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最後の試験

「237番ー!」


「じゃあ、行ってくるね。」


「行ってらっしゃい。本当に落ち着いてね。」


「うん、頑張る。」


 うん、たぶん大丈夫だろう。顔が宰相の息子モードだった。でも暇になっちゃったなぁ。しょうがないから辺りを見回してみた。特に知っている人とかはいないのだけれど、ある話が耳に入った。


「なぁ、知ってるか?」


「何がだ?」


「さっきの魔法試験の爆発、位置的にゴブリンロードが居る方らしいんだ。もしかしたらゴブリンロードが爆発魔法も使えるようになったんじゃないかって。」


 すみません、それ私です。


「まじかよ・・・まあもう俺らには関係ないけどさすがにそれじゃあもう手を付けられないんじゃないか?」


「それがまだ関係あるんだよ。俺の兄ちゃんが言ってたけど、入学して十日くらいしたらあの森で魔法訓練をするらしいんだ。」


「俺ら死ぬんじゃね?」


「さすがに先生がついてるから死ぬことはないと思うけど・・・」


 なんか私がやったことがバレていないならいいけど。魔法訓練するのかぁ。でもあの森じゃ物足りないと思うしなぁ。いっそのこと竜の山とかなら楽しいのだけれど。


 私がそんなことを考えていると、その二人の会話に一人の女子が入ってきた。


「どうやらゴブリンロードが爆発魔法を使ったわけじゃないらしいわよ。まずゴブリンごときに魔法が使えるわけないわ。」


「おぉ、ルーファ生きてたか。」


「勝手に殺さないでくれる?」


「でも、それなら爆発魔法を使える受験者が居るということだよね。」


 私、火魔法なら使ったけど爆発魔法は使ってないわ。


「そうね。その子は確実に類まれなる才能を持っているわ。でもどうやら騎士団長の息子が爆発に巻き込まれたらしいわ。復活はいつごろになるのかしら。」


 そんな才能私にはありませんよ。前世の知識がちょっぴりあるだけよ。ちょっぴり。でもその騎士団長の息子には悪いことをしたわね・・・悪い人じゃないといいのだけれど。


 それから二時間ほど経って、人はあと私を入れて五人ほどしかいなかった。私は先ほどの重力魔法で体を軽くしていたので負担が少なかったが、ほかの人たちはだいぶ疲弊していた。これもしかして私最後じゃないのかしら。


 そんな予想は当たってしまった。


「最後ー!1222番ー!」


 私は列に並んだ。それから十分ほどしてようやく私の番が来た。前世の高校面接でたくさん練習させられたし、人見知りだった私も、社交界に出てからはもういない。。コンコンとドアをノックし、どうぞ、という声が聞こえたのでドアを開け、失礼しますと言ってから礼をする。試験官にお尻を向けない様に気を付けながらドアを閉め、椅子の左側まで歩いて行った。おかけください、と言われたらまた失礼しますと言ってから腰をかける。多少緊張しているが、笑顔は忘れない。


「名前を言ってください。」


「ルミア・ルノワールですわ。」


「特技は何ですか。」


 はいよくある質問。前世の私は掃除って答えたけど。


「魔法ですわ。特に自作魔法を作るのが好きで、小さいころから試行錯誤していましたわ。」


「そうですか。なぜこの学院に?」


 これもよくあるわよね。でも志望理由なんか特になかったりするのよね。


「この学院では魔法実習が他にも多いと聞きましたので。さきほども申しましたが、魔法は特技でもあり、趣味でもあるのです。特技をのばせたらいいなと思ったのが一つの理由でもあります。」


「そうですか。最後に、この学院に入れたら、何をしたいですか?」


「生徒会に入りたいと思っています。この学院の生徒会の活動はよく耳にします。将来のためにも生徒会に入ることは良いことだと思います。」


 これは本音だ。この学院の生徒会は毎年倍率が五倍くらいある。この生徒会に入るには、周りからの信頼、普段の行い、ときには成績も問われる。つまりこの生徒会に入ったというだけで周りから認められるようになるのだ。


「ありがとうございました。長い間待たせて申し訳ございません。」


「ありがとうございました。」


 私は礼をしてから部屋を出た。

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