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不思議探偵:美術館のメモリー

作者: カプリコーン

  

     小山圭一 高校1年生。霊を見たり触れたりできる。

     手塚詩織 医者。圭一の雇い主。 

     斎藤ゆうみ 南タツヤの恋人。

     南タツヤ  斎藤ゆうみの恋人。 


 高校1年生の小山圭一は雇い主、手塚詩織の指示で隣の県外にある大きな美術館に来ていた。休日だったので私服姿だ。大きなガラス張りの掲示板には昔の高名な日本の水彩画家のポスターが張ってある。美術館ができたのは3年前で、ある大手企業が著名な建築家に依頼し建設したものだ。大きなグラウンド5個分ほどの敷地の半分には深さ20cm程の水が全面に張っていて水の中には個性的なモニュメントが3体、大きく等間隔に水面から生えるように建っている。もう半分の同じ広さの敷地には奇抜な美術館が水が張っているスペースに沿って建っている。ここへは展示物より建物自体を鑑賞にくる人もいるらしい。美術館の本館への出入口はその水を張っているスペースに沿ってとても細長い道の先にある。圭一はこの美術館にプライベートで何度か訪れている。休みの日は晴れているほうがいいのだがこの美術館は雨が降っているほうが不思議と心が落ち着いた。雨が降っているこの美術館が圭一は好きだった。ちなみに今は晴れている…。

休日だったので中に入ると団体客、親子連れ、たくさんの訪問者がいた。受付で当日券を買い、中へと入って行った。少し進むと綺麗な大きな階段があった。階段を降りるとそこは全体が黒塗りで縦横高さ約30メートル位の大きさになっている。部屋自体は真っ暗だが、天井と床から点々と優しいオレンジ色のライトが点灯し神秘的な空間を作っていた。一番奥の天井に端から端まで幅20cm位の太陽光が入るように設計された天窓とその手前にポツポツといくつか大きさの違う円形の天窓が複数まばらに設置してあった。木製の大きな長椅子が円形の天窓の下に6席、先ほど降りてきた階段の下の壁沿いにも1つ、向かい側も同じ階段と長椅子が1つあり左右対称、全く同じ形になっている。展示物を見るための順路は片方の階段の手前の通路に入りぐるっとひととおり展示物を眺めていくと反対側の階段の手前の通路に出てこれるようになっている。この部屋はちょうど各展示物を見回る順路の始めと終わりになる休憩所になるところだ。

 この大きな空間には今、圭一を含め階段を降りたところに同じ服を着た男の子2人と母親らしき女性、天窓の下の6席ある一番左手奥の長椅子の中央に座っている20代位の若い女性1人の計5人がいた。その長椅子に座っている女性の格好はブーツにデニムのパンツ、グレーのセーターに淡いピンクのコートを手に抱えていた。その女性が今回の依頼に関わる重要な人物である。圭一は手塚詩織に送ってもらった画像で顔を確認するとその若い女性に近づき話しかけた。


 ❬1日目-11:05❭

「すみません…。誰かを待ってる感じですか?」

その女性はキョロキョロと周りを見て誰もいないことを確認すると自分を指差し、私?と聞き返してきたので圭一はうなずき返すとその女性は少し驚いた顔で

「今の若い子達は私達の世代よりもっとコミュ症と勝手に思っていたけどそうでもないのね…。ウーン…。二人で来たんだけど彼がどこかに行ったまま戻って来ないの。」

「そうなんですか?あっ、先に自己紹介させてください。僕の名前は小山圭一っていいます。」

「私の名前は斎藤ゆうみ よろしくね。ちなみに小山君は随分若くみえるけど、、高校生?」

「高校1年です。」

「高1かぁ…。人に誇れるような人生を送ってきたわけじゃないけど20代後半の人生の先輩としてアドバイスしてあげる。学生時代はとにかく後悔と失敗と挫折をたくさん味わったほうがいいよ。大人になってからくだらない物事をはねのけるガッツと学習能力が身に付くからね。」

