠢くだけなのだが、暴れる体に当ってしまえばかなり痛そうだった。距離を取りながら慎重に何度も突いて倒した。まき散らされた体液が気持ち悪かった。
サツマイモは部屋中に蔦を這わせて、蔦の先のサツマイモをフレイルのように振り回して攻撃してきた。何回か攻撃に当ってしまった。生サツマイモは硬くて痛かった。とにかく蔦を切っていき、何とか倒した。サツマイモが一番強かった。
俺が全部倒して帰ると、ウメコは「やはり剣スコップは最強ですね。叩く、突く、切ると何でもできます。」と喜んでいた。剣スコップ最強説を俺に実践させるのは勘弁してもらいたい。