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#7−2 【誘惑】と【結末】

【数週間後、午前、リーデッド家付近にて】


 某州、郊外の住宅地にワタシは来ていた。【目的】は言わずもがなよね。

 フフフ……あそこがあのブス女の【(ハウス)】なのね……ようやく見つけたわ!

 思ったより情報が少なくって苦労したけど……【あの手】【この手】を駆使して、何とか【住処】を突き止める事に成功したの。ふーん……なかなか良い家に住んでるじゃないの、生意気ね!

 ワタシの準備は万端。今ならどんな【朴念仁(ノンケ)】でも【落とせる】ぐらいの【魅力】ですもの!

 そして、あの女の旦那は【専業主夫】らしくて基本的に在宅なのも、あの女が今日は【仕事】で家を開けているのは確認済み。近隣住宅には先程【催眠ガス】を散布してあるから、少なくとも3時間は【夢の中】。念の為、【下僕(コマ)】も連れてきて家の周囲に配置済み。何かあったら【合図】で来てもらえるようになっているわ。

 そういえば【リーデッド】って聞いたけど……あの【RDユニオン】の社長一家の【名前】よね??もしかしたら……あの女に復讐する以上に素敵な【オマケ】もゲット出来るかもしれないわね……ウフフ♪♪


 シンプルな白のブラウスと花柄のスカート、髪も金髪から落ち着いた茶色に染め直し、化粧や香水もグッと控えめに。露出度を低めて、いつもとは真逆の落ち着いた女性風にセットしてみたわ。ワタシとしてはとっても落ち着かないし、吐き気がするほどダサいけど、今回の計画の為には我慢しなきゃ……!

 ちなみに、今回はあの女の【後輩】として、偶然を装って家を訪ねる計画を立てた。ワタシの【話術】で家の中まで入り込み、そこで旦那を【誘惑】して、【モノ】にしてから【証拠作り】で色々と細工してしまおうって訳よ。万が一、【落とせなかった】場合でも、何かそれっぽい写真の1つでも撮ればそれからでも【脅す】ネタにもなるしね……フフフッ……。


 チャイムを押す前にもう一度今回の流れを自己確認し、深呼吸の後落ち着いた調子でチャイムを1回押した。

 ビーーッっと古臭い電子音の呼び出しがなった後、少し間があってから静かに扉が開いた。

 出てきたのは、ヌッと高身長の柄の悪そうな男性だった。顔立ちは整っていてイケメンの部類に入るとは思うけれど、銀髪にピアス、オッドアイで八重歯でって……何処かのロッカー崩れみたいな男ね……。

 あの女の旦那を調べても【写真】の一つも出てこなかったから、今が完璧な初対面な訳だけど、思っていたイメージと違っていて面食らってしまったけど……ワタシは【プロ】だもの、どんな【相手】でも対応できる【スキル】を持っているもの♪♪

 動揺を悟られないようにそっと意識を切り替えて笑顔で挨拶をすると、あの女の旦那は若干首を傾げていた。

 予想通りの反応とはいえ、ここで乗ってこないなんて……鈍いのね!

「ええと……妻の【後輩】さん……ですか??」

「はい♪♪以前の職場で、リーデッド【先輩】にとってもお世話になったんです♪♪」

「そうですか……申し訳ないんですが妻は【仕事】で今日家にいませんけど……何の御用でしょうか?」

「え!?【先輩】いらっしゃらないんですか……残念です……。連絡せずに来てしまったのが行けなかったですね……」

 その後、【情報収集】も兼ねて、この男と会話を試みたのだけれど……早く会話を切り上げたい雰囲気が満々で、どうにも会話が続きそうにない……ワタシと会話したくないって事よね!?な、何て事なの……!?

「……ああ、すみませんね、わざわざ来て頂いているのに。妻はいつも【多忙】なもので……。今日も夜にならないと帰ってこないと思います。彼女に何か言付けがあれば僕が預かりますが?」

 言付けと言われ、ワタシは戸惑ってしまった。だって、何にも用意していなかったんだから。

 不味い……このままでは話が終わってしまって、中に入り込む事が困難になってしまう……。

「えっと……あっっっ………!」

「……え!?どうしました??」

「ご、ごめんなさい……急に立ちくらみが……ああっ……」

「それは大変だ……!良かったら……中で少し休んでいきますか?」

「え……良いんですか……??」

「ええ。今日は日差しも強くて、暑い日ですから、もしかしたら軽い熱中症にでもなっているかもしれないですし……このまま外にいては更に悪化する可能性もありますので……」

「急に来た上に……本当に申し訳ありません……では……お言葉に甘えさせて頂きます……」

 神の助けか、偶然にも立ちくらみが来てしまって、その場でよろけてしまったワタシ。流石の彼も帰ってとは言えなくなったのか、家の中に入る事を許してもらえた。運も実力の内よね!?


 通してもらったのはリビング。ソファーを借り、横にならせてもらった。

「旦那さんって……優しいんですね……【先輩】の言っていた通りの……素敵な人……なんですね」

「いえいえ……目の前で倒れられれば流石に見過ごせないですよ、【普通】は」

 上目遣いで褒めてみたのだけれど、彼は全く意にせず淡々と返してくる。うっ……まだ効かないか……!

 何か飲み物をと彼が離れた隙に、ワタシは次の【作戦】を考える。

 格好や仕草、言葉では反応がない……ならば、もう少し【魅力】をアピールするべきだわね……??