「普通は後悔しないようにしろ、、とかじゃないんですか?」

「普通わね。まあ、君も学校を卒業して社会の波にのまれるとわかるようになるわよ♪」

「ふ〜〜ん…。そういうもんですかねぇ。そういえばここへはその彼氏さんと来たんですか?」

「そうそう、たっくん、タツヤだからたっくん。たっくんの車で2人でここへ来たの。普段、美術なんて全く興味ないとか言ってるくせに今日は絶対に行くんだとか言ってたの。でもまあちょうど今この美術館で展示されてる水彩の風景画が見たかったから別に良かったんだけどね。さっきまで一緒にいたはずなんだけど、どこに行ったのやら…。」

「絵が好きなんですね?」

「どうかなぁ。絵のことなんて全然わかってないよ。感覚であの絵が見たいな~って思っただけ。描いた人の事だって全然知らないよ。皆そんなもんでしょ?」

「皆かどうかはわからないですけど、僕も言われてみればそんな感じですね。」

「でしょ。」

圭一は視線を感じた。階段のところにいた男の子二人が不思議そうな顔でずっとこっちをみていた。

「そういえばその彼氏さん突然いなくなったんですか?」

「そうなの。おまけに私も携帯、家に忘れてきたみたい。あ~あ…。ちょっと私トイレに行ってくる。」

そういうと斎藤ゆうみは親子連れの前を通りお手洗いのある階段の手前の通路の奥へと進んで行った。

「やっぱり事故にあったこと覚えていないな…。」

圭一はそう呟くと親子連れを避けて階段を上がって帰って行った。

圭一の背後で子ども達が母親らしき女性に

「あのお兄ちゃん透明人間としゃべってたよ」

と言うのが聞こえた。


〈1日目 12:00〉

圭一は美術館から300mほど離れた3日前に起きた事故現場に来ていた。大きな十字路で若いカップルが信号が青に切り替わり車を走らせた瞬間、運転席側に年配の男性が乗る車が猛スピードで突っ込み起きた衝突事故だった。突っ込んだ男性は隠していた持病のてんかんの発作が起こったようで意識を失ったまま赤信号を突き抜けたらしい。圭一は事故現場周辺を歩き回ってみた。すると献花が添えてある電柱にしゃがみこみ、じっと花を見つめている若い男性がいた。男性は赤いダウンジャケットに黒のパンツを履いていた。圭一は詩織に送られた画像でその男が南タツヤであることを確認すると男性に話しかけた。

「ウオオオオォー!!ビックリしたーー!!」

「驚かせてすみません。」

「し、しかも話せる!」

圭一が男性の肩に触れると

「し、しかも触れる!」

「南タツヤさんですよね?」

「そ、そうだけど君は…?」

「僕は小山圭一といいます。単刀直入で申し訳ないのですが先程の言動等で自分の置かれた状況を多分理解されてると思いますけど…。」

「ああ…。ずっとここにいるんだけど全然お腹も減らないし…。前から歩いてくる人が話しかけても目線すら合わせないし、自分を通り抜けるし…。多分だけど俺もう死んじゃってるんだろう?」

「そうです。自分が死んだ事をこんなにも早くに自覚する人も珍しいんですけどね。」

「俺もうあの世とかに逝くのかな?にしても少し待って欲しいんだけど…。」

「僕も死んだ事ないからなんとも言えないんですが、死んだ事を自覚した時点で普通はこの世にいられなくなるんですけど、まだとどまっているということはあなたがこの世に心残りがあるということだと思います。一種の地縛霊になってますね。大抵、地縛霊になると赤色の幽霊になって恨みを抱えて生きている人に危害を加えたりするんですけど全然赤くなってないということはこの世にしがみついている理由は怨恨ではないということですね。」

「ウーン…。まあ死んで恨み晴らしたって自分が生き返る訳でもないからなぁ。何が起こったかはなんとなくは思い出せるんだけどまだまだ曖昧なんだよなぁ…。一瞬のことだったし…。それよりも、ゆうみは生きてるのか!?一緒に死んだんだと思ってずっと探してんだけど全然姿が見えないんだ。」

