地宮04年1月22日(日)
第9~11部まとめて投稿。
今日はウメコが欲しがっていた動物を手に入れてきた。近所に軍鶏を飼っている人がいたので、その人に一匹譲って貰ったのだ。
「持ってきたけど、これってどうすればいいの?」
「ダンジョン側の通路の奥に放っていただければ大丈夫です。」
「どうするのか見ててもいい?」
「はい。是非見ておいてください。その際には武器を持って行ってください。」
「えっ!?何するの!?俺、武器なんて持ってないよ!やっぱり見るのは止めておこうかな。」
「剣スコップであればカズキ様の家にもありますよね。私は剣スコップ最強説というものを読んだことがあります。あの説には真実味があります。是非実践でお試しください。」
何故かウメコがやる気満々で、剣スコップを持ってこさせられた。そしてウメコに言われるがままに剣スコップを持ってダンジョン側に行き、軍鶏を放った。
ダンジョンの通路も天井が薄っすら発光しており様子を伺うことができる。その中を放たれた軍鶏が動き回っている。俺は軍鶏からつかず離れず距離を保って様子を見ていた。
しばらくすると、通路の奥から何かがやってきた。
巨大な蟻。そいつはそんな姿をしていた。体長30cmくらいの蟻が3匹、カサカサと音を立てながら近付いてくる。蟻と軍鶏の戦いが始まった。軍鶏は嘴で蟻を突く。蟻は軍鶏に群がり噛みついたり押さえ込もうとする。しばらくの攻防の末に、蟻1匹を道連れにしたが、軍鶏は倒れた。
軍鶏を倒し終えた残った蟻2匹が、観戦していた俺の方を向いた。カサカサカサっと音を鳴らしながら近付いてくる。
「くっ来るな!ウメコ!助けて!」
後ずさりながら剣スコップを振るうと、蟻に当たった。その後は無我夢中で剣スコップを叩きつけた。何度も叩きつけると蟻は動かなくなった。
「はぁ、はぁ。」
恐かった。何で俺に向かってくるの?この蟻ってウメコの部下なんじゃないの?
怖くなってウメコのところまで走った。
「でっかい蟻が襲ってきたよ!あれってウメコの手下じゃないの!?」
「私の作ったモンスターですが、知能が低く指示に従ったりはしません。本能はままに生物を襲うだけです。ですが、カズキ様には最強の剣スコップがありますので問題ありません。」
「問題あるよ!怖かったんだから!」
その後はウメコがどこまで知覚できるのかを教えてもらった。ウメコ内のどこでも、何が起きているかは分かるが、会話できるのはウメコの部屋から声が届く範囲だけ。ダンジョン側は無理らしい。ダンジョン側には今のところ手も無いので、俺がピンチになっても助けられないそうだ。
ダンジョン探索にあこがれはあるが、ウメコの助けが期待できないのでは怖くてできない。
「それで、あのあと軍鶏はどうなったの?殺しただけ?」
「体内に吸収しています。」
「なんか、見なくて良かったかも。」
「お陰さまで軍鶏をベースにしたモンスターも作れそうです。」
「そういう物なの!?」
「はい。次は是非ドラゴンを連れてきてください。」
「無理!ドラゴンなんていないから!!」
「冗談ですよ?」
「分かりにくいよ!!」
今日はウメコのダンジョンに関する新事実が目白押しだった。そしてウメコの冗談は生真面目な声で言われるので分かりにくい。