合格発表!
面接を終え、外に出ると、正門には迎えの馬車が来ていた。私が近くまで寄ると、中からミランが出てきた。
「お疲れ様です、お嬢様。」
「お迎え、ありがとうね。」
そう言って、ミランの差し出した手を取り、馬車に乗った。ミランが御者に合図を出すと、馬車はゆっくり走りだした。
「お嬢様、どうでしたか?」
「ええ、たぶん受かっていると思うわ。学力テストは分からないけど、魔法試験ではいい結果が出たわ。」
「さすがですお嬢様!!」
「あ、あとね、友達もできたのよ。」
「お嬢様なら心配ありませんって言ったじゃないですかー。」
「ふふふっ、そうね。」
お友達と言ってもヘタレボーイとチャラ男なんだけどね。たぶん根はいい子のはずよ。
そんな話をしていると、あっという間に家に着いた。ミランの手を取って馬車を降り、家に入って自分の部屋に行った。
「お嬢様、お着替えしましょう。今日は旦那様も奥様もいらっしゃいますのでご夕飯は三人で食べるそうですよ!」
「久しぶりな気がするわね。」
「そうですねー。」
ミランは優秀な侍女だ。着替えも五分ほどで終わる。着替えが終わり、食堂へ行くと、お父様とお母様がいた。私はどうやらお父様に似たようだ。お父様は銀髪で紫色の目をしていて、とても整った顔をしている。でもそれに負けず劣らず、お母様もとても綺麗で、金髪碧眼の、絵本に出てくるお姫様のようだ。
私は自分の席に座ってご飯を食べ始めた。前世と違ってマナーが厳しいから慣れるまで大変だった。
「ルミア、試験はどうだった?」
「結構自信がありますわ。」
「良かったじゃないの。確か結果は明日届くのよね。」
「そうですわ。それにお友達もできたのよ!」
「おぉ、あのルミアにもやっと友達が・・・」
「安心したわ・・・」
なぜか二人は目を潤ませている。この二人は多忙なため、あまり私と接する時間が長くない。だからかとっても親バカなのだ。
「それで、どんな子なんだ?」
「男の子二人ですわ。」
そう言った瞬間、お父様がフリーズした。私の顔を見たまま。
「・・・どうしましたの?」
「・・・・・・ない。」
「え?なんて?」
「まだ交際は認めないからな!!俺を倒す男じゃなきゃ認めん!!」
お父様はこう見えてSランク冒険者なのだ。そんなお父様を倒せる人なんてそう多くはないと思うが。
「やるわねぇ、ルミア。さすが私の娘ねぇ。」
こっちもこっちでめんどくさそうだ。
「二人はそんなんじゃないですわ!友達ですわよ。それ以上でもそれ以下でもありません!」
「そ、そうか・・・それならそれで良い・・・」
「つまんないわねぇ・・・」
なんでみんなそんなことを疑うのかしら。
夕飯を済ませた後、私はお風呂に入ってから寝た。とっても濃い一日だったので、精神的に疲れたのだ。
次の日、目覚めると、ミランが小包を持って部屋に入ってきた。
「おはようございます、お嬢様。これ、見てくださいよ!学院からですよ!」
私が小包に書いてある情報を見ると、確かにバレンシア学院と、昨日の学院の名前が書いてあった。実はこの学院の制服は無償でプレゼントされる。なかには平民もいるので、制服が買えないという事態を起こさない様にするためだ。合格したら、合格発表と共に制服や教材が送られるのだが、私の家に小包が届くということは、まあ、そういうことだろう。
「やりましたね、お嬢様!あ、同封されていた手紙にはお嬢様の合格と、お嬢様が首席だったので新入生代表のあいさつをしてほしいと書いてありましたよ。」
「そうなの。ありがとう、ミラン。」
私は心の中でガッツポーズをした。