「斎藤ゆうみさんは生きてます。」

「オオ!そうなのか!?良かったああぁ!!」

「生きてます。生きてますけど生死の境をさ迷ってて延命措置をしてもらってます。そして斎藤ゆうみさんを助けるためにあなたに協力してもらいたいんです。」

「ええ!!どういう事だよそれ!?」

 圭一が話そうとした瞬間、携帯が鳴った。

着信は圭一の雇い主、手塚詩織からだった。

「お〜〜〜い。圭一く〜〜〜ん。どんな感じ〜?」

圭一はタツヤに片手で謝るポーズをとると、携帯に話しかけた。「今、南タツヤさんと会えたところですね。で、二人を会わせたいんですけど斎藤ゆうみさんは美術館に思い入れが強くあそこから離れられなくて、南タツヤさんは斎藤ゆうみさんをこの場所で探すという目的ができたためにこの場所から引き離せなくなってます。二人とも軽い地縛霊になってますね。」

「アンタ、幽霊に触れるんだから無理矢理引き摺って行ったらいいんじゃないの?」

「それができないんですよ。以前やったことあるんですけど連れて行けたと思ったらパッと消えてまた元のところに戻ってるんですよ。まぁ方法はあるんで任しといてください。じゃあ…。」

「あっ!!切らな……。」

通話を切った圭一は南タツヤの方に向き直った。

圭一の携帯は詩織からの着信だろう、ずっとブ〜ブ〜鳴っていた。

「そうしましたら、僕の両肩に手をかけてもらっていいですか?」

「へ!?どうする気なんだ?」

「ちょっと気味が悪いと思うんですけど僕に取り憑いてもらってそのまま美術館にいる斎藤さんのところまで向かい、彼女を説得してもらいます。用意はいいですか?」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。行くには行くけど一つお願いがあるんだ。」

「お願い…?」


〈3日目 15:45〉

圭一は南タツヤを憑依させ斎藤ゆうみと初めて出会った場所に向かっていた。

そこには変わらず椅子に腰かけている彼女の姿があった。

「斎藤さんお久しぶりです。」

「あら?えーと、、確か、、圭一君だっけ!?」

「そうですよ。名前覚えててくれたんですね。ありがとうございます。」

「どういたしまして。今日は一体どうしたの?」

「南タツヤさん 見つけましたので連れて来ました。」

「え!?でも一体どこにいるの?どこにもいないじゃない?」

「僕にとりついてます。」

「えっ?」

「彼に姿を見せてもらいあなたに今起こっていること、これからすべきことを全て説明してもらいます。あなたは彼の話をよく聞いてあげてください。彼の声をきくのはこれが最後になると思いますので、、、。」