「ん……何をされてますか……??」

 戻ってきた彼に見せつけるように、胸元のボタンを大きく開け、スカートもたくし上げて生足を顕にし、顔を手で仰ぐような仕草をとってみた。

「えっと……さっきから体が熱くて……動悸も激しくって……あ、ごめんなさい!見苦しい……ですよね……!?」

「そうですね……正直目のやり場に困ります…………うぇっ……」

 ウフフ♪ようやく気になり始めているようね……でも、今何かえづいた声がした気がするけど、気のせい……?


 この【戦法】であればいけそうだと判断したワタシは、そのまま押し切る方向で舵を切った。

 けれど、一向に近づいてくる気配がない……もしかしたら外見より臆病で手を出す自身がないのかも??

 ここがチャンスだと思ったワタシは、ゆっくりと立ち上がって少しずつ歩み寄りつつ、ブラウスのボタンを1つずつ外しながら、しっかりと彼を見据えたまま彼に熱の籠もった口調でしっとりと語りかけた。

「その……多分なんですけど……私……旦那さんに……【一目惚れ】しちゃったかもしれないんです……!貴方を見た時から……身体も疼いてきちゃって……どうにも出来ないんです……!」

「はぁ……?」

「そう……初対面なのに、こんなはしたない女だって思うかもしれないですけど……どうか……私の思いを……受け入れてくれませんか……?たった一度で良いんです……どうか……!」

 そう言って、ワタシはあの女の旦那の足元にしがみつくように飛びついた。

 どうにもワタシの【誘惑】に反応が鈍いみたいだけど……男ならここまですれば流石に乗ってくるはず……!ちょっとでも【その気】になったら、あとはなし崩し的にコチラのペースに巻き込んで、強引にでも主導権を握ってしまえばワタシの勝ちなんだから……!

【シナリオ】のお粗末さは自分でも認めているけど、どうやらこの【旦那】はお人好しなのか気づいていないようだし、ここで【落として】しまえば……結果が良ければ過程なんてどうでもいいんだから……!!


「はぁぁぁぁ……ウゼぇなぁ、本気で見苦しいわ……そろそろ【猿芝居】は終わりにしてもらえるかな、【害虫】さん?本当、気色悪くて今にも吐きそうなんだけど……?」

「……え?」

 いきなり首元を鷲掴みされた後、バチン!!!と大きな弾ける音が聞こえた途端……全身を貫くような鋭い痛みと共にワタシの意識は遠くへ飛んでいった。

 あ……これは……やって……しまった……の……!?


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【同日、リーデッド家別室、音声のみ】


「あー……フィフィ?【仕事中】にごめんねぇ。ちょっと【急用】でさぁ……今話せるかな……大丈夫そう?忙しい時間に、本当ごめんねぇ。え?ちょっとさぁ、家に【害虫】が入り込んじゃったんだけどさぁ……うん……そうそう、この間教えてくれた奴っぽいね。うんうん……ああ、そう……分かった……君がそう言うならそうするよ……うん」


「……え?今?とりあえず【捕まえて】あるけど?……うん?怪我とかしてないかって??大丈夫、大丈夫〜。俺がこんな【害虫】如きにどうにかなる訳ないじゃんかぁ〜、全くもって問題ないよ〜。君が心配してくれて、俺ってば幸せものだねぇ〜」


「ああ、そうそう、フィフィが教えてくれた通りだったよ……うん、あまりに【テンプレ】な流れだったんでさ、笑いと吐き気を堪えるのに必死だった〜。俺が君以外の女に惹かれるなんて天地が引っ繰り返ってもありえないねぇ……こんな【ゴミ】とどうこうなるなんて、俺は死んでも御免だよ。……あはは、照れてるの?フィフィはそういった所も可愛いんだから……。ああ、ごめんね、話長引いちゃってさ……え?今日は早く帰って来れそうなの?それは嬉しいなぁ〜♪うん……うん……分かったよ!待ってるね!」



「……って訳だよ、【害虫】さん。何を考えてたかはもう【知ってる】からさぁ、と言うか来た時点で【分かってた】けどねぇ〜。【会社(カンパニー)】の【ホワイト】さん??」


「はは、何で【分かった】のかって顔してるねぇ?……教えてやらないけど。全くさぁ……お前みたいな【屑】如きが俺の嫁さんに敵う訳ないだろ?いる【世界】が違うんだよ、【世界】がね。【会社(カンパニー)】で曲がりなりにも【名前付き(ネームド)】になって、あと【コネ】も見つけて、そこそこ調子に乗ってたのかもしれないけどさ……【喧嘩】を売る相手を間違えたねぇ……?」


「……あー、無駄だよ。お前の体内に仕込んであった【ブツ】はもう【無効化】してあるから。ついでに家の周りに湧いてた【羽虫】も駆除してあるよ?弱い奴程群れるって言うけど本当なんだね〜。まあ、そんな事で逃げられたら俺の気も、彼女の気も済む訳ないじゃんね?」


「俺はね、彼女の【障害】になるんなら、誰でも何でも【消して】も【壊して】も構わないんだけどさ。妻がアナタの為にならないって、そんな【ゴミ】に労力を使う必要もないし、手が【汚れる】だけだから止めとけって言ってくれたからね……本当、優しい妻で涙が出そうだよ」


「今回に関しては()()手出ししないよ。この後【会社】から【お迎え】が来るってさ、良かったね?ああ、あと合わせて伝えておくと……【お義母さん】からのキツめの【お仕置き】が入るってさ。全くあの【義父】も懲りないよねぇ……、何が楽しくて他の女に手を出すんだか。俺には全くもって理解できねぇわ……」



「……【簡単】に【終われる】と思うな、【害虫】がよ……?」

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