「えっ、、?ちょ、ちょっと、、、。」

彼女の反応も気にもとめず圭一は立ったまま体全体をダランとさせたかと思うとすぐさま頭をあげ斎藤ゆうみに視線を向けた。

彼女は驚いた。

さっきまで高校生の男の子に見えていたのに突然自分の恋人、南タツヤが目の前に現れたのだった。

「やあ。ゆーみん。」

「やあ。たっくん。」

少しなんとも言えない沈黙が流れた。

···························。

沈黙を破り南タツヤがまず切り出した。

「いざ会えたら上手く話せないもんだね。話したいことたくさん考えてあったのに。ゆーみんは今、自分の身に何が起こってるかわかってる?」

「多分、、、。」

「じゃあ確かめよう!今日は何月何日でしょうか?」

「今日は○月○日、私達の初デートの日!さらに言うとここは初デートの場所!、、でしょ?」

「初デートの場所はピンポーン!でも日付が違う、、。今日は()()()()()()もう6日たってるよ。」

「嘘、、、、。」

「ほら」

そういうと南タツヤはとりついている圭一のポケットから携帯を取りだし日付を見せてあげた。

「順番を追って一緒に思いだそう。ゆーみん、力を抜いて目をつむってみて」

「うん、、。」

不安そうな顔をした斎藤ゆうみはゆっくりと目を閉じた。


❬6日前❭

「キリンって立ったままで1日に20分しか寝むらないらしいよ。なんでも他の野生動物に襲われないように睡眠時間が短くなったらしい。」

「え!そうなの!?なんか全然疲れとれなさそうだから大変だね。キリンに生まれなくてよかった。」

「そういう発想になるの?」

「だって長時間睡眠するのって一番の幸せだよ」

「なるほど。俺は20分だけの睡眠時間だったらもっともっとやりたいことやれる時間が増えると思ったんだけどね。」

「どうせこの人間社会に余った時間を全部とられるよ、、。」

運転していた車を赤信号で停車させた南タツヤはキョトンとした顔を斎藤ゆうみに向けると少し笑みを浮かべ

「ごもっとも」

と言った。

「そうだ。さっきコンビニで買ったミネラルウォーターちょうだい」

と同時に青信号を確認した南タツヤはアクセルを踏んだ。

膝元に抱えたポリ袋からミネラルウォーターを南タツヤの太ももの隙間に置いた斎藤ゆうみの両目に真っ正面に突っ込んでくる車が映った、、、。


❬3日目 16:00❭

「思い出したかい?ゆーみん?」

「私達、事故にあったのね…。」

「そうなんだ…。」

「私達死んじゃったんだね、、、。」

「いや、君は生きてるよ。」

「へ、、!?」

「車が突っ込んだのは運転席側。ゆーみんは助手席側で重症だったけどすぐ病院に運ばれて手術は無事成功!!奇跡的に助かったんだ。」

「そうなんだ良かった、、って たっくんは、、?」

南タツヤは上を見上げ少し笑みを浮かべながら言葉を切り出した。

「俺はもう死んじゃったんだ…。即死だったらしい…。」

「えっ……。」

「もう会えるのはこれで最後なんだ、だか…。」

タツヤが話す途中で彼女がものすごい勢いで抱きついてきた。

「いや!!いや!!そんなの絶対に嫌よ!冗談でしょ!!?」

泣きながら抱きついてくる斎藤ゆうみを南タツヤは優しく抱きしめた。

「俺ももっとゆーみんとおしゃべりしたり、近所のクレープ屋に行ったり、やりたいことたくさんあったけどもうこれでお別れみたいなんだ。」

とても穏やかな声でタツヤは彼女にささやいた。

斎藤ゆうみは泣きながら目を閉じそのままの状態でしばらくじっとしていた。

「ねえ、1つ聞きたかったんだけど、、普段美術館なんか行きたがらないくせになんで今回に限ってあんなに行こう行こうって言い出したの?」

「それは…」

突然手足から違和感を感じた斎藤ゆうみは南タツヤから一度離れ自分の体を見直した。

「あれ!?何これ?手足が消えてく、、。」

「ああ、、。もうお別れの時間だね。」

「嫌、嫌よ!!まだ離れたくない。」

と再び南タツヤに抱きついた。

「ゆーみん、幸せになるんだよ。」

「嫌、嫌、嫌!!こんな別れ方絶対に嫌ーーー!!たっくんを殺した奴絶対に私が殺してやるーー!!」

それを聞いた南タツヤは笑いながら左手に拳を作り可愛く頭をポコッとこずいた。

「コラコラ。そんな物騒なことしちゃダメよ。」

「どっちが物騒なのよーー!轢き殺す方が物騒でしょうがー!!このバカバカ!!超お人好しーー!!大好きーー!!ウワーーーん!!!」

「やれやれ。」

そうこうやっているうちに斎藤ゆうみの体がもう胸のあたりまで消えかかっていた。

「ゆーみん。本当に最後みたいだ、、。」

「キスして!!」

斎藤ゆうみは泣きすぎてはれた目をつむりながらこっちに顔を向けた。

その顔をみてクスッと笑った南タツヤは優しいキスをした、、、、。

斎藤ゆうみは完全に姿が消えていってしまった。


❬3日目 17:30❭

閉館時間が過ぎ圭一ととり憑いた南タツヤは美術館の横の大きな水辺のスペースに立っていた。

「本当にこれで良かったんですか?タツヤさん、、?」

「何が?」

「結婚指輪ですよ。せっかくあの後、タツヤさんの実家まで行って遺留品の結婚指輪をタツヤさんのご両親、詩織さん、依頼主の斎藤ゆうみさんのご両親に説明してもらってようやく手に入れたのに、、、。プロポーズするつもりだったんですよね?」

「いやーそのつもりだったんだけどね。よく考えたら俺、記念日の日にプロポーズしたかったしあれから6日も過ぎてるし、格好つかないし、あの状況でゆーみんにプロポーズしたとしてもう私、体に戻らないっていいかねないし。」

「うーん……。」

納得しかねない圭一は腕を組み難しい顔をしていた。

「あれ、、!?」

圭一と南タツヤはタツヤの手足が少しずつ消えてくのを感じた。

「あれ!?もうお別れみたいだね。ちなみに消える前に聞いときたいんだけどあの世ってあるの?」

「それは僕も死んだ事がないのでわからないです。」

「そうか、、。でも本当にありがとう。圭一君!!君のお陰で最後にゆーみんにお別れを言えたよ。本当にありがとう。」

「この結婚指輪はどうしますか?」

「そうだなぁ、、。」

すると突然タツヤは圭一の体を使い指輪を水辺におもいっきり遠くの方にぶん投げた。口に両手を当て

「ゆーみん!!ありがとーーーーーう!!!!!!!」

と大声をあげ遠くの方でポチャンと小さい音がした。

タツヤはそれを見ると小さい声で

「幸せになれよ。」

と言った。気がつくと知らぬ間に圭一とタツヤは引き離されていた。

圭一はタツヤのスッキリした顔を見るとなんとなく心地いいものを感じた。

「あれま!?知らぬ間に引き離されてる、、、。」

「事故現場にも戻されない。完全にこの世に心残りはないみたいですね。」

「俺、このまま完全に消える前に見えないかもしれないけど母さんと父さんにお別れを言ってくるよ。あと弟の枕元に立ってこないだ勝手に食べられたコンビニのミルクレープの恨み言をいってやろう。ケケケ。」

「タツヤさん。変な言い方だけどお幸せに、、、。」

「うん。圭一君も本当にありがとう。」

そう言うと南タツヤは圭一にうっすら見える手を振りながら向こうの空へと消えていった。

水面に映える夕日がとても綺麗だった。

「あ~あ。せっかくの3連休が丸つぶれ!!」

そう言い残すと圭一も美術館をあとにした。


❬後日❭

タツヤさんと別れた後、詩織さんから斎藤ゆうみさんが意識を取り戻したと電話がはいった。

彼女のご家族はきっと気が沈んでいるだろうと気を遣おうとしたがなんのその、タツヤさんのお墓にお見舞いに行って手を合わせた時に

「たっくんと結婚できなかったけれど、絶対にたっくんよりもっともっと素敵な男性と結婚するからたっくんも私の守護霊になって協力してね」

と言ったらしい、、、もしかしたらタツヤさんがあの日プロポーズすると彼女は勘づいていたのかも知れない。

後もう1つタツヤさんのご両親からタツヤさんが自分達が寝ている時にお別れの言葉と感謝の言葉を伝えに来たと涙ながらに詩織さんにお礼を言って僕にもぜひ感謝の言葉を伝えておくように言われたようだ。

でもタツヤさんの弟さんがひたすら

「ミルクレープが、、。ミルクレープがぁ、、、。兄貴許してくれ…。」

と言うだけでご両親が詳しく聞こうとしてもそれ以上何も言わずタツヤさんのお墓参りに行った際に墓前に超高級なミルクレープをネットで購入しお供えしていたらしい、、、。詩織さんに何か心あたりある?と聞かれたが知らないふりをしておいた。






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